シャワー室から直行してきたらしいマッシュが肩にタオルをかけたまま現れた談話室で、アルコール片手に年の近い男同士で他愛のない話を語らっていた三人のうちエドガーが立ち上がり、全くもうと呟きながらマッシュの傍まで歩いて行った。
「お前、髪から水滴が落ちてるぞ。きちんと拭いて来なさい」
 そう指摘されているというのに、ごめんと答えたマッシュは何故か笑顔で腰を屈めた。丁度いい高さでエドガーはマッシュの肩のタオルを濡れた頭にかけ直し、ごしごしと水分を拭き取ってやる。それを見ていたロックが呆れて口を開いた。
「いくら兄弟だからって同じ年だろ。マッシュ、その図体でオニイチャンに甘えてんのかよ」
「えへへ」
 悪びれないマッシュに、困ったものだよと肩を竦めるエドガーも満更ではない顔をしている。
「そういやこの前もシチューが熱いっつってエドガーに冷ましてもらってたよな」
「昔から猫舌なんだよ、世話の焼ける子だ」
「兄貴にふーふーしてもらった方が美味いからな〜」
 話を掘り下げるロックに舌打ちしたセッツァーは、会話に加わるまいとソリティアに集中した。

(2017.10.06)