電信級の受験 ( 国試ハムと講習会ハム ) 1971/4 |
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CQ誌のCQサロンと言う投稿欄には講習会ハムの話題がよく掲載された.論調のほぼ100パーセントが講習会で資格を取得したハムたちへのマイナス評価だった.いわく安直である,技術的な興味がない,電信ができない,マナーがなっていない・・等々.極大雑把に言って1970年頃は有資格者が30万人.アマチュア局が10万局といった規模だったと思うが,戦後GHQと交渉しながらハム再開にこぎつけた苦労を知る大OMたちにとって,雨後の竹の子のような増え方の講習会ハムたちはまるで違う価値観をもつエイリアンのような印象だったのではなかろうか.象牙の塔的な比較的閉じられた趣味の世界が無理やり異邦人たちにこじ開けられるような不快感を感じていたのだろう.
当時は工学20時間法規20時間でフルタイムでも一週間以上の受講時間を要した
クロブチ眼鏡の典型的なラジオ小僧である.
私自身講習会ハムなのでそのような記事を読むたびに劣等感を感じていた.電話級 (4アマ) 取得後すぐに電信級 (3アマ) の国試を受験したのもそんなところから来たモチベーションが原因だったように思う.
今思えば田舎の中学生が近所に助言者もなく独学で国試に合格できたとしても理解は表面的なもので終わったはずで.とりあえずは専門家にみっちり数十時間の講義を受けた経験は貴重なものだった.
いきなりベテランハムが生まれるわけでなし,どんな趣味でも深めていくにはある程度の自己研鑽が必要になる.その基礎として初めにまとまった知識を授けてくれる講習会は決して悪い存在ではなかった.
ハム界にとっても講習会で増えた有資格者のおかげでメーカは良質のリグを安価に供給する体制が整い,多大な恩恵を受けたはずだ.後年数回の講習会の講師を経験し200名ほどの4アマ誕生に力を貸したが,その点について毎回講義の中で触れてきた.
OM だらけで新人のいない現在のハム界を見渡せばバンドがすいてQSOがしやすくなった快適さよりも寂しさの方が先に立つのは私だけではないと思う.少々やんちゃでも若い声がバンドのあちこちで聞こえていてほしい.
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講習会で得た知識とオープンリールのモールス練習用テープのおかげでどうにか電信級 (現3アマ) は合格したけれど電信で即 QSO とはいかなかった.初のモールスによる ON THE AIR は実に9年後の 2アマ合格後であった.ことほどさように 25字/分 の合格ラインは実際的ではなかった.ただし国試のレベルが低すぎるということではない.新たなことを目指すものに対してハードルを課す立場のものはむやみにそれを高くするべきでないと思うからだ.要は合格後に交信に必要なスピードが出るまで自分で練習したか否かということ.
引き出しの奥から出てきた32年前の受験票と合格通知
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しばらく時間をかけて少しずつアップしていきます.よろしく.
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