リクエストより「手縫いグッズをプレゼントされる陛下」
(こっちはプレゼントしてもらうバージョン)


 マッシュは手先が器用だ。あのゴツゴツした手で可愛い焼き菓子なんかを日常的に焼いているし、服の綻びを小さな細い針と糸で縫い合わせることも上手で、隣で眺めていると細やかな動きが実にリズミカルで飽きずにずっと見入ってしまう。
 きっかけはガウに小さなぬいぐるみを作ってやったことだった。
 絵心があまりないせいか、本人が犬だと言い張ったそれは猫にしか見えなかったが、差し引いてもうまくできていてガウが大層喜んだ。
 それから女性陣に頼まれて、リルムにレースのついたリボンやティナにモーグリのマスコット、セリスにビーズのブレスレットなんかをせっせと作る様は日頃の闘気溢れる姿とはかけ離れていて、思わず苦笑いが漏れた。
 クリスマスの夜、仲間たちとささやかなパーティーを開き、マッシュとティナが二人で焼いたケーキは店に並べても遜色ない出来で、その日ばかりは戦いを忘れて皆で夜更けまで浮かれ騒いだ。
 酔いに微睡みながらおやすみの挨拶もそこそこにベッドに潜り込んだ翌朝、枕元に小さな包みが置いてあるのに気づいて手に取る。
 開くと中から小さな人形が出てきた。同じ顔をした二人の人形はどちらも金髪に青い眼で、一人はリボンをつけている。
 手のひらサイズの可愛い双子に声を出して笑った。愛しいサンタクロースにプレゼントの礼を言うべく、早々にベッドを抜け出した。

(2017.12.23)