人に好かれやすい男だとしみじみ思う。老若男女問わず人を惹きつける存在ではあるが、とりわけ集まってくるのは腰丈にも満たない小さな子供が多い。 首を跨いで一人、折り曲げた二の腕に腰掛けて一人、その肘にぶら下がって一人、腰に纏わりついてまた一人──身体中に子供を鈴生りにして、それを苦もなく受け入れているマッシュを遠目に見守り、エドガーは小さく溜息をついた。 あの高身長である、普通なら威圧感で恐れられそうなものだが、マッシュの空気はいつも柔らかい。子供たちは直感が働くのだろう、怖がるどころか自らマッシュに寄って行って遊具の一部とばかりに登り始めるものだから、つい苦笑いが零れてしまう。 アトラクションよろしく振り回される子供たちの、キャーキャー聞こえる歓声に肩を竦めたエドガーは黙ってその場を立ち去ろうとした。 「兄貴、待って」 飛んで来た声にぎくりと身体が強張る──こっそり覗いていたのがバレていた。振り返ると、子供を一人ずつ下ろしたマッシュがエドガーの元に走ってくる。 「なんで一人で行っちゃうの」 いつから気づいていたのか、当然とばかりにエドガーの手を取り指を握ってくるマッシュの無垢な笑顔を前に、自分に寄ってくるのはこの大きな子供だけなのだなとエドガーは顔を綻ばせた。 |