by MOCHA
逃してしまった宝物
MOCHA
2004/09/30 22:17
漫画家の砂川しげひささんが、著作「なんたってモーツァルト」(東京書籍)の中で、こうおっしゃっている。
「ぼくの持論としては、クラシックは十代で聴きはじめるのがいちばんと思っている。百歩ゆずったとしても二十代まで。それ以降の三十、四十代でクラシックを聴くのはムリという意見だ」
アタシなんか、35歳だから「もうムリ」だ。
特にモーツァルトを聴く資格があるのは、人生の根幹に「なんたってモーツァルト」という意識がある人なのだそうだ。
朝、目覚めた時には「ここでモーツァルトの〇〇が流れてほしいなぁ」と思い、通勤バスの中で乗用車の「パッパッパー」というクラクションを聞くと『魔笛』を思い出し、職場に飛び込んできた蝶々をみると『フィガロの結婚』が聴こえてきて、窓から見えるトタン屋根で『ト短調交響曲』を連想し・・・。
そういう人でないと、モーツァルトを聴く資格はない・・・らしい。
「わはは、そんな極端な」とも思うけど、なんか、わかる気もする。
『意外な楽器』のところで、謎のコンバスの正体がわかった時、「これミステリのネタにならないかな」と思ったと書いたが、私はどこかに「なんたってミステリ」という意識があるらしい。
「このテの謎は、加納朋子さんか、北村薫さんかなぁ。でも、覆面作家シリーズにバッハは似合わんなぁ」とか「そういえば『古畑任三郎』の中で〇〇の音が××で(ネタばれにつき伏せ字)ってのがあったなぁ。あれは確か第3シリーズか」とか、とっさにバババッと思い浮かぶのだな。普段の生活の中でも、つい「アリバイが・・・」とか「これは暗号か?」とか、考えちゃったりして。
これは、やはり子供の時からミステリが好きだったから、こんなカラダになっちゃったのね。だからと言って、40代でミステリを読みはじめるのはムリとは思わないけど。
むしろ、読んでみ、読んでみ!と勧めたいくらい。音楽一辺倒だった人が、偶然、綾辻行人さんの「十角館の殺人」(講談社文庫)を読んで、いきなり本格ミステリに目覚めたなんて話を聞いたことがあるが、「うわー、わかる、わかるっ!」だ。
あれは、結構ミステリ慣れしていた私にも、衝撃の一冊だったもんな〜。いやま、それはともかく。
確かに、今から音楽にハマっても、10代の頃からクラシックを聴いてる人の感覚には、絶対追いつかないだろうなぁ・・・とは、思う。
そうは思うけど、好きになっちゃったもんはしかたない。
35歳は35歳なりに、クラシックを聴きはじめればいいじゃん・・・と開きなおってる今日この頃です。子供の頃から、クラシックに親しんでいるという方へ。
あなたは、それだけで宝物を1つ、持っているんですよ(^_^)。
2004/09/30 22:17