「やっと見つけた」 マッシュが声をかけると振り向いたエドガーの目はぼんやりとして焦点が合っていないように見えた。その澱んだ目でじいっと視線を寄越してくるエドガーから目を逸らさず、マッシュは人目を避けて使う予定のない機械仕掛けの武器を片手に佇むエドガーに手を伸ばす。 「帰ろう。みんな心配する」 「みんな、か……」 ようやく口を開いたエドガーの唇の端が緩く持ち上がり、それは笑みと言うよりは歪みと表すほうがしっくりくる表情だった。 「皆が分不相応な王を崇める。俺が間違いを犯さない保証がどこにあると言うんだ? 俺の腹の内を覗いたなら、一人残らず俺に背中を向けるだろうよ」 自嘲の笑顔は淋しさが色濃く、青い瞳も睫毛の隙間で燻んで見える。マッシュはエドガーを見つめたまま、穏やかな声で語りかけた。 「兄貴が間違ったら、俺が最後の一人になって兄貴を引き戻すよ」 だから一緒に帰ろう。マッシュの囁きにエドガーの顔から笑みが剥がれ、その手に握り締められていた機械ががしゃりと音を立てて地に伏した。 |