The princess who dreams |
天蓬の乙女攻略への道は前途多難だった。 「………何だ?そのツラは??」 「何ででしょうねぇ…はぁ」 部屋を訪れた天蓬の顔を見るなり、金蝉は思いっきり唖然とする。 華やかな美姫も霞むと評判の類い希なるその美貌が、何だか妙な具合に変形していた。 「捲簾もわざとじゃないんでしょうが、何分加減というモノが…」 天蓬は頬に指を当てて僅かに顔を顰める。 「その顔は…捲簾大将がやったのか?」 「捲簾じゃなければみすみす僕がこんな目に遭うはずないでしょう?」 「にしても…凄いな」 顔を引き攣らせながら笑う天蓬の顔を、金蝉がマジマジと観察した。 天蓬の顔には両頬にペッタリと大きな湿布が貼り付いている。 しかも見事ななまでにその頬は腫れ上がり、細面だった輪郭は下ぶくれ。 とてもじゃないが普段の清々しい美貌からは想像も付かない。 天蓬の顔はすっかり原型が危ういほど崩れ去っていた。 「一体何をやったらそんな目に遭うんだよ…」 溜息混じりに金蝉が呆れると、天蓬は腕を組んで難しい顔で何やら考え込む。 「それが…僕にも良く分からないんですよねぇ」 「あぁ?お前は訳分からねーのに、そんなツラになるまでヘラヘラと殴られたのか?」 「いえ、理由は分かってるんですが。ただその原因が分からないんです」 「…何だそりゃ??」 金蝉が眉間を寄せると、天蓬がう〜んと小さく唸った。 いつものトレードマーク、ヨレヨレの白衣のポケットをまさぐり何かを取り出す。 「僕としてはここに書いてある注意書きをきちんと解釈した上で行動しているつもりなんですが…何か間違ってるんでしょうかねぇ?」 「何だ?それは手帳…か?」 「ええ、そうですよ。乙女攻略の必須アイテムですっ!」 そう言うと天蓬は手にした手帳を自慢気に金蝉へ差し出して見せた。 ピンク色の花柄カバーに、タイトルが『乙女手帳v』と確かに書いてある。 金蝉の口元がヒクリと引き攣った。 物凄く『乙女』という言葉に厭な予感がして、ぞぞぞっと背筋が怖気上がる。 硬直している金蝉に気付かない天蓬は、手帳をパラパラ捲って切なそうに溜息を漏らした。 「ちゃんとココに書かれてる乙女リサーチを参考にしてるし、自分なりにもデーター分析して捲簾の気持ちを惹き付ける作戦を立てたつもりなのに…全然上手くいかないんですよ」 天蓬は金蝉の居る執務机にガックリと脱力して、情けない泣き言を切々と訴える。 金蝉は机上へ肘を付き、天蓬の手元へ厭そうに視線を向けた。 「その妙な手帳はこの前ババァのトコで言ってたヤツか?」 「え?えぇ…わざわざご自分の女官達をリサーチして、彼女たちから出た意見の統計したものを二郎神が事細かに纏めて下さったんです」 「…何やらせてんだ、暇人のクソババァが」 偉そうな態度の観音を脳裏に描いて、金蝉が忌々しげに舌打ちする。 観音は単純に面白がってるからともかくとして、仕事でもないことに二郎神を遣って妙な真似をさせるのには、さすがに身内として同情を覚える。 尤もあの傍若無人天上天下唯我独尊の神を相手に平然と対抗できるモノは皆無に等しいので、仕方がないと言えばそれまでだが。 「おい…ソレ貸せ」 ウジウジと項垂れる天蓬の手元から、金蝉は『乙女手帳v』を取り上げた。 手帳を開くと、書かれている内容をざっと流し読んでみる、が。 今度は金蝉が首を傾げて何やら思案する。 「…どうかしました?」 「あ…いや。それでお前マジにコレを参考にしたのか?」 「ええ、そうですけど?何かおかしいですか?」 「そう言う訳じゃねーが…」 天蓬が不思議そうに問い返せば、金蝉は手帳を眺めながら何やら難しい顔で深く考え込む。 どうも腑に落ちない。 パラパラと事細かに『乙女の掟』が書かれている手帳を読めば読む程、金蝉の頭には「?」が浮かんで点滅した。 何だかおかしい。 金蝉が見たところ、手帳には特別なことは一切記載されていなかった。 極々当たり前のことばかり。 恋愛初心者の乙女は繊細で理想の恋人像に夢見がちだとか。 華美なモノより可愛らしいモノが好きで、色で言うなら純真な白や優しい雰囲気の淡い桃色。 プレゼントするなら高価な宝飾品よりも可憐で小さな花束や甘いお菓子が好ましいとか。 おとぎ話のお姫様に憧れ、いつか理想の優しい王子様が迎えに来てくれると信じて疑っていない等々。 しかもオマケとしてデートに最適な天界周辺地図まで添付されていた。 二人っきりになれるお薦めマークの入っているデートスポットはどこも自然溢れる静かな庭園が選ばれていて、人目の多い街中は比較的少ない。 思考・行動・趣向に実践まで至れり尽くせり。 それはそれは事細かに乙女の願望がこれでもかとギッシリ詰まっていた。 …そう考えると乙女もかなり欲深い気もするが。 個々の願望は取りあえずとして、相対的な乙女考察と考えれば強ち間違っているような記載は見当たらない。 お付き合いとしては一般的なコトだろうと納得してしまう辺り、恋愛経験が皆無の金蝉もかなり乙女趣向に偏っている。 金蝉は手帳を閉じると、机上にダレてへこたれている天蓬をじっと見下ろした。 「ほんっとーにコレを忠実に実践したのか?」 「勿論しましたよ。それどころかもっと深く乙女道を研究しようとして多種多様なお姫様が主人公のおとぎ話も熟読しましたし」 はぁ、と天蓬が深々と肩を落とす。 「すっごくいっぱい読んだんですよ?捲簾がどうして欲しいのか、どうしたら喜んで貰えるか一生懸命考えたんですけど…何がいけなかったんでしょうか?」 …それがマズかったんじゃねーのか? 天蓬の愚痴で金蝉は全てを悟った。 ハッキリ言って職業が軍師としての弊害だろう。 天蓬は普段から相手の情報を詳細に分析して、ありとあらゆる状況を想定した上に何通りもの作戦を立案するのが仕事だ。 実戦に入れば自分の手中で駒を動かしながら軍の流れ全体を掌握し、作戦が完璧に成功するよう天界随一と言われる才能を遺憾なく発揮した。 妖獣のような本能のみで生きる単純な古代種なら生態を調べるだけで済むが、妖怪のように知能指数も高く思考することが出来る種族は頭脳戦になることが多い。 相手の隙をどれだけ多く突くことが出来るか、裏をかいて陥れることが出来るか。 天蓬の能力が最大限発揮されるのは、後者の場合が多かった。 故に物事をいつでも見たまま当たり前に捉えることを敢えてしない。 目に見える正面からだけではなく裏も表も斜めからも、アッチコッチひっくり返して考えることが職業病とも言える。 だからこそ考えすぎて事実を見失う可能性もある、と。 要するに。 天蓬の複雑怪奇な思考で、事実を本人だけに都合良く歪めてしまのではないか。 それ以外天蓬が捲簾に殴られる理由が見当たらない。 「ちなみにどんなおとぎ話を参考にしたんだ?」 「え?いっぱいありますけど…シンデレラとか眠れる森の美女、それと白雪姫とかも参考にしましたねぇ」 「白雪姫…か」 金蝉は子供の頃の遠い記憶を思い返した。 話の内容全てではないが、物語は大筋で金蝉も覚えている。 「あれ?金蝉読んだことあるんですか?」 「あぁ。ガキの頃に読んだ記憶がある。そうか…白雪姫」 「はい。捲簾も白雪姫のお話は大好きだと言ってましたから」 「そうか。要約すると白雪姫はどんな話だった?」 「金蝉子供の頃に読んだことあるんでしょう?」 「ガキの頃暇潰しに読んだ話を詳しく覚えてる訳ねーだろうがっ!いいから教えろ!」 金蝉がムスッと怒鳴りつけると、天蓬はやれやれと苦笑いを浮かべた。 「仕方ないですねぇ。何でしたら今度絵本お貸ししますけど。まぁ簡単に説明しますと、白雪姫は父親の後妻に入った継母に苛められて家を追い出されてしまうんです。で、行く当てもなく森の中を彷徨っていたんですけど、次第に疲れてくるしお腹も空くでしょう?そうして暫くすると小さな可愛らしい家を見つけたんです。とりあえず誰でもいいから少し食事を分けて貰おうとして訪問したんですけど、何度声を掛けても返事が返ってこない。そっとドアを開けて中の様子を見ればどうやら留守らしく誰もいなかったんです。ところが部屋の中からは美味しそうな匂いが…」 「話の粗筋はどうでもいい。だから簡単に言えば白雪姫がどうなる話なんだ?」 放っておくと終わりまで語り尽くしそうな天蓬の話を遮って、金蝉がイライラと肝心の顛末を即す。 別に白雪姫の話を全て思い出したい訳じゃなかった。 問題は天蓬の認識だ。 「え?えーっと…食事と寝床を提供して貰う見返りに森に住んでいた7人の小人と昼夜問わず身体の欲望を満たす為に犯され姦されるという淫猥極まりない日々を過ごしていた白雪姫が、集団とはいえ枯れてるじいさん連中の精力では次第に満足出来なくなって、たまたま通りがかった隣国の若い王子様をタラシ込んでからじいさん達をあっさり捨てて乗り換えると、王子様に迎えられた城で淫ら極まりない淫蕩の限りを貪り尽くす愛欲生活を謳歌しましたとさ、めでたしめでたし〜♪」 「めでたしめでたしじゃねーーーっっ!!!」 黙って話を聞いていた金蝉は、憤慨して天蓬を怒鳴りつけた。 肩を怒らせ激昂する金蝉をしげしげと眺め、天蓬はちょこんと首を傾げる。 「何でいきなり怒るんですか?」 「怒るに決まってんだろーがっ!このセクハラエロ元帥がっ!」 「ちょっと聞き捨てならないですねっ!誰がセクハラエロ元帥ですかっ!?」 「テメェだっ!ったく…何をやらかせばそんなブサイクになる程殴られるのかと思えば…当たり前じゃねーかっ!自業自得だっ!テメェの脳みそは年中無休で勃起してんのか?あぁっ!?」 「やだvvv金蝉ってば下品ですぅ〜」 「物の例えだっ!テメェの品性下劣を棚に上げて何寝言言ってやがるっ!」 自分の所業を全く理解していない天蓬に、金蝉は呆れ返って額を押さえた。 天蓬の捻り曲がった見解をそのままいきなり実行に移せば、捲簾じゃなくても殴るに決まってる。 股間を蹴り上げられても、顔が変形する程殴られても当然の報いだ。 二郎神が己の立場を危うくしてまでも苦労して作った『乙女手帳v』が、天蓬には全く役に立っていなかった。 「ちょっと来いっ!」 金蝉が机上に懐いて貼りついたままの天蓬をベリッと引き剥がし、腕を掴むと執務室を出る。 「え?ちょっ…金蝉ドコ行くんですか??」 物凄い剣幕に虚を突かれて引きずられていた天蓬が、我に返って金蝉の掴まれている腕を引き戻した。 金蝉は回廊で立ち止まると、怒りを顕わにした表情で天蓬を睨み付ける。 「テメェはババァん所でみっちり再教育だ。今までみてぇなコトしでかしてたら、間違いなく捲簾大将は幻滅してお前を見捨てるぞ?」 「何でですかっ!?」 「ソレが分からねーから再教育だって言ってんだっ!!」 金蝉が怒りに任せて天蓬の頭を思いっきり叩いた。 「いいか?お前が捲簾大将にセクハラしようが、それこそ強姦しようが俺にはどうだっていいが、その度にコッチにブチブチ泣き言報告に来られんのは大迷惑なんだよっ!」 「金蝉ってばヒドイ…それが愛する幼なじみに言う言葉ですかぁ〜」 「微塵も愛はねーから安心しろ」 「金蝉見ても勃ちませんから困ります」 「そういうコトを言うから殴られるんだって分かんねーのかっ!!」 「イタッ!イタタッ…そんな気軽に叩かないで下さいよ〜」 「やかましいっ!オラッ!さっさとババァん所へ行くぞっ!!」 金蝉は再度天蓬の腕を乱暴に掴むと、ずんずん観音の宮を目指して歩いていく。 常にない強気な金蝉に天蓬は暫し呆気にとられたが、ふと我に返ってまた立ち止まった。 金蝉が舌打ちして忌々しげに振り返る。 「往生際悪ぃぞ天蓬っ!」 「行きますっ!観音の所へは行きますけど、ちょっと待って下さいよ」 「あぁ?何だよ!?」 「僕まだ仕事があるんですよ。そんなに長居は出来ませんから…」 「んなこたぁババァに言え。俺は知らん」 天蓬の懇願をあっさり却下して、問答無用とばかりに金蝉は引きずって行く。 「でもでもっ!捲簾へ逢いに行きたいし〜」 「ダメに決まってんだろーがっ!このプチ性犯罪者っ!」 「まだ犯ってませんっ!!」 「威張るなバカ元帥っ!!」 「ええぇぇ〜っ!そんなぁ〜っ!捲簾…捲簾捲簾けんれーん…うえぇ〜〜〜んっっ!!」 「嘘泣きすんじゃねーっっ!!」 いつもは静かな観音の宮の回廊を騒がしい怒号が響き渡った。 「あ?3日間いないって…何で?」 本部の執務室で書類整理をしていた捲簾は、唐突に呼び出された総司令官から思いも寄らないコトを告げられる。 不思議そうに目を瞬かせる捲簾に、敖潤は表情も変えずにただ小さく溜息だけを漏らした。 「私にも詳しくは分からない…が。観世音菩薩の従者より先程通達が来た」 早い話が事後承諾で後は宜しく、ということらしい。 天蓬から何も聞いていなかった捲簾は、腕を組んで暫し考え込んだ。 「…何かやらかしちゃったとか?」 「貴様じゃあるまいし…ただ講習会をするから、それに天蓬元帥を参加させるということらしいが」 「はぁ?講習会って。そんな3日間も何を?第一、軍と観音は直接関係ないじゃん」 「軍とは余り関係ないだろうな。軍に関係する講習会を開くなら、わざわざ観世音菩薩が出張らなくても上層部が主催するだろう」 「まぁ…それはそうだろうけど。じゃ、3日間天蓬はコッチ来ねぇの?」 「あぁ。3日間あちらへ詰めて講習会を行うから、宿舎の方にも戻らないそうだ」 「えっ!?天蓬ってば観音に監禁されちゃったのかよっ!!」 「…人聞き悪いぞ捲簾大将。観世音菩薩の従者が報告すれば侮辱罪で訴えられるぞ」 「じょーだんだっての。何マジになってんだよ…そっかぁ、天蓬3日間いないのかぁ」 しみじみ呟くと、捲簾は寂しそうに俯く。 昨日ちょっとしたことで天蓬を殴り飛ばしてから全然逢っていなかった。 天蓬と顔を合わせ辛い…でも逢いたい。 ちょっと勇気が必要だったけど、捲簾は意を決して午前中の訓練が終わってからそっと執務室へ天蓬の様子を見に来たのだ。 ところが。 ドキドキと緊張しながら室内を覗いてみれば、肝心の天蓬がいない。 天蓬直属の書記官には少し所用で出かけてくると言伝していたので、すぐに戻ってくるだろうと捲簾は雑務をこなしつつ帰ってくるのを待っていた、が。 気が付けば3時になり、お茶の休憩時間。 もしかしたら捲簾が来ているのを知って、天蓬は自分に気付かれないよう何処かへ行ってしまったのか。 昨日の今日で避けられてるのかも知れないと、捲簾の胸中は不安でざわめいた。 そんな時に敖潤からの呼び出し。 理由が分かってホッと安堵するのと共に、今度は逢えない寂しさで心が痛い。 「講習会って何やってるんだ?俺も行っちゃダメかなぁ…」 「貴様が居なくなったら誰が執務の指示を出すんだ」 「それはぁ〜総司令官閣下が直々にぃ〜?」 わざとらしく上目遣いに強請ってみれば、鬱陶しそうに掌を振られた。 「愚図ってないでさっさと仕事へ戻れ。天蓬元帥の代わりに滞りなく執務を果たすように」 「チッ!…ケェ〜チ」 「…何か?捲簾大将」 「何でもねーですっ!イエッサー、捲簾大将これよりお仕事へ戻りまぁ〜っす」 「いいからさっさと行け!」 ピクリと眉を顰めた上官に内心で舌を出すと、捲簾は面倒臭さそうに部屋を辞した。 扉を閉めて、捲簾はグシャッと髪を掻き上げる。 「ったく…ちょっと顔見に行くぐらいいーじゃねーか。ホント融通利かねーヤツ」 プックリ頬を膨らませて拗ねながら、捲簾が苛立たしげに床を蹴り付けた。 天蓬に逢いてーなぁ。 何だか最近やけに強引な天蓬に、捲簾も戸惑い気味だ。 触れられるのが厭な訳じゃない。 だからと言っていきなり何の前触れも無しに物凄い勢いで迫って来られると、頭で考えるよりもまず身体の方が天蓬を拒絶する。 天蓬が側へ近付いてくるだけで、身体が勝手に竦み上がった。 無意識に恐怖を感じているのかも知れない。 それでも、天蓬を嫌いになれるはずがなかった。 今でも初めて出逢ったあの時から、ずっとずっと天蓬が好きになっている。 昨日よりも今日、今日よりも明日。 捲簾の想いは強く大きく育っているのに。 「こんなんじゃ天蓬に愛想尽かされるよな…でも」 ブンブンと不安を断ち切るように捲簾が大きく首を振る。 「でもでもっ!初めてのエッチは結婚初夜って決めてるしーっっ!!」 ポンッと頬を赤らめると、しゃがみ込んだ廊下で恥ずかしそうにのの字を書きたくる。 キャーッ!ヤダッ!もうもうっ!まだ天蓬にプロポーズもされてないんだから、そんな心配まだ早すぎるってばvvvと、脳内お花畑でブチブチ花を鷲掴んでは周囲に撒き散らしひたすら身悶えた。 総司令官室の前で踞ってウフフーと含み笑いを漏らしてピンクのオーラを垂れ流す捲簾と出会してしまった部下達は、みんな揃ってじりじり後ずさって一目散に逃げる。 しかし、逃げたくても逃げられない者もいた。 扉を1枚隔てた向こう側では。 「………。」 部屋の中で捲簾のとんでもない絶叫を運悪く耳にしてしまった敖潤は、驚愕してペン先をブチ折ったまま、側近の書記官が指示を仰ぎに伺うまで暫し放心していた。 |
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