おかやまチェロアンサンブルで歌わせて頂きました

管理人の妻の感謝


2004/02/28 09:53

***始まりは唐突に***

 それは2003年、OPE(岡山ポリフォニーアンサンブル)演奏会の打ち上げの時。
  いつもOPEのオケでチェロを弾いて下さっているMさんが、TAKA−Cと何やらお話した後、MOCHAのところへやって来ておっしゃった。
「ソロ、歌ってみん?」

「え・・・?」
 聞けば、Mさんが所属してらっしゃる「おかやまチェロアンサンブル」で歌うソプラノのソリストを探していらっしゃるとのこと。TAKA−Cも「本人がいいならいいですよ」と。
「わ、私でいいんですか?」
「うん。お礼は出せんのじゃけど」
「とっ、とんでもないですっ!私でよければ、喜んで」

 どんな曲かもよく知らずに、あっさり引き受けてしまった私でありました。

 数日後、楽譜とCDを送って頂きました。
 曲は「ブラジル風バッハ 第5番」。ヴィラ=ロボスという人が作った曲です。
 パラパラと楽譜を見て・・・ふんふん・・・なるほど・・・・えっ?高いシのフラット(B)が2つもある!?
 しっ、しかも、1つはハミング?むむむむ、無理だがやっ!
 いきなり、自分でもよくわからない方言になるくらい、びっくり。
 つい先日「クリスマスオラトリオには高いラの音(A)がいっぱいあってツライ」と、あるところに書いたばっかだと言うのに、更にその上の音を、しかもハミングで出せって・・・あうあう(;o;)。

 気を取り直してCDを聴いてみる。とてもMOCHA好みの優しい音で始まる。
 なんだか、懐かしいような切なくなるような、甘く優しい、なんとも言えない素敵な音です。
「あぁ、これがチェロのピチカートの音なんだぁ・・・」と楽しむ間もなく、ソプラノのソロ。
 いやもう、実にあっさり、Bをクリアしていらっしゃる(当たり前か)。
 しかも、次の曲ではその上のドの音(C)まで綺麗に出している。
 うぉう、てめーら人間じゃねぇっ(泣)

 とまぁ、泣いてばかりもいられないので、とにかく練習。
 CDを聞きながら、歌詞のチェック。
 スペイン語なので、ほとんどローマ字読みに近いようでした。
 最初はCDに合わせて練習していたんですけど、やはり自分が合ってるんだかどうだかよくわからないので、MIDIで伴奏を作ることにしました。

 そこで気づいたんですけど、チェロの楽譜って「ト音記号」と「ヘ音記号」とそれから「ハ音記号」(で合ってます?あの数字の3みたいな記号)の3つの記号が、一つの段に出てくるんですよ。ちょっとびっくり。(私がみてるのはスコアだったんですが、パート譜はまた違うのかな?)
 普通、ピアノとかの楽譜ならト音記号とヘ音記号は2段にわかれてますよね。
 でも、チェロの楽譜って、途中までト音記号だったのが、同じ段で急にハ音記号になったりしてるんです。
 こういう楽譜を入力するのは、初めてでした。
 今のMIDIって、ハ音記号にも、ちゃんと対応してるんですね。

 自分で作ったMIDIの伴奏で練習。
 あぁぁぁ、防音室が欲しいよぉ。
 本番で歌う時と同じくらいの声が出したい(息継ぎなどの感覚を掴みたい)んだけど、いくらなんでも、そりゃ無理。(下手すりゃ「悲鳴が聞こえた」って通報されかねない(^^;)
 なんだか、いろんな不安を抱えながら、合わせの練習へ。

***ドキドキ、合わせの練習*** 

 合わせの練習は、幸い、本番前日以外はすべてOPEの練習と同じ日だったので、泊まりがけで練習ということはありませんでした。
 最後の日だけは、先生のお宅にお世話になっちゃいましたが(ありがとうございました)。
 OPEの練習の方は、TAKA−Cが録音しておいてくれるから、行けなくても大丈夫だしね。

 最初の合わせの時は、10人ほどの方が参加されていたでしょうか。
 それが、全員チェロ!(いや、チェロアンサンブルなんだから当然なんだけど)うわぁ、圧巻!
 しかも「本番では17、8人になります」とのこと。
 すごいなぁ。

 まずは楽器だけで合わせることに。
 その日に配られたパート譜を、指揮者ナシでいきなり10人くらいの奏者が合わせるんですよ。
 これ、すごいことだと思いません?
 例えば合唱で、「バビロン河のほとり」をパート譜のみで、しかも指揮者ナシで4パート十数人が合わせることを想像してみて下さいよ。
 初見の楽譜を見ながら、他のパートも聞きながら、リズムもキープしながらですよ〜。もう、すごすぎ。
 練習の過程でも、スコアを見ながら演奏するわけにはいかないから、自分がどこと掛け合いをしてるかとか、どことリズムが合っているかとか、どのくらいrit.するかとか、今どのパートがメロディを弾いてるかとか、聞きながら感じながら確認していくしかないんですもの。
 信頼感や結束がものをいう作業ですよね。
 みなさん、仲が良くて、結束がかたいのも当然かも。

 合唱は、全てのパートと伴奏の楽譜を一目で見渡して歌える上に、指揮者がいるんだから、そういう意味じゃ楽なんだなぁと実感。(いや、それでもOPEだって、みんな仲良しなんですよ〜)

 そしていよいよ、MOCHAも合わせに参加。
 「そもそも高い音が出ない」ということ以外に難しかったのは、やっぱりrit.やallarg.等の、速さの変わり方を楽器の方と合わせること。
 楽器の皆さんは「好きに歌って下さっていいですよ。こちらが合わせますから」と言って下さるのですけど・・・。(皆さん、非常に優しい方ばかりなのです)
 いや、それは、いつも同じ様に歌える人ならいいかもだけど、私の場合、その時その時で速さが違うんじゃないかって気がして、しかも自分でもよくわかってなくて(録音しようにも、録音機材はOPEの練習に行っているし)、思いっきり気がとがめたり。(そんな気まぐれな歌に合わせられるかっつーの)
 また、この曲がコロコロと速さが変わるのよ(涙)。
 他にも、最後のAはピアノで綺麗に伸ばすべきなんですが、伸びない・・・伸ばせない・・・。
 楽器の方が気を使って下さって、短めにきって下さいました。
 その他にも、いろいろいろいろ、もぉぉぉぉ、ごめんなさいです!

 練習会場に一人で行くという経験も初めてでした。(歌の練習と言えば、いつもTAKA−Cと一緒ですから)
 「超・方向音痴」のMOCHAが本当に一人で大丈夫なのか?と心配する向きもありましたが、案の定・・・。

 川崎医大で練習があった時は、迷いましたねぇ〜、中で
 TAKA−Cには、とにかく病院の前まで車で送ってもらったんですが、そこから練習会場につくまで3人に道をたずねましたことよ。
 まず、周囲にいろんな建物があるんですね。
 え〜と、あれは川崎医療福祉大学だから違うよな・・・。これは現代医学教育博物館だし・・・。
 じゃあ、やっぱりこの建物が医大?でも、思いっきり病院だし、ほんとにこの中で練習するのかしらん?う〜ん、病院棟で練習とは聞いてるけど・・・と、周囲をうろうろすること20分近く。(迷うことを見越して、1時間くらい早めについてた。方向音痴とのつきあいも、長いからねぇ(^^;)

 で、学生さんらしき方に「病院棟ってどれですか?」と聞くと、やはりその病院が「病院棟」らしい。
 まぁ、当たり前といやぁ、当たり前だけど、病院の中に楽器を練習するところなんてあるのかなぁって思いません?
 次は靴を預ける所で「8階に講堂ってありますか?」と。
 そこでエレベータの場所を教えてもらって8階へ・・・ついたはいいんだけど、講堂ってどこ?
 広いのよ、8階だけでもっ。喫煙室から売店から理髪店から食堂やカフェまで、もうなんでもあるって感じ。
 そこでも、うろうろとさまよった挙げ句、白衣を着た女性の方に「講堂ってどこでしょう?」
 教えてもらった通り行こうとして、更に迷いそうになった私を、みかねたその方が講堂まで連れて行って下さいました。
 そこでおとなしくしていればいいものを、トイレに行って、再び迷ったのはワタシです。(←おバカ)

 本番一週間前からは、とにかく風邪をひかないように気をつかいました。
 マメに喉を潤して、人込みに行くのを控えて、手洗いうがいをして。
  チェロアンサンブルのメンバーさんのウェブサイトに「口呼吸より鼻呼吸の方が風邪をひきにくい」とあったので、それを実行してみたり。(おかげで、無事、風邪をひかずにすみました)
 お酒も全く飲みませんでした。
 前日、先生のお宅にお邪魔した時、一番残念だったのがワインが飲めなかったこと(←コラ)。

***そして、本番***

 さて、本番は2月22日でした。
 場所は西川アイプラザ。OPEでも歌ったことがある会場なので、少しは安心。
 上で書いたように、MOCHAはものすごい方向音痴。
 知らない会場だと、中で迷うこと必至。知ってる会場だって、アブナイ。
 OPEの演奏会なら、まぁ、いざとなればTAKA−Cにくっついていればいいんですが、今回はMOCHA一人(TAKA−CはOPEの練習に行ってる)。
 そんなワケで、当日は少し早めに行って、他団体のリハーサルの見学がてら、会場内の確認をしました。

 それから、一人で発声練習
 発声を自分一人でしないといけないわけですよ。(考えてみれば、そういう経験も初めてかも)
 他の皆さんが楽器を鳴らしている部屋でするのは、なんだかちょっと気がひけるというかなんというか・・・だったので、舞台横の廊下で、一人で発声。

 リハーサルが終わったらすぐに着替えて、それから後は控室に帰らず、自分の出番までず〜っと舞台袖で待機
 もう、それが一番安全かな・・・と。
 邪魔にならないように、舞台袖の隅っこでじっとしてました(それでも邪魔だったかなぁ。ごめんなさい)。
 前を通る皆さんに「控室ありますよ」と声をかけていただいて恐縮。
「いえ、いいんです、私、迷いますから・・・」と言うと「またまた〜(笑)」って、いえ、ホントなんですよぉ

 本番は・・・もう、夢中で歌って、気がついたら終わってた・・・という感じ。
  とにかく、終わってからは「あ〜、やっぱ私って下手くそだぁぁぁ」と、落ち込んでましたけど、後日、MさんやNさんからメールを頂き、もう非常に過分なお誉めや、あたたかいお言葉を頂戴して、大感激!それで、やっと前を向く気になれました。

 もうもう、謝ることばかりのつたない歌で、おかやまチェロアンサンブルの皆様にはご迷惑をおかけしてしまいました。すみませんでした。
 でも、私にとっては、すごくすごく、ものすご〜く、楽しくて貴重で勉強になる体験でした。
 ほんとに、ほんと〜に、みなさん、ありがとうございました。

 とってもとっても心残りなのは、打ち上げに行けなかったこと(←それかいっ)。
 え〜ん、皆さんと一緒に、飲みたかったよぉ。
 たくさんお話もしたかったよぉ。
 家が岡山なら、絶対行っていたものを・・・。

***今の心境***

 あれから数日経った今も、なんだか興奮冷めやらぬ思いです。
 ものすごく嬉しい夢を見た後のような、ふわふわするような、それでいて寂しいような、不思議な感じが続いています。

 多分、初めて「一人で歌った」からかもしれません。
 今までは、OPEでソロをしても「合唱団員の一人」として歌ってたようです(そんなこと、考えたこともなかったけど)。
 そういう意味では、一生、忘れられない演奏会になりました。

 本番前一ヶ月くらい、平日は家で毎日のように歌の練習(と簡単な発声練習)をしてましたけど、せっかくなので、これからも続けて「クリスマス・オラトリオ」の練習をしようかなと思っている次第。(実は、ブラジル風バッハも、まだ時々歌ってます)
 12月のOPEの演奏会の時、MOCHAの歌がパワーアップしていたら、それは「おかやまチェロアンサンブル」のおかげですね。


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2004/02/28 09:53