楽しい園芸
サクサクサク…

天蓬「ふぅ…こんなもんでしょうかねぇ」
捲簾「ホントだったんだな…」
天蓬「おや?捲簾、どうしたんですか?」
捲簾「いや、すっげー噂になってるからさ。『天蓬元帥が園芸に勤しんでる』ってな…なんでまたいきなりんなコト始めたんだ?」
天蓬「いやー、これが始めてみるとなかなか楽しいですよ?地上の花と天界の花を掛け合わせて品種改良したり…綺麗に咲きましたでしょ?」
捲簾「ふぅん…でも以外だな。お前にそんな花を愛でる趣味があったなんて」
天蓬「いや、花はこの際どうでもいいんですけど」
捲簾「…あぁ?」
天蓬「僕はどちらかと言えば実益主義ですからね」
捲簾「…ぜんっぜん訳分かんねーんだけど?」
悟空「天ちゃぁ〜んっ!」
天蓬「おや、悟空いらっしゃい」
悟空「あ、ケン兄ちゃんもいたんだっ!」
捲簾「おぅ!相変わらず元気だな」
悟空「うんっ!俺は元気だよ?」
捲簾「あ?俺はって……」
天蓬「あ、悟空ちょうどよかった。この前言っていたもの出来てますよvv」
悟空「ほんと?よかったぁ…ますます金蝉疲れてるみたいだからさ〜」
天蓬「ちょっと待ってて下さいね〜♪(スタスタスタ)」
捲簾「おい、何の話してんだ?」
悟空「天ちゃんに元気になるの貰うの〜!」
捲簾「はぁ?何だそりゃ…(悩)」
天蓬「お待たせしました〜!はい、このお茶ですよ(ニッコリ)」
悟空「ありがとー、天ちゃんっ!あ…でもさ、これ苦くない?」
天蓬「大丈夫ですよ。味は普通のお茶と変わりませんから、絶対金蝉にはバレません(含み笑)」
捲簾「……!?(ぞぞぞっ)」
悟空「そか…よかったぁvvvんじゃ、金蝉に飲んで貰わなきゃっ!」
天蓬「そうですねぇ…ちょうどおやつの時間ですからね」
悟空「うんっ!そんじゃ天ちゃん、ケン兄ちゃん、まったね〜♪(猛ダッシュ)」
天蓬「はい、あとで様子教えて下さいねぇ〜♪」
捲簾「…お前、ナニ作ったんだ?」
天蓬「はい?さっきのお茶ですか?僕が品種改良した植物の根を調合した滋養強壮にバツグンのお茶ですよvvv」
捲簾「人体実験するつもりだな?」
天蓬「そんなぁ〜、人聞きの悪い。人様に差し上げるんですから、まず自分で試してますよー?(微笑)」
捲簾「な…なんだよ、その笑い?」
天蓬「いやぁ…その辺に関しては捲簾の方が身をもって体験してると思うんですけどねぇ」
捲簾「なに?お前…もしかして!?」
天蓬「おや?気付きましたか(ニッコリ)」
捲簾「どうりで最近やけにしつこいと思ったら…(ガクッ)」
天蓬「あ、やだなぁ〜♪モチロン僕だけのせいじゃないですよ?」
捲簾「お前っ!俺にも飲ませてたのかーっ!!」
天蓬「はいvvvでも滋養強壮なんですから、身体にはイイんですよ?モチロン」
捲簾「…油断も隙もありゃしねぇ(ブツブツ)」
天蓬「でも言われないと分からないでしょ?」
捲簾「そりゃ…って言うコトは?お前、そんなことの為に花作ってんのか!?」
天蓬「だ・か・ら!言ったでしょう?実益主義だってvvv」
捲簾「そーいうヤツだよ、お前って(脱力)」
天蓬「でも…早く次の薬の結果が知りたいですねぇ」
捲簾「あ?さっきの茶か??」
天蓬「いーえ?違うものですよ(微笑)」
捲簾「…違うヤツ?どんなのだよ」
天蓬「さて?結果が顕れないことには…」
捲簾「結果?」
天蓬「………(ニコニコ)」
捲簾「ま…まさかっ!?(愕然)」
天蓬「いやぁ〜、楽しみですねぇ♪」
捲簾「吐けっ!テッメー、何の薬盛りやがったんだーっっ!!」
天蓬「あはははは〜♪」




世話焼きさん
捲簾「…たく。部下に行方不明に思われるほど籠もるんじゃねーっつーの(呆)」

コンコン☆

しーん…。

捲簾「まぁたトリップしてやがんな…(溜息)」

ガチャッ☆

ずしゃーーーーっ!

捲簾「はぁ…片したの先週じゃねーかよ(ガクッ)」

バサバサッ←足で路を作成

捲簾「おーい、天蓬!生きてんのか〜」
天蓬「………。」
捲簾「あのなぁ…返事ぐらいしろっつーの!(ぽんっ)」

ふわぁ〜、どさっ!

捲簾「てっ!天蓬!?」
天蓬「………。」
捲簾「ね…寝てる…(汗)」
捲簾「おいっ!天蓬!!」
天蓬「…あ…あれ?(ぽやー)」
捲簾「あれ?じゃねーだろー!本持って目ぇ開けたまま寝るんじゃねーよっ!!」
天蓬「おや?寝てましたか…ふぁっ(欠伸)」
捲簾「お前なぁ…部下達に行方不明扱いにされてるぞ」
天蓬「そうなんですか?大袈裟ですねぇ…ところで今日は何日ですか?」
捲簾「日にちが分からねーほど籠もってたのかよ…」
天蓬「えーっと…捲簾がこの前来てからですけど?(ぽりぽり)」
捲簾「って!1週間ずーっとかっ!?…と、その前にお前何気にクセーぞっ!!(避難)」
天蓬「あー…1週間風呂入ってませんねぇ、あははは」
捲簾「……天蓬」
天蓬「何ですか?」
捲簾「今すぐ風呂入ってこーいっっ!!(蹴りっ)」
天蓬「はいはい、分かりました…」
捲簾「全くっ!ズボラにも程があるっ!!その間に適当にココ片しておくからな!」

ザーーーーー…

天蓬「すいません捲簾、タオル持ってきて下さい」
捲簾「風呂入るのにタオルぐらい持ってけよ(ぶつぶつ)…ホラッ!」
天蓬「ありがとうございます〜」

ザーーーーー…

天蓬「捲簾ちょっと…石鹸取ってきて貰えますか〜」
捲簾「お前なぁ…何しに風呂入ったんだよ(呆れ)…ホラッ!」
天蓬「ああ、すみません。ちょうど切れてたの忘れてまして」

ザーーーーー…

天蓬「あのー…捲簾、シャンプー持ってきて下さ〜い」
捲簾「あーのーなぁ〜!何でお前んトコの風呂には何も置いてねーんだよっ!ホラッ!!」
天蓬「あはははは…無くなってるの気付きませんでした〜」

ザーーーーー…

天蓬「えーっとぉ…捲簾」
捲簾「(ブチッ)今度は何がねーんだっ!?いっぺんに言えよなっ!」
天蓬「あ、いえいえ。どーも変な状態で寝てたせいか肩がおかしくて背中に手が届かないんですよ〜。すみませんけど背中流して貰えますか?」
捲簾「ったく…世話の焼ける。ホラ、タオル貸せよ」
天蓬「はい、お願いしますvv」

ゴシゴシゴシ…

捲簾「…お前って着やせするタイプだよなぁ(しみじみ)。」
天蓬「僕、太ってますか?」
捲簾「そーゆー意味じゃなくって…普段あんなカッコしてるから一見細くて貧弱そうに見えるけど、ちゃんと筋肉ついてるもんな(感心)」
天蓬「今更何言ってるんですか?僕の身体のことなんか捲簾が一番よく知ってるでしょう(クスッ)」
捲簾「なっ!(赤面)ほらっ!終わったから、後は自分でやれよなっ!!」
天蓬「あっ!手が!!」←わざとらしい
捲簾「ぶはっ!わわっ、バカ何してっ!!シャワーこっち向けるなーっ!!」
天蓬「あー…すみませんねぇ。捲簾びしょ濡れになってしまいましたか」←確信犯
捲簾「…お前な」
天蓬「濡れたついでですから、捲簾も入りましょう!先程の御礼に今度は僕が洗ってあげますよ…捲簾の全身隅から隅まで(ニッコリ)」
捲簾「なっ!…いや、こんなの乾かせばいいだけだし…俺朝起きてから入ったから…(後ずさり)」
天蓬「ダメですよ?濡れたまま居るなんて身体冷えちゃいます!お湯に浸かって温まらないと…ちゃーんと僕が温めてあげますからねvvv」
捲簾「いいっ!いいってばっ!!」
天蓬「あ、いいんですね!ささ、脱いじゃいましょうね〜」
捲簾「その意味じゃ…わわっ!いきなり…やめろってっ!!」

ぎゅっ。

捲簾「あ……。」
天蓬「おや?元気ですねぇ〜vv握っただけなのに〜♪」←楽しそう
捲簾「…ダマされた(ぼそっ)」
天蓬「今更でしょ?それに風呂に入れって言ったのは捲簾ですしね(にっこり)」
捲簾「最初っからこーするつもりだったクセに…」
天蓬「やだなぁ〜、たまたまですよ〜♪」
捲簾「ウソだぁーーっっ!!(叫)」
天蓬「あ、それに捲簾、風呂入ってきたっていいましたけど、洗ってないトコあるじゃないですか〜♪(嬉)」
捲簾「んなトコある訳…」

ずぷっ。

捲簾「うわっ!天蓬いきなりっ…ああっ!」
天蓬「まさかココは自分で洗ってないですよねぇ?指入れてこぉーんな奥までvvv」
捲簾「やめっ…んんっっ!」
天蓬「言ったでしょ?ちゃんと僕が洗ってあげますって(ニッコリ)」←黒
捲簾『やっぱ…ダマされた(号泣)』




宝物
悟空「天ちゃん、ケン兄ちゃん!おかえり〜♪」
天蓬「ただいま、元気にしてました?」
悟空「うんっ!でもね、天ちゃんとケン兄ちゃんがいなくって、つまんなかったよ」
捲簾「お?嬉しいこと言ってくれるじゃねーの、小ザルちゃん♪」
悟空「猿ってゆーなっ!!(ぐぅ!)」
天蓬「まーまー、お茶でも入れましょうね」
捲簾「お、そうだ!悟空に土産あるんだった(ごそごそ…)下界でお前が好きそうなお菓子、いっぱい買ってきたからな〜」
悟空「うっわぁ〜っ!すっげ〜〜vvvケン兄ちゃんありがとうっっ!!(ぎゅっ)」
捲簾「よしよし♪(ご満悦)」
天蓬「あ、ずるいですねぇ。僕だってちゃーんとお土産あるんですよ?」
悟空「え、ホント?(キラキラッ)」
捲簾「何だよ、くだらねーガラクタばっか買ってたのに、いつのまに…」
天蓬「気に入ってもらえますかね〜、はいvvv」
悟空「うわぁ…すっげーきれーな石だなぁ…」
天蓬「下界の宝石でアメジストっていうんですよ(ニッコリ)」
悟空「きれーな色…金蝉の眼と一緒だぁ…」
天蓬「気に入ってもらえました?」
悟空「うんっ!天ちゃんありがとうっ!!俺すっげーうれしいvvv(ぎゅぅ)」
捲簾「おいおい、オイシイとこ持ってかれちまったみてーだな」
天蓬「ふふ…捲簾もまだまだですねvv」
悟空「これ…金蝉に見せたいなぁ」
捲簾「見せてくればいいじゃん」
悟空「でもさ、金蝉まだお仕事忙しいもん…」
天蓬「それじゃ…ゆっくりおやつでも食べて、それから行けば大丈夫ですよ」
悟空「そっかな…うんっ!(ニコッ)」

トントンッ!

金蝉「珍しく早く片づいたな…悟空のヤツが邪魔しなかったからか」
金蝉「それにしても…遅い。どこほっつき歩いてんだ、あのバカ猿(怒)」

スタスタスタ…

悟空「ひっく…ふぇっ…」
金蝉「居たか…おい、悟空!」
悟空「あ…こんぜんっ…(涙)」
金蝉「おい、どうした?何があったんだ!?(泣かせた奴、ぶっ殺す!)」
悟空「うえぇぇ…こんぜんっ!!(ぎゅっ)」
金蝉「泣いてちゃ分からねーだろ?どうしたんだ(ポンポンッ)」
悟空「うっく…あのね、天ちゃんのお土産落としちゃったの」
金蝉「あ?天蓬の土産??」
悟空「うん…早く金蝉に見せたくって、急いで走ってたら転んじゃって…落としちゃったのぉ!(滝涙)」
金蝉「ったく…慌ててるからだろ。で、何落としたんだ?」
悟空「”こんぜん”落とした」
金蝉「あぁ?!俺を落としたって…何言ってんだバカ猿??」
悟空「だって!こんぜんと同じなんだもんっ!!すっげーきれーだったのに…俺、宝物にしようと…思って…うえっ…うわあぁぁぁんっっ!!(号泣)」
金蝉「お、おい!悟空っ!?(焦)」
悟空「”こんぜん”がなくなっちゃったよぉ〜(ぎゅうぅぅぅっ)」
金蝉「はぁ(溜息)仕方ねぇな…ここで転んだのか?」
悟空「ん…転んで、起き上がったら手になかった…(べそべそ)」
金蝉「それで、物は何なんだよ?」
悟空「きれーな、ちっちゃい石…」
金蝉「石、なんだな…どんな色してるんだ?」
悟空「こんぜんと同じなの」
金蝉「あー?俺と同じって??(眉顰め)」
悟空「俺の大好きな…こんぜんの眼と同じ色なのっ!」
金蝉「………。(照れ)」
悟空「いっぱい探したんだけど…ないの…(俯き)」
金蝉「しょーがねぇ、もうすぐ暗くなるからそんなには探せねーぞ?それで見つからなかったら諦めろ」
悟空「やだっ!そんなのやだよぉ(だーっ!/号泣)」
金蝉「見つからねーモンはしょーがねーだろ!俺が天蓬に言ってまた同じの探してくるように頼んでやるから」
悟空「でもっ…(ぐすっ)」
金蝉「ほら、さっさと探すぞ!」

30分経過

金蝉「どこにもねぇな…(溜息)」
悟空「こんぜん…(ぎゅうっ)」
金蝉「これだけ探したんだ…仕方ねーだろ?(ぽんっ)」
悟空「………。」
金蝉「ほら、帰るぞ……ん?」
悟空「…うん(コクン)」

天蓬「あー…やっと戻って来ましたか。おや?一緒だったんですね」
悟空「天ちゃんっ!(うるうる)」
天蓬「…金蝉、悟空にナニをしたんですか?(チラッ)」
金蝉「するかっ!(怒)」
悟空「せっかく天ちゃんに貰った石…落としてなくしちゃったのっ(涙)」
天蓬「え?…石ですか??ここにありますよー?」
悟空「あっ!”こんぜん”だーっ!!何で?どこにあったの、天ちゃん!?」
天蓬「どこって…悟空が忘れていったんですよ?」
悟空「え!?」
金蝉「…なんだと?(ピクッ)」
天蓬「悟空、おやつ食べるのに一生懸命でしたからね。早く金蝉のところに帰らないとって、捲簾に貰ったお菓子だけ持って帰ってしまったもんですから…こうして届けに来たんですよ(ニッコリ)」
悟空「そっかぁ…よかったぁー…」
金蝉「てめぇ、このバカ猿!(グリグリグリ)」
悟空「いたたたたっ!ごめんよぅ…こんぜんっ!!」
天蓬「まーまー、落ち着いて。悟空、これは無くさない様に紐でも通してネックレスにしてみたらどうですか?(ニッコリ)」
悟空「ねっくれす?(首傾げ)」
天蓬「ええ、金蝉のみたいに…そうすれば落とすこともないですしね」
悟空「こんぜんっ!!(期待)」
金蝉「…頼んでやるよ(溜息)」
悟空「やったぁ〜♪(ぴょんぴょん)」
天蓬「それと…あなたにもあるんですよ、はい金蝉」
金蝉「あぁ?何で俺にまで…」
天蓬「いいじゃないですかvv悟空とお揃いでネックレスにでもすれば、親子みたいですね〜♪」
金蝉「てめぇ…」
悟空「わぁっ!きれー…太陽みたいだな、この石vvv」
天蓬「おや?いいカンしてますね、悟空。この石はヘリオドールって言って下界では「太陽」をあらわす意味なんだそうですよ(ニコッ)」
悟空「へぇ…これもこんぜんみたいだなぁ…」
天蓬「いやぁ〜、ラブラブですねぇvvv」
金蝉「お前、さっさと帰れっ!!」
天蓬「はいはい、もう邪魔はしませんよ〜。悟空、また遊びましょーね〜(ひらひら)」
悟空「うんっ!天ちゃんまたねーっ!!」
金蝉「ちっ…」
悟空「へへへ…こんぜんとお揃いだねぇ(ニコッ)」
金蝉「…今度は無くすんじゃねーぞ」
悟空「うんっ!」
    


闇夜にご用心
捲簾「……はぁ(溜息)」
天蓬「一体さっきからどうしたんですか?溜息ばっかりついて…」
捲簾「あー…そうか?(呆け)」
天蓬「心ここにあらずって言うか…らしくないですねぇ。どこか具合でも悪いんですか?」
捲簾「いや?別に体調は悪くねーけど」
天蓬「…僕がいくら策を話しても右から左へ聞き流してますしねぇ(溜息)」
捲簾「あ、悪ぃ」
天蓬「何かあったんですか?あなたが物思いに耽るなんて…嵐でも来そうですよ」
捲簾「うるせーよ!(ムッ)なぁ…最近この辺で新しい女官とか入ったっけ?」
天蓬「…成る程、女性関係ですか。さぁ?僕は聞いてませんけど(首傾げ)」
捲簾「うーん…あれだけの美人ならまず噂になっても良さそうなんだけどなぁ」
天蓬「そんなに美しい方なんですか?」
捲簾「おう!ちょっと天界でもあれ程ってーのは…そうそうお目にかかれないと思うんだよっ!(力説)」
天蓬「はぁ…捲簾はメンクイですからね(←興味無し)」
捲簾「俺もたまたま1度見かけただけだから…(回想中)」
天蓬「へぇ…捲簾らしくないですねぇ。いつもなら真っ先に声をかけて、お近づきになってるじゃないですか」
捲簾「…なーんかひっかかる言い方だな?(ジロッ)」
天蓬「気のせいですよ(知らんぷり)」
捲簾「いや、でも確かにいつもならそーなんだけど、あの人は何つーか…こぅ…近寄りがたいっつーのかなぁ…あんまりにも美しすぎてそこだけ世界が違って見えたって言うか…(悩)」
天蓬「どのあたりの宮の女官かわからないんですか?」
捲簾「見かけた宮が観世音菩薩の宮の近くだったから、最初そーなのかなぁって思ったんだけどさ。悟空とか…ま、アイツは全然当てになんなかったけど(苦笑)、金蝉にも探り入れたんだけどさ、どーも違うみてぇだしなぁ(溜息)」
天蓬「観世音菩薩の…そういう話は耳にしませんねぇ。いつ会ったんですか?」
捲簾「10日前ぐらいかな?会議終わった後に桜でも見ながら酒でも飲もうかと思って、フラフラしてたときに偶然見かけたんだよ…キレーだったなぁ」
天蓬「……そうですか」
捲簾「いや、天蓬だってその場にいれば思うって!…そういえばあん時お前会議出なかったよなぁ。お前いねーからジジィ共がここぞとばかりにギャーギャーうるさくってよぉ(げんなり)」
天蓬「あー…あの時は…そういえば、僕その日観世音菩薩の宮にいたんですけど」
捲簾「何っ!?何時ぐらいだそれ!!」
天蓬「えーっと…罰ゲームしましたから11時ぐらいまでいましたかねぇ(首傾げ)」
捲簾「は?罰ゲーム??何それ…」
天蓬「いやぁ、ついつい菩薩に乗せられて金蝉と二郎神も交えて大小やったんですけどね。前日の寝不足が祟ったのか珍しく負けてしまいまして、罰ゲームを…」
捲簾「へぇ…珍しいこともあるもんだ。お前の負けたトコ見たかったなぁ(にやにや)」
天蓬「まったく…菩薩も人が悪いですよ。本当は金蝉をからかって遊ぶつもりだったらしくて、用意してた罰ゲームが…(眉潜め)」
捲簾「なになに?何やらされたんだよ♪(ワクワク)」
天蓬「…教えません(しれっ)捲簾が美しい女性に会って鼻の下伸ばしてるとき、僕は大変な目にあっていたというのに(しくしく)」←嘘泣
捲簾「な…なんだよっ!カンジ悪ぃぞ(ジロッ)」
天蓬「はぁ…僕もそろそろ考えましょうかねぇ。お誘いがない訳ではないし(思案)」
捲簾「え…?」
天蓬「別に不思議ではないでしょう?僕だって捲簾ほどではないですけど、それなりに…ね?(ニッコリ)」
捲簾「……んなコト、今まで言わなかったじゃねーか(ボソッ)」
天蓬「いっそのこと捲簾がそこまで言う美姫でも口説いてみましょうかねぇ。そういえばどんな方だったんですか?」
捲簾「……どんなって…美人だよ(不機嫌)」
天蓬「それじゃ分かりませんよ。身なりとか…特徴ですよ」
捲簾「…たしか…割とスラッとした細身で、長くてまっすぐな黒髪をこう上で束ねて腰まで流してて、色白で…全身純白の衣装で…そういえばどっかで見たことある女官服だったよなぁ。で、瞳は澄んだ緑色でぇ…あ、天蓬みたいな瞳の色だったな!」
天蓬「……ああ、成る程(ポンッ☆)」
捲簾「ん?何だよ、いきなり??」
天蓬「そんなに気になるなら…観世音菩薩は知ってると思いますよ。訊いてみてはどうですか?(にっこり)」
捲簾「そうか?(首傾げ)」
天蓬「ええ、純白の女官服というならかなり高位な方の女官でしょう。観世音菩薩なら知ってるんじゃないですかねぇ」
捲簾「ふぅん…」
天蓬「おや?随分消極的ですね。先ほどの勢いはどうしたんです?」
捲簾「……だってよぉ、お前すっげー機嫌悪ぃじゃん(プイッ)」
天蓬「え?」
捲簾「さっきから…分かるっつーの!俺は別にちょっと気になっただけなんだからよ…(ゴニョゴニョ)」
天蓬「……捲簾に悟られるようじゃ、僕もまだまだですねぇ(くすっ)」←ひそかにご機嫌
捲簾「何だよ、それっ!(怒)」
天蓬「まぁまぁ、どっちにしても気になるんでしょ?それならどちらの美姫なのか、はっきり分かった方がいいじゃないですか(微笑)」
捲簾「…まぁ、そーだけどな(ポリポリ)」
天蓬「行ってきたらどうです?今ならお茶の時間ぐらいですから、観世音菩薩も自室にいるはずでしょうし」
捲簾「そーすっかー…お前は?」
天蓬「僕はここで資料の整理をしておきます。捲簾、忘れてるようですけど、今日の目的は作戦の打ち合わせなんですよ?」
捲簾「あー…そーだっけ〜?」
天蓬「全く…困った人ですね(苦笑)」
捲簾「そんじゃぁ、ちょっくら行ってくるわ(カツカツカツ)」
天蓬「はい、いってらっしゃい(ニッコリ)」

バタンッ!

天蓬「………くす。」

菩薩「あー?10日前にこの辺に居た女官だと?(眉顰め)」
捲簾「ああ、夜更けに…ここの回廊で見かけたんだよ」
金蝉「そんな者、ココでは見たことねーよ(あっさり)…この前もんなコト言ってたな?何かあんのか??」
捲簾「ココの女官じゃなくってもさぁ〜、噂でそれらしい女官の話聞いたとかねーの?」
金蝉「女官なんざ仕事さえ出来れば誰でも一緒だ」
捲簾「ホントにお前ってば小ザルちゃん一直線なのねぇ…(にやにや)」
金蝉「…死にてぇか?(ジロッ)」
捲簾「とーんでもないです」
金蝉「おい、ババァ!話聞いたことねーのか?」
菩薩「んー…、どぉもさっきから10日前っつーのが引っかかるんだよなぁ(悩)」
金蝉「あぁ?10日前つったら…4人で大小やった日か?」
捲簾「ああ、何か天蓬がそんなこと言ってた」
菩薩「天蓬………ああっ!!(ポンッ☆)」
金蝉「何だよ、分かったのか?」
菩薩「くくく…金蝉、忘れちまったのか?天蓬の罰ゲーム!」
金蝉「…………あぁ、アレか(呆れ)」
捲簾「何だよ?訳わかんねーぞ!?(困惑)」
菩薩「こんだけ言ってもまだわかんねーのか?案外バカだな、お前(爆笑)」
捲簾「わかんねーモノはしょーがねーだろっ!(憤慨)」
金蝉「あーうるせぇ!天蓬だって言ってんだよ」
捲簾「あぁ?天蓬がなんだって??」
菩薩「お前が見た美姫の正体だよ…天蓬が罰ゲームで女装した姿なんだよ(涙目)」
捲簾「…………はぁ!?(驚愕)」
金蝉「ババァが罰ゲームで負けたヤツに、女装して誰かにナンパされるまでそのままの格好でいろって勝手に決めたんだよ(ケッ!)」
菩薩「わざわざ美姫が多いので有名な弥勒菩薩の宮の女官服まで用意したんだぜ?ま、もっともオレも天蓬があそこまで化けるとは思わなかったがな〜♪(ニッ)」
捲簾「………。(ガーンッ!)」
金蝉「おい、何固まってやがる!(げしっ☆)」
捲簾「あ…ああ、そっか…ははは…邪魔したな…(ヨロヨロ)」
菩薩「…ありゃ、天蓬のヤツわざと教えなかったんだな(ゲラゲラ)」
金蝉「どいつもこいつもバカばっかり揃いやがって(溜息)」

ダダダダダダダ…

捲簾「天蓬ーーーっっ!!(絶叫)」
天蓬「おや?早かったですねぇ」
捲簾「おまっ…お前ーーーっっっ!!!」
天蓬「で?捲簾、僕を口説いてくれるんですか?(ニッコリ)」
捲簾「するかあぁぁぁっっ!!(憤慨)」
天蓬「なーんだ、残念ですねぇ…あ、何でしたらもう1回女装しましょうか?」
捲簾「………勘弁してくれよ(ガックリ)」
天蓬「おや?折角捲簾が口説いてくれるチャンスだと楽しみに待ってたんですけど?」
捲簾「ほっんと!質悪ぃぞ、お前(睨み)」
天蓬「そうですか?それじゃいつも通り僕が口説きましょうか(ガシッ!)」
捲簾「……へっ?(冷や汗)」
天蓬「捲簾、愛してますよ〜♪(ガッ!)」
捲簾「口説きながら服脱がすんじゃねーっ!!(絶叫)」


誰のタマゴ?
バタバタバタ

悟空「天ちゃぁ〜んっ!」
天蓬「はい?悟空いらっしゃ―――!?」
捲簾「おい、悟空…ソレ何だ??」
悟空「ふぅ。あ、ケン兄ちゃんもいたんだぁ〜!ねねね、コレ拾ったんだけどなーに?」

ゴトンッ!

捲簾「…タマゴ、だよなぁ?」
天蓬「タマゴ…ですねぇ」
悟空「ナタクとね、森を探検してたら見っけたんだ!すっげーデッケーだろ?」
捲簾「でもよぉ…高さは1m切るくらいか?で、直径が70〜80cmはあるよなぁ。んな生き物のタマゴなんてココはおろか下界でも見たことねーぞ?(じーっ)」
天蓬「うーん…(思案)」
悟空「ねぇ、これなぁに?(首傾げ)」
捲簾「タマゴだと思うんだけどな…多分」
悟空「タマゴ!?(涎)」
捲簾「おい、コラコラ!食えるかどーかはわかんねーっての(呆れ)」
悟空「えー?食えないのぉ〜(しゅん)」
捲簾「何のタマゴだかわかんねーんだから、食ったりしたら腹こわすかもしんねーだろ?それに訳わかんねーモン食ったりしたら金蝉にグリグリげんこつ喰らうぞー?(にやっ)」
悟空「え!?ヤダヤダ!!(ぶんぶん)」
天蓬「ふーん…(コツコツ☆)中身は入ってますねぇ」
悟空「ねぇねぇ、天ちゃん!コレ何のタマゴなの?」
捲簾「いや、だから俺たちも…」
天蓬「これはですね?金蝉のタマゴです(ニッコリ)」
悟空「えっ!?金蝉のタマゴ!?(驚)」
捲簾「はぁ!?お…おい…天蓬??(汗)」
天蓬「そうですよvv僕も捲簾もそうですけど、みーんなこうしたタマゴから産まれたんです。このタマゴ、綺麗に金色の縞模様が入ってますでしょ?間違いなく金蝉のタマゴですね」
悟空「金蝉が…タマゴに…(じーっ)」
捲簾「おい!天蓬…何バカなこと言ってんだよ(ひそひそ)」
天蓬「まーまー、楽しいじゃないですか♪(ひそひそ)」
悟空「じゃあさ、この中にちっちゃな金蝉が入ってるの?(なでなで)」
天蓬「そうですよ?じーっと産まれるのを待ってるんです。けれどタマゴは温めないと産まれて来れないんですよ」
悟空「それじゃ、俺が温めたらちっちゃな金蝉が産まれるの?」
天蓬「はい、そうすれば悟空はちっちゃな金蝉のお母さんになりますねぇ」
捲簾「………俺知〜らないっと」
悟空「金蝉の…(キラキラッ)」
天蓬「そうですよ?そうしたら金蝉がお父さんで悟空がお母さんになりますねvv」
悟空「天ちゃん…俺っ!頑張ってあっためるよっ!!(ぐぅ)」
天蓬「頑張って下さいねvvv(ニコッ)」

ガチャッ☆

金蝉「おい、悟空!メシの時間だぞ…」

しーん。

金蝉「…どこいったんだ?確かさっき帰ってきたと思ったんだが。昼寝でもしてんのか?」

ガチャッ☆

金蝉「おい、悟空メシ!…寝てんのか?」

モゾモゾ…

悟空「んー?起きてるよぉ…」
金蝉「ったく、起きてんなら返事ぐれーしろ!いつまでも布団被ってんじゃねーよ(ポンッ!)」
悟空「だって、あっためてるんだもん♪」
金蝉「あ?何言ってんだぁ??(眉顰め)」
悟空「俺…俺っ!ちっちゃい金蝉のお母さんになるんだもんっ!!」
金蝉「はぁっ!?」
悟空「だから早く産まれる様にあっためてるんだ〜」
金蝉「…ちょっと、中見せろ(バッ!)」
悟空「あ、金蝉ダメだよぉ!タマゴ冷えちゃうじゃないかっ!!」
金蝉「…何だ、その馬鹿でっけータマゴは??(汗)」
悟空「コレ?ちっちゃい金蝉のタマゴだよ」
金蝉「ちょっと待て。何でソレが俺のタマゴなんだよ!?(呆れ)」
悟空「だって、天ちゃんもケン兄ちゃんも金蝉もみーんなタマゴから産まれたって…」
金蝉「誰が言ったんだ?(分かってるけど)」
悟空「天ちゃーん♪」
金蝉「アイツはっ…何考えてやがんだ!(激怒)」
悟空「でねでね?このタマゴは金色の模様が入ってるから、ちっちゃな金蝉が入ってるんだって♪だから俺いっしょうけんめーあっためて金蝉のお母さんになるのーっ!!」
金蝉「バカ猿…俺はタマゴからなんか産まれてねーんだよ(溜息)」
悟空「えっ!?だって天ちゃんは…」
金蝉「からかわれたんだろ…そんなタマゴ、此処じゃ見たことねーからな」
悟空「じゃぁ…天ちゃんは俺をダマしたの?(うるっ)」
金蝉「お前が無邪気に聞くから面白がったんだろうな…(ポンポン)」
悟空「ひどいよぉ…俺…俺ホントにちっちゃな金蝉が産まれると思ってたのに…(えぐっ)」
金蝉「俺が二人いたって仕方ねーだろ」
悟空「だってさ、金蝉はどの金蝉だって大事だもんっ!それにタマゴからちっちゃい金蝉産まれたら…(ぽっ)」
金蝉「あ?産まれたら何だよ??」
悟空「そしたら金蝉がお父さんで俺がお母さんで…それって家族ってゆーんだろ?家族ってずーっと一緒にいれるんだって…」
金蝉「…それも天蓬に訊いたのか?」
悟空「ううん、観音のお姉ちゃん」
金蝉「………。(意味もなく不機嫌)」
悟空「俺…金蝉とずっと一緒にいたいから…タマゴかえせば、ちっちゃい金蝉が産まれればずっと一緒にいれるんだって思って…」
金蝉「…バカ猿(←ご機嫌)」
悟空「猿ってゆーなっ!!(ぐぅ)何だよぅ!俺…俺っ…」
金蝉「俺はんなモン無くたってずっと一緒に居るつもりだったんだが?」
悟空「え…?こんぜん…」
金蝉「お前は俺が預かった、俺のモンなんだよ。今更お前がイヤだって言ったって離してやる気なんてねーんだよ(仏頂面)」
悟空「俺…ヤダなんていわねーもんっ!俺はずっと金蝉のモノだよ?(ぎゅうぅぅぅっ)」
金蝉「当たり前だ(ご満悦)」
悟空「ずっと一緒にいてね?絶対だよ??(上目遣い)」
金蝉「ああ…」←不穏な気配
悟空「あ…やんっ…こんぜん…」←やっぱり

ぐうううぅぅぅ。

悟空「腹減ったぁ…」
金蝉「ったく…バカ猿(溜息)」
悟空「ねぇねぇ(くいくい)そんじゃさ、コレホントは何のタマゴなの?(首傾げ)」
金蝉「さぁな…今頃天蓬が調べてるんじゃねーか?」
悟空「ふぅん(じっ…)」
金蝉「だからといって、食べんじゃねーぞ!」
悟空「えー?ダメなのぉ〜」
金蝉「当たり前だっ!(グリグリ)」
悟空「いたたたたっ!分かったよぉっ!!(涙目)」

そして翌日。

金蝉「ったく…猿をからかって遊ぶんじゃねー!(怒)」
天蓬「まぁまぁ、あんまりにも悟空が素直に訊いてるんでつい…すみませんね、悟空」
悟空「うん…もういいよ。ねね、天ちゃんあのタマゴなんだか分かった?(好奇心)」
天蓬「あれからついつい熱中しちゃって、寝ずに調べちゃいましたよ(ニコッ)」
捲簾「…つき合わされる俺の身にもなりやがれ(げそっ)」
天蓬「あれから捲簾に悟空がそのタマゴを拾った森まで行って貰ったんですよ」
金蝉「で、何か分かったのか?」
捲簾「あの辺一帯は極楽鳥の生息地みてーだな」
金蝉「…それは下界の鳥なんじゃねーのか?」
天蓬「何でも観世音菩薩が気まぐれで持って帰ってきたらしいんですけど、飼うのに飽きてあの森に離したそうです。それが繁殖を繰り返しましてね」
金蝉「あのババァは人騒がせな…」
天蓬「それが、もともと地上の生物ですからね?天界に来て繁殖を繰り返すうちに突然変異を起こすモノが出てきまして。あのタマゴも元々は小さいんですよ、それが中の鳥の成長と共にあの様に大きくなってしまうらしいんです」
捲簾「それにしても…タマゴ自体が育つなんて訊いたことねーぞ?」
天蓬「そこが突然変異なんじゃないですかぁ〜」
悟空「んーと…それじゃおっきな鳥が産まれるの?(首傾げ)」
天蓬「いえいえ、大きく育つのはタマゴの外側だけ。中の鳥は普通のヒナと一緒だそうです」
悟空「そっかぁ…そんじゃもとの場所に返した方がいいよね?」
天蓬「そうですねぇ…あのタマゴの鳥にも家族は居るでしょうからね」
悟空「そうだよね!やっぱ鳥だって大好きな家族と一緒にいたいよな!俺返してくるね(ニッコリ)」
捲簾「へぇ…鳥だって、ねぇ〜♪」
金蝉「貴様…何が言いたい?(ジロッ)」
捲簾「べっつにぃ〜♪♪」
天蓬「そうですね、大好きな人とは片時も離れたくないですからねvvv(ガシッ)」
捲簾「はっ!?お…おいっ!何考えてんだよっ!(焦)」
天蓬「何って…僕は捲簾のことだけしか考えてませんけど?」
捲簾「ば…ばかっ!こんなところでっ!みんないるじゃねーかっ!!(ジタバタ)」
天蓬「金蝉と悟空ならタマゴ返しにさっさと帰りましたよ?(ニコッ)」
捲簾「へ?…あ…いつの間に…(キョロキョロ)」
天蓬「と、言うことで!捲簾、僕のタマゴ産んで下さいね〜vvv(ガバッ!)」
捲簾「ぎゃーーーっっ!!んなモン産めるかあぁぁぁっっ!!(叫び)」