「そういえばお前、リボン……何汚したんだ?」 気怠げにベッドにうつ伏せになり、自分の腕を枕の代わりにしたエドガーの問いに、その横でだらりと仰向けになってぼんやり天井を眺めていたマッシュがああ、と気の抜けた声で答える。 「ちょっと、……オカズにしたら、汚した」 「……待て、今何て言った」 「だから、オカズに」 「……お前、あのリボンがどういうものか分かってるよな……?」 ごめんと笑うマッシュに大きく溜息をついたエドガーは、ごろりと転がってマッシュに背を向けぶつぶつと小言を呟く。お前までそんなこと、と漏らした一言を聞き逃さなかったマッシュは、軽く首を持ち上げてエドガーの乱れた金髪に指を差し入れた。 「お前まで、って……兄貴も? 一人でしてたの?」 エドガーの背中がぴくりと揺れる。図星の様子に口元を緩めたマッシュは、髪に触れていた手をそっとエドガーの双丘に移してゆるりと撫でる。 「……ここで、シた?」 途端、裏拳が飛んで来て間一髪避けたマッシュは笑いながらエドガーの背中を抱き締めた。 「……した」 意外にも返事があってマッシュが驚きに腕を緩めると、くるりと体を回してマッシュに顔を向けたエドガーは普段は透けるような白い頬を真っ赤に染め、釣り上げた目で可愛らしく睨みつけて来た。 「した! 悪いか! 俺だって欲求不満だったんだ!! お前が予定通り帰って来ないから悪いんだろ!」 珍しく大きな声で怒鳴ったエドガーはそのままマッシュの胸に顔を埋めて、ぎゅっと背中に腕を回してくる。 「……したけど、……足りなかった……お前じゃないと、俺は……」 そんなことを言う自分が恥ずかしいのか、胸に顔を擦り付けて恥ずかしそうに体を丸めるエドガーの様子にじんわりと感動してしまったマッシュは、やけに小さく感じる兄の体をすっぽり包んできつく抱き締めた。 「……俺も、兄貴じゃないと満足できないよ」 「リボン汚した癖に」 「悪かったって」 苦笑しながらエドガーの顎を掬い上げ、強がりに尖った唇を柔らかく塞いだ。 |