W.D.battlefield

脱衣所に入った途端、悟空は思い切りよく着ていた服をポイポイと脱いでいく。
「さんぞ〜!先行ってるからね〜!!」
悟空はあっという間にバスルームへと飛び込んで行った。
あまりの早業に三蔵は呆然と見送ってしまう。
分かってはいたことだが。
悟空はこの状況を意識するどころか、全く分かってなかった。
脱ぎ散らかされた服を拾い上げながら、三蔵は面白くなさそうに溜息を零す。
チラッと視線をバスルームへ向ければ、早速滑り台によじ登ってる姿が見えた。
ここまで来るのに自分だけ期待していたのが、何だか馬鹿らしくなってくる。
いつもと違うシチュエーションなら、悟空の違う姿が見れるかもしれないと密かに思っていたのだが。
「…ガキに期待するのは無理か」
三蔵も衣服を脱ぐと、バスルームの扉を開けた。
広いバスタブで悟空が泳いでる姿を横目に、三蔵はシャワーで汗を流す。
バスタブに脚を入れると入れ違いで悟空が出て、また滑り台の階段を登りだした。
ジャグジーに身体を沈めて、三蔵はバスタブの縁へと身体を持たれ掛ける。
「さんぞーっ!そこから動くなよーっ!!」
滑り台の上から悟空が大きく手を振っていた。
何事かと不審気に眉を顰めていると、悟空は滑り台に座って思いっきり滑り落ちてくる。
小柄な身体を宙へ飛ぶのを、三蔵はボンヤリと眺めた。
その姿がだんだんと近づいてくるな、と気づいた時には既に遅かった。
「ぶっ!!!」

バッシャーンッ!

「えへへ〜♪スッゲー飛んだだろ〜三蔵!あれ?三蔵??」
バスタブにしゃがみこんだまま、悟空はきょろきょろと見回して三蔵を捜す。
しかし、バスルームのドコにも三蔵の姿は無かった。
唐突に消えてしまった三蔵に悟空は首を傾げる。
すると。

ブクブクブクブク…

悟空のしゃがみ込んでいる真下から、大量の気泡が浮いてきた。
突然悟空の小柄な身体がバスタブの中で吹っ飛ぶ。
水面からは全身濡れまくりの三蔵が現れた。
「ゲホッ…てめっ…」
苦しげに声を詰まらせながら、三蔵が盛大に咳き込む。
すっ飛んできた悟空の直撃を顔に受けて、お湯の中に沈められていたのだ。
しかもそのまま顔にしゃがみ込まれては、呼吸だって出来ない。
これがベッドの上でなら、なかなかのシチュエーションなのだがそこはお湯の中。
三蔵は悟空の股間&お湯責めで溺れる寸前だった。
「てめぇ…このバカ猿っ!風呂の中で暴れてんじゃねーっ!!」
ブチ切れた三蔵が怒鳴り散らすと、叱責を受けるべき悟空の姿が見当たらない。
ふとバスタブ前方に目をやった三蔵の眉が顰められた。
ジャグジーの噴出口と違う場所からブクブクと泡が上がっている。
我に返った三蔵が慌てて沈んでいた悟空の身体を引き上げた。
「おいっ!サル!悟空!!」
ペチペチと頬を叩くと、悟空はうっすらと瞼を開ける。
どうやら三蔵に突き飛ばされて、バスタブの底に頭を打ち付け気絶してた様だ。
「あ…さんぞ…?」
「大丈夫か?」
「え?俺…いってえええぇぇぇ〜っっ!!」
今更頭部のコブが痛み出す。
悟空は涙目になって頭を押さえた。
三蔵は深く溜息を吐きながら、悟空の身体を抱き込む。
「風呂ん中で暴れたりするからだ…バカ猿」
「だってだって…滑り台あるんだし」
「人に向かって飛ぶ為のモンじゃねーよ」
呆れながら三蔵は眉間を押さえた。
「三蔵だったらキャッチしてくれると思ったんだもん…」
三蔵の腕の中で、悟空はプクッと頬を膨らましながら拗ねる。
「あのな…いくら何でも顔に向かって飛んできたモノを受け止められるかっ!」
「あれはっ…ちょこぉ〜っと勢いつき過ぎちゃって〜」
バツ悪そうに悟空がごにょごにょと言い訳をした。
「まぁ…随分と凄いモノが拝めたけどな」
三蔵は口端を楽しげに攣り上げる。
何を言ってるか分からず、悟空はきょとんと三蔵を見上げた。
「あんなに脚広げて…全部丸見えだったぞ?」
「あっ!」
改めて自分の格好を思い出し、悟空は羞恥で全身真っ赤になる。
しかも、不可抗力とは言え、三蔵の顔に股間を押しつけてしまったのだ。
急に恥ずかしくなって三蔵の腕から逃れようと、悟空がじたばたと暴れ出す。
「おい、今更どこに逃げようってんだ?」
「やっ…離してってば〜っ!」
ますます腕の中に拘束され、悟空は頭の中がぐるぐるしてしまう。
よくよく考えれば今晩は二人っきりで。
今は自分も三蔵も一糸纏わぬハダカで。
しかも一緒にお風呂なんか入ってたりして。
こんな風に抱き締められると、あらぬ妄想で悟空の心臓は破裂しそうになった。
逃げることも出来ずに、悟空は顔を見られたくなくて、三蔵の胸元で俯いてしまう。
ようやっと自分の思惑通りになると、三蔵は楽しそうにほくそ笑んだ。
「悟空…」
わざと情欲を隠しもしない低い声音で、三蔵は悟空の耳元で囁く。
悟空の身体が腕の中で小さく跳ねた。
「悟空…顔見せろ」
三蔵が耳朶を甘噛みしながら囁くと、悟空は緩く首を振った。
「どうした?」
抱いていた三蔵の掌が滑らかな背中を滑り降りると、悟空の背筋が小刻みに震える。
身体を縮こまらせて、悟空の額が三蔵の胸へと押しつけられた。
三蔵の顔に笑みが浮かぶ。
明確な意志を持って、三蔵の指先が悟空の下肢へと伸ばされた。
「っあ!?」
パシャッ、と水面が大きく波打つ。
まだ何も変化していない未熟な部分を、三蔵の掌が包み込んだ。
「や…さんぞっ…やめてよぉ…っ」
悟空が震えながら三蔵へと縋り付く。
緩く扱き上げていると、未成熟な雄が芯を持って勃ち上がってきた。
次第に悟空の呼吸が甘い艶を帯びてくる。
「どうした?やめて欲しいのか?こんなにしてるクセに」
三蔵がからかうと、熱を孕んだ瞳で悟空が睨み返した。
しかし、ジワリと沸き上がる快感で、すぐに瞳も蕩けてしまう。
無意識に三蔵の掌に合わせて腰を揺らめかせ、更なる刺激を強請っていた。
気づいてもどうしようも出来ず、悟空は真っ赤になって顔を伏せる。
「やっ…恥ずかしっ…三蔵ぉ…」
必死に声を潜めて悟空が喘いだ。
「今晩は二人しかいねーんだ。別に我慢することねーよ」
悟空の雄を弄る手はそのままで、もう片方の掌が小さな双丘を割開く。
奥に隠れた秘処へと指が伸び、閉ざされた襞を解すように蠢いた。
指先を潜り込ませると、一気に根元まで埋め込む。
「いっ…やぁ…っ」
お湯の力を借りて滑り込んできた節くれ立った長い指に、悟空は甘い嬌声を零した。
瞬間に身体の熱が跳ね上がる。
柔らかく蕩けた内壁が、悦ぶように三蔵の指へと絡みついてきた。
後ろの刺激に呼応して、悟空の雄もビクビクと震えている。
「やっ…さんぞぉ…お湯入っ…気持ち悪い…て」
「いつもみてぇに痛くはないだろ?」
「そ…だけど…やんっ…動かしちゃ…あぅ…っ」
指を2本に増やしても拒むことなく、悟空の秘孔は貪欲に飲み込んだ。
悟空は三蔵の首に腕を回して、腰を蠢かす。
言葉で拒絶しても、身体は刺激に喜んでしまう。
「さんぞっ…も…やっ…でちゃ…」
悟空の秘孔が煽動して三蔵の指を強く締め付けた。
「出して良いぞ…」
快感に喘ぐ唇を塞ぎながら、三蔵は指を最奥まで突き立てる。
「んぅーーーーーっっ!!」
大きく悟空の身体が跳ね上がり、呆気なくお湯の中にを吐精してしまった。
三蔵が指を引き抜くと、力の抜けた身体がグッタリと倒れ込んでくる。
細い身体を支え直して、さぁこれから美味しく頂こうと猛った自身の切っ先を蕩けた秘孔に当てた途端、

「さんぞぉ…目ぇ回っ…ぎもぢわるいぃぃ〜」
「……………………………あ?」

悟空はそのまま気を失ってしまった。
お湯の中で必要以上に体温を上げてしまい、湯あたりしたらしい。
さすがの三蔵も無理矢理揺さ振って起こす事も出来ず、自身の熱を持て余したままその場で途方に暮れた。






湯あたりで頬を紅潮させたまま、悟空はベッドに沈んでいた。
水で浸したタオルを、三蔵は悟空の額へと乗せる。
「ん…?」
冷たい心地良い感触に、うっすらと悟空の瞳が瞼から覗いた。
「…気が付いたか?」
ベッドの傍らに腰を下ろして、三蔵が煙草を吸いながら覗き込む。
パチッと目を開けると、悟空はキョロキョロと視線を彷徨わせた。
「俺…どうしたんだっけ?」
「風呂でぶっ倒れたんだよ」
「お風呂…ああっ!」
先程までの行為を思い出して、悟空の顔が真っ赤に染まる。
手元の上掛けを引き寄せると、火照った顔を必死で隠した。
成り行きを眺めていた三蔵の口端が意地悪げに微笑む。
「どうした?全然隠れてねーぞ、サル?」
「なっ…何でもないよっ!!」
三蔵が隠れていない柔らかな頬に唇で触れると、悟空はますます枕へと顔を埋めて照れまくった。
あんまりからかっても先に進まないと思案した三蔵は、悟空の頭をポンポンと叩く。
「喉は渇いてねーのか?」
「ちょっと…渇いてるかも…」
ボソッと呟いて、悟空が三蔵のバスローブの袖を掴んだ。
「待ってろ。水持ってきてやる」
三蔵は作りつけのミニカウンターへ行くと、グラスに水を注いで戻ってくる。
悟空が起き上がってグラスを受け取ろうと手を差し出しても、三蔵は不敵に微笑んだまま渡そうとしない。
「三蔵…意地悪すんなよぉ」
「そんなに欲しいか?」
「うんっ!」
大きく頷くと、三蔵は悟空の目の前で水を一口飲んだ。
「あーっ!ずりぃ〜」
唇を尖らせて不平を言うと、三蔵の腕が悟空の後頭部へと回され、大きく引き寄せる。
「んっ…!?」
驚いて目を見開くと、目の前には見惚れるほど綺麗な三蔵の顔。
喉を冷たい水が通りすぎていった。
流し込まれた水を飲み下すと、歯列を割って三蔵の舌が入り込んでくる。
「ふ…んん…っ」
無意識に逃げる悟空の舌を三蔵は吸い上げ、根元からねっとりと絡ませた。
三蔵に甘噛みされて、悟空の舌先がじんと痺れる。
口腔を思う様貪られて、悟空の息が上がってきた。
それでも細い腕が三蔵の首へと回り、強請るように引き寄せる。
悟空の所作に三蔵は満足げに双眸を細めると、悟空の身体をベッドへと縫いつけた。
そのまま一気にっ!と内心で気合いを入れると、
「あ、そうだ!」
何かを思い出して悟空が声を上げる。
「三蔵っ!さーんーぞーっ!!待って…ちょっとまっててばぁ〜」
覆い被さっている三蔵の肩を、悟空はポカポカと叩いた。
無視していると耳元でギャーギャー喚くので、三蔵は諦めて身体を起こす。
不機嫌全開で眉を顰めると、真正面から悟空を見下ろした。
「…今更何なんだ?」
「あのっ!あのね?もし三蔵と今日エッチするんならコレ使って下さいね〜って八戒に貰ったのがあるのっ!」
八戒、と聞いて三蔵の眉間の皺が更に深くなる。
何だかとてつもなくイヤな予感がした。
第一、何でこれからのことをアイツは先読みしてやがるんだ!
三蔵が心の中で思いつく限りの悪態を付いていると、悟空が何やら自分のリュックをゴソゴソと探っている。
「あ、あった♪」
何かが入った紙袋を持って、悟空がベッドへと戻ってきた。
「何かね?三蔵がすっごく喜ぶモンなんだってさ。何だろう?」
悟空が紙袋から取り出したモノは。

「うわっ…何コレ?すっげぇ〜!!」

手にとって広げられたモノに、三蔵は度肝を抜かれる。
「これってさ〜パンツなの?どっちが前?それにレースでスケスケじゃパンツの意味ないね?」
八戒から渡されたモノ。
それはピンクの総レースTバック下着だった。
「あの野郎おおぉぉぉっっ!!」
三蔵は怒り心頭で枕に拳を叩き込む。
ぜってぇ仕返ししてやる―――――――悟浄に。
八戒に仕返ししても上手くかわされるは目に見えている。
と、なると悟浄を苛めた方が直接的な被害は無いし、八戒にも二次被害を喰らわせられるのだ。
ブツブツと報復方法を考えていると、クイクイと袖口が引かれる。
「あ?何だよ!?」
「ねーねー?コレ穿いた方がいい?」
「…………………………………………そうだな」
三蔵も所詮唯のオスだった。