リクエストより「手縫いグッズをプレゼントされる陛下」
(プレゼントなさったのかプレゼントしてもらったのか判断がつかず、
後にプレゼントしてもらったバージョンも書きました)


 兄貴が俺に隠れてこそこそ何かしている。何か、と言うか転がってる毛糸の玉が見えてるから間違いなく編み物なのだけれど、あれで隠しているつもりになっているから何も言えない。
 時期的に予想はついてる。もうすぐやって来るクリスマスのプレゼントだ。去年の冬、手編みのプレゼントは愛がこもってる、なんて女官たちが話しているのを真に受けた兄貴が初挑戦したのがマフラーだった。端と端で太さが違う細長い台形の斬新なマフラーだったけれど、折角作ってくれたのだからと大袈裟に喜んだのが悪かった。
 今年はあの大きさから見て多分セーターだ。俺が良く着ている紫色の服に合わせて毛糸を選んだのだろうが、その藤色はばあやのショールと同じ色だ……。多分俺がアレを着ると物凄く老けそうな気がするけど(そもそも着られる状態で渡してもらえるのか分からないけれど)、目の下にクマ作って頑張ってるし大分完成に近づいてるから我慢しよう……。

 イヴの夜、やけに今夜は早く寝ようと急かす兄貴に付き合ってとりあえずベッドに入り寝たふりをしていたら、そっとベッドを抜け出した兄貴がリボンを結んだプレゼントの包みを俺の枕元に置いて、満足げに再び隣に潜り込んできた。
 いろんな意味でちょっと泣きそうになった。

(2017.12.23)