春浅き武奈ヶ岳 


プロローグ
今年はここ近年では珍しく寒い冬だったようで、彼岸を迎えた今日も各地でスキーが出来るようです。
しかも願ってもない三連休。仕事も一つの峠を越え心にゆとりが少し出来たこともあり、
急に山を歩きたいと思うようになりました。やはり雪を見たい。
伊吹山には4年前に行ったので、今度は「比良の暮雪」で有名な比良は武奈ヶ岳に行くことにしました。
愛宕山以来、1年間歩いておらず、雪道を歩けるか心配でしたが、山の魅力の前にはそんな不安も消し飛びます。

自宅−比良駅
近くのJRの駅まで車で送ってもらい、青春18切符を買う。
通常の切符なら比良駅まで片道でも2,210円。
5日間使えて、11,500円はとてもありがたい。
新快速で約1時間半の快適な車中・・・これが甘かった。
さすがに三連休。乗客の入れ替わりの流れが悪く席が空かない。
ようやく座れたのはほとんどの客が降りた京都駅からだった。

比叡山を越えた堅田辺りから、
頂きに雪を載せた比良の山並みが車窓に見えてくる。
いつものことだが、雪を見ると血が騒ぎ始める。

比良駅−比良スキー場
終点のバス停から、登山リフト乗り場に行く。
以前の私ならイン谷口から歩いていたのだが・・・
それに、イン谷口で降りた登山者は1名だけだった。
登山者の高齢化と共に、気骨者が減ったものだと感じる。

登山リフト、ロープウェーと乗り継ぎ、比良ロッジに着く。
少し歩いた所にあるスキー場から、
これから登ろうとする武奈ヶ岳の頭がひょっこり出ている。
一旦下り、ゲレンデ場を横切って登山路に入る。

比良スキー場−武奈ヶ岳
雪が適度に締まっていて歩きよい。無雪期なら背の丈ほどある道標が雪に埋もれかけている。
コヤマノ岳との鞍部を越えると視界が一気に開け、白銀の輝きの上に蒼空が拡がる。
山頂は近い!

武奈ヶ岳山頂
程なく、1214mの標柱が建つ山頂へたどり着いた。
無風、快晴・・・絶好の条件である。
比良の盟主ならではの360°の展望が拡がる。
前回この頂きに立ったのは10年も前だが、ちっとも時間を感じさせない。

南の蓬莱山の雪と木で創られたモノトーン模様がとても美しい。
琵琶湖の遙か彼方に、見覚えのある純白の山が見える。
加賀白山だ。比良からこんなに綺麗に見えたことは初めてだ。
伊吹山の左手には木曽御岳らしい白い山容も・・
コンビニで買ったおにぎりとカップラーメンを食べながら至福の時間を過ごす。

山頂からの眺め (クリックすると大きな画像が表示されます)

蓬莱山(1174m)

三重岳(974m)

白山(2702m)

西南稜
大好きな稜線を下る。振り返るたびに武奈ヶ岳が高くなる。
谷を挟みたおやかな姿を見せるヤマノ岳を道連れに歩く。春の陽を浴びて雪の稜線が眩しく輝く。

武奈ヶ岳(1214m)

コヤマノ岳(1181m)

西南稜を行く

ワサビ峠−中峠−金糞峠−イン谷口
見晴らしの良かった稜線を離れ、ワサビ谷へと下る。
と・・・ここからが大変だった。
あまり人気のないルートなのか踏み跡がほとんどない。
雪は腐っていて、うっかり踏み抜くと膝まで潜ってしまう。
幾度となく小川を横切り、そのたびに段差を越えなければならない。
そして、最悪は金糞峠からの岩・雪ミックスの下り。
日頃の不摂生がたたり、膝ガタガタ、足ヨレヨレの下山となってしまいました。
余裕があったはずのイン谷出合4時着も怪しくなり、
最後は駆け足に近い状態でイン谷口に到着。ホッ!

またいつか・・・
タイミング良く来たバスに飛び乗り、駅へと向かう。
比良駅では京都行きの普通電車を見送り、
次の新快速電車「湖西レジャー号」を待つ。
プラットホームからは、煙がたなびき春ののどかな風景が拡がる。
比良よ、また来る日もいい天気で出迎えてください。さようなら・・・

帰りの新快速電車では楽に座ることが出来、
快い疲れをおぼえながら帰途についた。
やっぱり、山はいいなぁ・・・

コースタイム (山行日:2003年3月21日)
比良駅 (9:42)
比良ロッジ (10:45〜11:00)
武奈ヶ岳 (12:15−13:15) 
ワサビ峠 (13:50−14:00)
金糞峠 (15:05−15:10)
イン谷口 (16:00)
比良駅 (16:20)

撮影データ カメラ:OLYMPUS C-2020 zoom (35-105mm 35mフィルム換算)