部屋に戻るなり着慣れない浴衣がはだけるのも構わず、マッシュは備え付けの籐椅子に倒れこむように腰を下ろした。そんなマッシュにコップに注いだ水を手渡したエドガーは、どっかり腰掛けて大きく開いたマッシュの両脚の間の布が重力に反して盛り上がっているのを見て、薄っすら頬を染めながら呆れて口を開く。 「なかなか湯船から上がらんと思ったら……、公共の場で何を考えていた」 「だって、あんな間近でうなじ見せられたら」 「ばか」 すっかり逆上せて顔全体が紅潮し浅い呼吸のマッシュは、コップの水を一気に飲み干してからはあっと大きく息をついた。空のコップをマッシュから受け取り、エドガーがすでに座敷に敷かれている布団を指差す。 「横になれ。その方が楽だろう」 「こっち、収まってない」 顎で股間を示すマッシュに目を据わらせたエドガーは、僅かに左右に視線を揺らして逡巡を見せた後、足を投げ出して座る弟に近づき渋々膝をついた。腹の下に手を伸ばそうとした時、 「乗ってよ、兄貴」 降ってきた不躾なリクエストに分かりやすく眉を顰めたエドガーは、躊躇いで少しの間無言にはなったものの、忌々しげにマッシュを睨みながら自らの浴衣の裾をゆっくりとたくし上げた。 中が見えないように下ろした下着を脱ぎ捨てたエドガーは、片膝を座面の隙間に乗せてマッシュの肩に手を置き、鈍めの動作で弟に跨る。 「慣らせ」 エドガーが権高に命じると、薄ら笑いを浮かべて見上げていたマッシュは軽く肩を竦める。 「逆上せてぐったりしてんだ……自分でしてくれよ」 その言葉にエドガーが目を釣り上げた。 「調子に乗り過ぎだぞ、マッシュ」 「本当だって……、頼むよ」 眉尻を下げながらもやはり笑ったままのマッシュに小さく舌打ちしたエドガーは、おもむろに右手の人差し指と中指を揃えてマッシュの顔に突きつけた。マッシュがきょとんとしたのも束の間、笑みが消えた唇の隙間にエドガーは無理やり二本の指を押し込む。 「んぐっ……」 「しっかり舐めろ。これくらいサボるなよ」 エドガーの意図を理解したマッシュは、再び小さく笑ってから口に差し込まれた二本の指に舌を這わせ始めた。舐め回すと言うよりは乾き気味の口内に残る唾液を絡めるように、先端から根元近くまでたっぷり舌を走らせると、エドガーが頃合いを見て指を抜いた。 唾液の滴る二本の指を見つめたエドガーは、観念したように溜息を漏らし、そろそろと右手を下肢に下ろしていく。そして浴衣の裾から手を潜らせ、自身の後孔に濡れた指の腹を当てがって、細く息を吐きながら窄んだ入り口に押し込み始めた。 深かったエドガーの眉間の皺が僅かに浅くなり、眩しそうに細められる目と同時に顎が上がっていく。色づいていく兄の気配を間近で見つめるマッシュの唇は微笑で弧を描き、その青い瞳には情欲の炎が揺らめいていた。 |