第2章 租税原則と税体系
租税とは
国および地方公共団体が、政府支出を賄うために強制的に徴収する
1.租税の分類
(1)貨幣循環と課税のインパクト
(2)経済的分類
i.所得課税
ii.消費課税
iii.資産課税
C.直接税・間接税
直接税 納税義務者と税負担者が同一 所得税・法人税
間接税 納税義務者と税負担者が異なる
消費税
問題点:本当に転嫁できるか否か 消費税・法人税
2.租税原則の変遷
(1)アダム・スミスの4原則(1776)
→課税の根拠:利益説(公共サービスの対価)
1.公平性の原則
2.明確性の原則
3.便宜性の原則
4.最小徴税費の原則
↓
比例所得税
(2)アドルフ・ワーグナー(ドイツ歴史学派)の9原則(1890)
→課税の根拠:義務説(国家は社会的利益を追求する家父長的保護機関、国民は国家の存立と維持に必要な限り
租税その他の経済手段を提供しなければならない、共同体に対する倫理的義務)
1.財政政策上の諸原則
課税の十分性
課税の可動性
2.国民経済上の諸原則
正しい税源の選択
租税の作用を考慮して税種の選択
3.公正の諸原則
課税の普遍性
課税の平等性
4.税務行政の諸原則
課税の明確性
納税の便宜性
最小徴税費の努力
(3)現代の租税の3原則
公平性
効率性(中立性)
簡素(徴税と納税協力費の最小化)
税制諮問会議 効率性(中立性)→活力
3.課税の公平性
(1)利益説による負担の公平
各個人が享受する公共財の受益に応じて税負担を配分
リンダール均衡
問題点:フリーライダーの発生
受益と負担の関係が明確な道路目的財源のガソリン税など一部の税
(2)能力説による負担の公平
支払い能力に応じて税負担を配分
a.水平的公平(horizontal equity)
「等しい経済力を持つ人々の等しい取扱い」
所得・消費・効用
b.垂直的公平(vertical equity)
「異なる経済力を持つ人々の異なる取扱い」
累進課税の根拠
→犠牲説(sacrifice theory)
税負担から生じる犠牲(マイナスの効用)を個人間で均等にする
均等絶対犠牲
税負担による犠牲の絶対量を均等にする
均等比例犠牲
所得の総効用に対する犠牲の割合を均等にする
均等限界犠牲(最小犠牲説)
限界的な犠牲を個人間で均等にすればよい、税負担による犠牲の最小化
能力説の前提
1.税制の中立性
税制は所得に対して何等の影響を与えず中立的である
2.効用の所得依存性と所得の限界効用の逓減
各家計の効用関数は所得にのみ依存し、所得の限界効用は正で逓減する
3.選好の同一性
各家計の効用関数は同一である
4.功利主義的な社会的価値観
すべての家計は社会的価値判断において同等に評価される
疑問点
*各家計の所得稼得意欲への影響(効用は所得にのみ依存、労働供給の問題)
→効率性の問題を無視
4.課税の効率性
1980年代 アメリカのレーガン政権、イギリスのサッチャー政権の誕生
課税の超過負担(excess burden):死重損失(deadweight loss)
補償需要曲線による説明
財政学用語集「超過負担」参照
無差別曲線による説明
消費者の予算制約
Y=w(24−X)
消費者の効用関数
U=XY
L=XY+λ(Y−w(24−X))
LX=Y+λw=0 (1)
LY=x+λ=0 (2)
Lλ=Y−w(24−X) (3)
(1)(2)より
Y/w=X=−λ
(3)に代入すると
Y=w(24−Y/w)
Y=24w−Y
Y=12w
X=12W/W=12
t%の比例所得税 T=tw(24−X)
消費者の予算制約 Y=w(24−X)−T=(1−t)w(24−X)
t:50% W:1000円
L=XY+λ(Y−(1-t)w(24−X))
LX=Y+λ(1-t)w=0 (1)
LY=x+λ=0 (2)
Lλ=Y−(1-t)w(24−X) (3)
(1)(2)より
Y/(1-t)w=X=−λ
(3)に代入すると
Y=(1-t)w(24−Y/(1-t)w)
Y=24(1-t)w−Y
Y=12(1-t)w
X=12(1-t)W/(1-t)W=12
税収はT=tw(24−12)=12tw
定額税 T(労働時間に依存しない)
消費者の予算制約 Y=w(24−X)−T
L=XY+λ(Y−w(24−X)−T)
LX=Y+λw=0 (1)
LY=x+λ=0 (2)
Lλ=Y−w(24−X)−T (3)
(1)(2)より
Y/w=X=−λ
(3)に代入すると
Y=w(24−Y/w)−T
Y=24w−Y−T
Y=(24w−T)/2
X={(24w−T)/2}/w
比例税と同じ効用水準を達成する定額税
比例税の効用水準は
u=12*6000=72000
XY=((24w−T)/2)・((24W−T)/2W)
72000*4W=(24w−T)2
288,000,000=(24000−T)2
√288,000,000=(24000−T)
T=24000−√288,000,000=24000−16970.56275=7029.43725
5.税体系
(1)国税と地方税の税目
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(2)国税と地方税の税収内訳
平成13年度予算額
平成13年度 一般会計税収とその内訳
平成13年当初予算額 | 構成比 | |
所得税 | 185,720 | 36.6% |
法人税 | 118,390 | 23.3% |
相続税 | 15,970 | 3.1% |
地価税 | 10 | 0.0% |
消費税 | 101,290 | 20.0% |
酒税 | 18,230 | 3.6% |
たぱこ(消費)税 | 8,810 | 1.7% |
揮発油税 | 21,210 | 4.2% |
石油ガス税 | 140 | 0.0% |
航空機燃料税 | 900 | 0.2% |
石油税 | 4,880 | 1.0% |
自動車重量税 | 8,440 | 1.7% |
関税 | 8,140 | 1.6% |
とん税 | 90 | 0.0% |
印紙収入 | 15,050 | 3.0% |
合計 | 507,270 | 100.0% |
出所:『財政金融統計月報(租税特集)』
(3)国際比較
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出所:財務省ホームページhttp://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/015.htm
( | 備考) |
1 | .日本は平成13年度予算ベース。諸外国は「Revenue Statistics 1965-1999 (OECD)」により作成。 |
2 | .所得課税には資産性所得を含む。 |
出所:財務省ホームページhttp://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/016.htm