仲間たちが寝静まった深夜の食堂、音を立てないように扉をそっと開くと予想外に明かりが漏れ、中にいたマッシュがギョッとした顔で振り向いた。 戸口で同じく驚いた顔をしたエドガーは、マッシュが自分にとってもお目当ての戸棚の前に立っているのに気づいてにやりと笑う。 「なんだ、お前も見てたのか」 「お前もって……兄貴も?」 エドガーは静かに扉を閉め、優雅にマッシュの傍へと近づいて、マッシュが今まさに開けようとしていた戸棚にそっと手をかける。そしてお互いに目配せし、棚の戸を開けて一番上の段に手を伸ばすと、奥から小さな箱を取り出した。 箱を開くと宝石のようにひとつひとつ美しく飾られたチョコレートが並んでいる。エドガーとマッシュは顔を見合わせて悪戯っぽく笑った。 「二人だけの内緒な」 「おう」 翌朝、誰にも見つからないように隠していたはずの秘蔵の高級チョコレートを何者かに綺麗に食べられたセッツァーが、血走った目で犯人探しに乗り出した。 |