第7章 消費課税

第1節.消費課税の現状と仕組み
(1)消費課税の現状


p112
表7−1 消費課税の内訳(国税)

出所:財務省ホームページhttp://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/100.htm


国税に占める比率(平成28年度予算)
消費課税  39.2%     
消費税    28.1% 
酒税      2.2%
たばこ税等   1.7% 
 揮発油税等 4.3%
 自動車重量税 1.1%
 


図7−1 国民所得に占める消費課税(国税・地方税)の割合

p113   イギリス、フランス、ドイツ ヨーロッパの比率が高い

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/101.htm





(2)消費税の仕組み
図7−2 課税ベースの広い間接税の諸類型
・多段階課税
  付加価値税  前段階税額控除方式(インボイス方式、伝票方式)
         仕入控除方式(アカウント方式,帳簿方式)
  取引高税
・単段階課税
  小売売上税
  卸売売上税
  製造業者売上税

税額の計算方法
 取引高税の仕組み
   売上げ×税率=税額
数値例 税率10%
  課税前 1000円→2000円
  課税後 1000×(1+10%)=1100円   (1100+1000)×(1+10%)=2310円   租税の累積  

図7−3 消費税の仕組み

   

 納税額=税込み売上額×5/105−税込み仕入額×5/105



(3)非課税措置

P115 表7−2

社会政策上の配慮 教育の一部、医療など
消費税になじまない 土地の取引、貸付金等の利子(銀行の手数料は課税)、保険料等


(4)複数税率
P115 表7−2
    日本は単一税率
    ヨーロッパは複数税率    逆進性の緩和措置

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/108.htm

(5)中小企業の特例措置

 消費税導入時  免税点制度 簡易課税制度  限界控除制度

免税制度 納税を免除、ただし仕入れに含まれる税額を控除できない。 

P117 図7−4 免税による益税の発生


簡易課税制度

P118 図7−5 簡易課税制度の仕組み


限界控除制度  平成6年度改正で廃止

P118 図7−6 中小企業に対する特例措置の推移

出所:財務省ホームページhttp://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/111.htm(閲覧日2013年6月18日)



   

第2節.消費税改革の課題
(1)益税問題
  中小企業に対する特例措置の見直しで益税規模は縮小


P120 図7−7 特例措置の国際比較(最新の資料

      ドイツは特例措置の適用上限がかなり低い

      日本の消費税は帳簿方式であり、簡易課税制度は本来不要



(2)複数税率化

消費税の逆進性:所得が上昇するにつれて、税負担率が下落

逆進性の緩和措置
・民主党案   給付付き税額控除

・自公案    複数税率化    


 
(3)消費税の使途



消費税の「福祉目的化」
 平成11年度予算から、国の消費税の収入(地方交付税分を除く国分)を基礎年金、老人医療及び介護に充てることを予算総則に明記
(予算総則とは、歳入歳出予算などのほかに毎年度の財政運営に必要な基礎的事項について、条文形式で規定を設け、その年度の予算の一部として国会の議決を求めるもの)

参考資料
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/404.htm
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/122.htm
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/120.htm

(4) インボイス方式への移行について

1994 年の税制改正
「請求書、納品書、領収書その他の取引の事実を証する書類( インボイス) のいずれかを
保存することをその要件に加える」

インボイス化すると複数税率に対応しやすい


参考資料

【28年度改正】(平成33年4月1日施行)

複数税率制度の下において適正な課税を確保する観点から、請求書等保存方式における請求書等の保存に代えて、「適格請求書発行事業者」から交付を受けた「適格請求書」の保存を税額控除の要件とする「適格請求書等保存方式」(インボイス制度)を採用



第3節 特定財源
(1)特定財源の沿革

1 特定財源の沿革

概要

昭和24

揮発油税創設→一般的な財政需要に応じる必要から、揮発油の消費に負担を求めるため

昭和25

入湯税を市町村の普通税として創設。

→鉱泉浴場所在の市町村特有の財政需要に対処するため、昭和32年度の税制改正により目的税に変更。

昭和28

「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」制定

→道路整備五箇年計画(第1次:昭和29年度〜33年度)策定とともに、その財源として揮発油税収相当額を国の道路整備に充当。(昭和33年に制定された「道路整備緊急措置法」に引き継がれ、現在に至る。

昭和29

「昭和29年度の揮発油譲与税に関する法律」制定

→昭和29年度に限り、揮発油税収の3分の1に相当する額を地方に譲与。

昭和30

地方道路税(国税)創設。

→課税対象は揮発油。税収のすべてが地方の道路特定財源として地方に譲与。

昭和31

軽油引取税創設

→地方道路整備の緊急性及び揮発油を燃料とするガソリン車と軽油を燃料とするディーゼル車との負担の均衡などを考慮し、都道府県及び指定市の道路に関する費用に充てるための都道府県の目的税として創設。その後、平成元年に、軽油の流通実態等に鑑み消費地課税などの制度の抜本的な改正実施。

昭和38

入猟税創設

→狩猟法の改正に関連して狩猟者税廃止の代替として、狩猟者免許税と併せて都道府県の目的税として創設。税収は、鳥獣の保護及び狩猟に関する行政の実施に要する費用に充当。

昭和41

石油ガス税創設

→石油ガスを燃料とするLPG車と揮発油を燃料とするガソリン車との負担の権衡を図る観点から創設。揮発油税などとともに、「道路整備緊急措置法」などに基づき、国・地方の道路特定財源とされている。

昭和43

自動車取得税創設

→地方道路財源の充実強化を図り、都道府県及び市町村の道路に関する費用に充てるため、都道府県の目的税として創設。

昭和46

自動車重量税創設

→自動車の走行が多くの社会的費用をもたらしていること、道路その他の社会資本の充実の要請が強いことを考慮して、広く自動車の使用者に負担を求めるため創設。

昭和47

航空機燃料税創設

→空港整備などのための財源を確保する等の観点から創設。税収は、国の空港整備費や地方の空港対策費に充当。

昭和49

電源開発促進税創設

→原子力発電施設、火力発電施設、水力発電施設等の設置促進などの電源立地対策を講じるための目的税として創設。昭和55年に、税収の使途に石炭、原子力、水力、地熱等の電源多様化対策を追加。

昭和53

石油税創設

→石油一般の利用に共通する便益性に着目し、石油対策に係る財政需要に配意して、広く石油の消費に対して負担を求めるために創設。税収は、当初、石油対策に要する費用に充てることとされていた。昭和55年度以降は、石油代替エネルギー対策、平成5年度以降は省エネルギー対策などにも充当。


(2)特定財源等の現状

税目 課税物件 税率 税収の使途 税収
(21年度
予算額)
国分 地方分
(譲与分)
億円 億円 億円
揮発油税 揮発油

1キロリットルにつき

48,600円

(特例税率:5.12.1〜30.3.31)

国の一般財源である。

26,280 26,280
地方揮発油税 揮発油

1キロリットルにつき

5,200円

(特例税率:5.12.1〜30.3.31)

都道府県及び市町村の一般財源として全額譲与されている。

2,812 2,812
石油ガス税 自動車用
石油ガス

1キログラムにつき

17円50銭

1/2は国の一般財源とされ、1/2は都道府県及び指定市の一般財源として譲与されている。

260 130 130
自動車重量税 乗用車
トラック
バス等
(例) (自家用) (営業用)

○乗用車 自重0.5トンごとに

 

6,300円(年) 2,800円(年)

○トラック

2.5トン超総重量1トンごとに

6,300円(年) 2,800円(年)

2.5トン以下総重量1トンごとに

4,400円(年) 2,800円(年)

○バス 総重量1トンごとに

6,300円(年) 2,800円(年)

○軽自動車(検査対象)

1両につき

4,400円(年) 2,800円(年)

(特例税率:51.5.1〜30.4.30)

2/3は国の一般財源(一部を公害健康被害の補償費用の財源として交付)であるが、1/3は市町村の一般財源として譲与されている。

9,690 6,460 3,230
航空機燃料税 航空機燃料

1キロリットルにつき

26,000円

11/13は特別会計に関する法律に基づき国の空港整備財源に充てられ、2/13は空港関係市町村及び都道府県の空港対策費として譲与されている。

981 830 151
石油石炭税 原油、輸入石油製品、ガス状炭化水素、石炭

○原油、輸入石油製品 1キロリットルにつき

2,040円

○天然ガス、石油ガス等 1tにつき

1,080円

○石炭 1tにつき

700円

特別会計に関する法律に基づき燃料安定供給対策及びエネルギー需給構造高度化対策に充てられている。

5,100 5,100
電源開発促進税 一般電気事業者の販売電気

千キロワット時につき

375円

電源開発促進税法及び特別会計に関する法律に基づき電源立地対策及び電源利用対策に充てられている。

3,510 3,510
出所:財務省ホームページhttp://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/132.htm

(3)道路財源の一般財源化

  我が国の公共投資の対GDPは国際比較では突出して高い。

(対GDP比でみた一般政府固定資本形成:イギリス1.8%、フランス2.8%スウェーデン2.8%、日本6.0%

     自動車関係諸税の適正水準

図7-9自動車関係諸税の年間税負担額の国際比較(試算)
P126


     北欧での環境税→2重の配当



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