「これじゃ二人で来た意味がないだろう?」 小さなメモを片手に商店街を歩くエドガーの横に並ぶマッシュは、背中に背負った大きなリュックに両手に抱えた紙袋、肩には装備品を担いでいて、エドガーは呆れながら先の言葉を告げた。 買い出し隊として二人で街に訪れたのだが、俺が持つよと都度荷物を奪うマッシュのお陰でエドガーは手ぶらである。いくらマッシュが力持ちでも自分だけ何もないのは居心地が悪い。どれか分けろと訴えたがマッシュは首を振るばかり。 「今ので最後だろ。このまま俺が持っていくよ」 「しかし俺がお前をこき使ってるみたいだろう」 「まあ力仕事くらいは兄貴の役に立たないとな」 実に嬉しそうなマッシュに眉を寄せたエドガーは、ふと道中の店で何かを見つけ、少し待っていろと指示して店に走った。戻って来たエドガーの手には小さな紙袋が乗せられていた。 エドガーは折り畳まれた紙袋の口を開いて中に手を突っ込み、そこから取り出した大粒のクルミをマッシュの口元に運ぶ。両手が塞がっているマッシュは照れ臭そうにしながらも口を開けた。 もぐもぐと咀嚼するマッシュに「燃料補給だ」と得意げに告げたエドガーは、飛空艇に戻る道すがらマッシュの口にクルミを放り込み続けた。 |