「マーイク。 10000回目のキス。」 今日も俺の部屋にやってきたヤツは いきなり脳味噌が腐った事を言いながら俺にキスした。 軽く触れ合わせるようなそれ。 けれどもすっごく嬉しそうなヤツの顔。 思わずまじまじ見てしまう。 「カミュー?」 「今の。 10000回目のキスなんだよ? 知ってた?」 知ってた、だあ? 何を根拠にこんな阿呆なことを言い出したのだろう。 眉根を寄せるとカミューはその額にも唇を落とした。 僅かに笑いを含みながら。 「これは厳密なキスに入らないからカウント無しね。 で。 10001回目のキスしよ?」 「待て。 その根拠の無い1万回目のキスというのはなんだ。」 「根拠無くなんか無いよ? 昨日計算したんだから。」 あ? 何を言ってるのだこの馬鹿わ。 「だからどこの何を基準に10000回もカウントしたというのだ馬鹿者。」 「ええー。本当に気付いてないの? 今日俺達がこういう関係になって半年の目の日なんだよ?」 「は?」 こういう関係? こういう関係。 こういう関係、 「って?」 「恋人関係っ。」 やっぱそれか。 でも。 いつの間にやら半年もたったのか。 目の前の馬鹿の顔は相変わらず絶頂に機嫌が良い。 「半年?」 「うん。半年。182日。 で。昨日数えてみたんだけど 俺達の一日平均でキスするのが55回。」 「は?」 「で。 181日×55回で9955回のキスを昨日までにしてたワケだね。」 「はあ?」 「だから今日は朝から数えてたんだよ。 で。さっきのが俺達の10000回目のキス。」 「はああ?」 「納得した?」 するかボケ。 嬉々として近づいてくるカミューの顔を押しやる。 もっとも機嫌のスペシャル良い馬鹿は その手首を捉えて人の身体ごと引き寄せていきやがった。 挙句の果てにベッドに重ねて落ちる。 このヤロウ。それが狙いか。 「ね。 10001回目のキスしよ? これからもずっとマイクといられるように。」 「の前に。カミュー。 俺とお前の一日平均キスの数55回は絶対間違ってる。」 「間違ってないよ。 昨日数えたもん。」 そんな馬鹿もん数えてたのかこの馬鹿たれ。 「一日にそんな何回もするかっ。」 「しーてーるーの。 夜、ベッドの中でのキスは流石に俺も数えてらんないから、まあオマケで30回。 で昨日は昼間に25回したの。 だから一日55回っ。 そいで今日は朝からキスの数かぞえてさっきのが10000回目っ!」 黙って聞いてればぬけぬけとーっ。 上に乗ってる身体をなんとか蹴り落とそうと躍起になる。 がヤツはのらりくらりと俺を押さえ込み 手際良く人の寝間着をはだけて行った。 むむう。 「それで今日はやたらキスしに来たのかお前はっ!」 「ホントは毎日したいくらいだけどね。 折角半年目にかぶったことだし アニバーサリーでも狙ってみようかと。」 「絶対してないっ、そんなにしてないっ!! この半年間、毎日毎日お前と会ってたワケじゃないぞ!」 遠征に行ってて会えなかったり 一週間くらい喧嘩してたり医務室に監禁とかだってあった。 そんなに連日キス出来るかっ。 「その分、一日55回じゃきかない日だってあったでしょ? だから平均55回。 俺とマイクの10000回のキス。 じゃ、10001回目のキスね。」 「やかま、し、。 ん。う、」 有無を言わさず。 10001。 さっきのキスとはあきらかに趣の違うそれ。 俺の上に乗ってる馬鹿に言わせると 10001回目 らしい。 気がつくと抵抗も忘れてそのキスに酔っている自分がいた。 ゆるやかに解かれて行った唇が名残惜しくて切ない。 そんなキス。 「愛してる。 マイク。」 「お前。 かみゅ、」 「10001回目ね。 それから。もっと。」 するりと彼の手が割り開かれた服の間を滑っていく。 その感覚に肌があわ立つ。 「何度もキスしよマイク。 俺と。ずっと。」 「ずっと。 そんな何度も出来るか。」 「出来るよ。 するよ。 俺が。マイクに。 狙ってるのは100万回のキスだから。」 新たなキスを貰う。 10002。 10003。 「そんなにする気か。」 「簡単でしょ? 単純計算で50年で達成できるんだから。」 10004。 たかが50年だよ? そんなヤツの囁きを受けた。 仕方ないので10005回目のキスとやらはこちらから。 それから あとはかぞえてなんかいられない。 なので夜は30回ということにしておいてやるっ。 CongratulationS for 蒼玻玲サマ on 10000Hits!! END |
田中うずり様からいただいたSSです!
当サイトの10000HIT時にうずり様のお宅で40000HITを踏ませていただいたことと、
うちの半年記念を加えてこんな素敵なSSを書いて下さいました!
10000回のキスというシチュエーションにも大感激。
きっと二人は50年後も同じようにキスを交わしているのでしょうね…v
田中うずり様、有難うございました!
(2001.06.06UP)