RAGNAROK SS 「すべての始まり」(その1)
(もうだめ…)
私は初めて『死の恐怖』を感じました。
外にでて弱いモンスター一匹ぐらいなら何とか倒せるようになったんです。
いつものようにポリンをナイフでぺシペシ叩いていたら…
グニャ
あれ?
なんか踏んだかな?
足元を見るとそこには緑色をした物体が。
って、モンスター!?
時すでに遅し。このモンスターは(ファーブルって言います。)私にねらいを定め攻撃開始。
「痛っ…痛いっ〜」
何とかポリンは倒すことができました。
けれどさすがに2匹同時には無理でした。
もう、限界。
ああ、意識が朦朧としてきました。
私って天国に行けるのかぁ。
と思っていたら、ほんとに身体が軽くなってきて…
「あ、あれ?」
気がつくと、身体のダメージが消えていました。
なんで?
その答えはすぐにわかったんです。
少し遠くから女の人が私に「ヒール」を唱えてくれたんです。
で、いきなりだったのでボーっとしていたら…
女の人はいつもまに消えてしまいました。
「あ…」
一言伝えたいことがあったので、探そうとしたら
ガシガジ
…さっきのモンスターです。
「えーい!じゃまです!!」
ごす
景気の良い音とともに崩れさるモンスター。
「あ”、す、少しやりすぎちゃったかな…」
ま、まぁ気にしないで、とりあえずさっきの人を探さないと。
で、その人はすぐに見つかりました。
やっぱり、他の人に「ヒール」を唱えていました。
その人はまたすぐにどこかに行こうとしていたので
「あ、あの!!」
自分でもびっくりするぐらい大きな声で呼びとめました。
むこうは首をかしげてこちらに振り向きました。
しばし沈黙。
うわぁぁ。き、きんちょうして言葉が。
「あ、あの、ですね…」
たどたどしい言葉でなんとか喋りました。
向こうはじっとこちらを見ていました。
まるで、私の言いたいことが全てわかっているような顔つきで。
そ、そうだ!!
こんなときは深呼吸、深呼吸。
すーはー、 すーはー
…よ、よし。
もう一度その人のほうに向いて勇気を出して
「あ、ありがとうございましたっ」
ぺこってお辞儀をしました。
そうしたらその人は静かに微笑んでくれました。
「あ…」
それから、すぅっとどこかに消えてしまいました。
「…私もなれるかな…」