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スキーブーツを作る その1



「ブーツを作る」と言われたら、どんなことを想像しますか?? 私は、ゼロから作る(種まき〜収穫(?)のようなイメージ)のかと思いましたが、実際は、既製品のブーツのシェルを足型に合わせて加工して使い、インナーブーツとインソールは、セットのをはずして、別売のフォーミングインナーとインソールにつけかえるんですね。

当然、価格は、ブーツ代+インナーブーツ代+インソール代となり、セットのインナーブーツとインソールは、無駄になってしまいます。(シェルだけ買えるブーツもあります。)ちょっともったいない気もしますけど、上達には一番の近道だと説得され、清水の舞台から飛び降りる決心をしちゃいました。サイズは25.5cmなのに、23cmの靴幅がちょうどいい私の足にぴったりフィットのブーツを手に入れるためには、もうこれしかありません!


6月の休日、神田のスキーショップに、ブーツを買いに行きました。
インターネットでおすすめのお店を教えてもらい、その中にあったこちらのお店で、昨シーズンにブーツを買った方が、別人のように上達したこともあって、私も絶対にここで買おうと決めていました。

ここでは、ブーツを選ぶのはお客ではなくて、店員さんの仕事です。お客の欲しがるブーツを売って、そのまま渡すようなことはしません。(欲しいブーツが足にあっていなくて、買えないこともあります。)シェルは、足型に合わせて無料で調整してくれ、アフターケアも無料。

人によっては成形インソールをすすめられることもあり、現行モデルだと定価販売なので、金額的には高いような気がしますが、正しい選択&アフターケアを考えれば、何度も合わないブーツを買い換える手間と出費が省けるので、長い目で見れば安いと思います。

さて、プロの目で選んでいただいたブーツは、いうと、

・・・(凹)

どれも合わないんです。。ニューモデルなら合うのがあるかと、淡い期待を持ったのですが、お店の方全員(!)に「どのブーツでも緩いので、フォーミングしないとダメ。」と説得され、同じビルにあるブーツ工房を紹介されました。

ひぃ。

「でも、アナタのレベルだと、値段の高いブーツ(=固いブーツ)は使えないから、バカ高くはなりません。大丈夫大丈夫♪」

と、店員さんに、喜んでいいやら、悲しんでいいやらわからない、ビミョ〜な慰め方をされ、そうこうするうちに、いつのまにやら工房のご主人も現われて、私の足を見るなり、

「こりゃ(作らないと)だめだわ。待ってるからね。」

と言い残し、去っていきました。

・・・。

そういうわけで、このレベルにして、まるで選手のように「ブーツを作る」ことになりました。猫に小判。豚に真珠。ゆみにフォーミングブーツ。

工房は予約制とのことですので、その日は予約をお願いして帰りました。


いよいよ当日。
緊張感いっぱいでお店に行くと、ご主人のTさんがおひとりで待っていました。

「いらっしゃい。今コーヒー入れてるから、座ってくつろいでてね。」

のんびり、ゆったりムードです。ここには、全国各地からお客さんが来るらしく、私のあとのお客さんは、三重県から来るのだとか。すごいなぁ。。このレベルでココに来るお客って、他にいるのでしょうか、と恐縮するワタシに、Tさんは、

うまくない人ほど、ブーツは大事なの。うまい人はテクニックでカバーできるからね。レベルはぜ〜んぜん気にしないでね。」

と言ってくださいました。

まずは、足型診断から。メジャーで測ったり、骨格や筋肉のつき方を確かめたあと、足圧測定コンピュータで前後左右のバランスを測ります。

「キミの足は、絶対に既製品じゃムリだよ。でも大丈夫。ピッタリのを作るからね。」

なんて力強いお言葉。

「アナタの胸に飛び込ませてください!!!」

とは言いませんでしたが、なんとなく、そんな気分になりました。

「メーカーは希望ある?」

「はぁ、レクザムなんか(安くて)いいなぁ〜なんて。。」

(レクザムってシェルだけ買えるんです。良心的です。)

レクザムだと、ボリュームですぎるな。ボクはラングがいいと思うんだけど(シェルだけ買えないから)高くなっちゃうんだよね。どうしようか。」

「この際ですから、一番うまくなるのをお願いしますっ!!」

「ハハハ。そうだねぇ。今年のラングは、キミには合わないから、去年のモデルで作ろう。今年のより2万円くらい安くなるよ。ホントは6シェルで作りたいところなんだけど、長さ優先で7シェルにしよう。」



今年のモデル。
ぷ〜ちゃんと同じピニンファリーナデザインで、
曲面を多様しています。



こちらが去年のモデル。
ラングらしいカッコイイデザイン。
レーシングモデルだけど固くないです。

結局、2001-2002モデル、L10 Racing ZC の7シェルになりました。 (写真はインターナショナルモデルなので、実際はちょっと違います。) ラングの中でも一番細いシェル。 次に買うならコレだろうな、と去年試着したモデルでもあります。

シェルが決まったら、インソール作りをして、終了です。

「ありがとうございました。できるのは秋頃でしょうか。」

「いや、シェルはそんなにいじるところないから、早くできるよ。来週渡そうか。早く履いて、早くうまくなってね♪」


ザウスは9月で閉鎖が決まっています。 なくなる前に新しいブーツで滑れるなんて、思っていませんでした。

Tさんは、板をしっかり踏めるポジションも教えてくださり、さらに、どうしてこのポジションが大事なのかということも、実験をしながら解説してくださいました。ポイントは3つ。

○足の指を開いて、軽く持ち上げる
○内ももの筋肉を緊張させる(太ももの間にこぶしを入れて、内ももで挟む)イメージ。

内ももを絞っていれば、外足を角づけしたときに、内足も一緒について動くんです。猫背はだめ。おしりを落とすのもだめ。 でっ尻ぽいかんじで、背筋を伸ばします。

○ストックは小指〜中指の3本でしっかり握る。

親指と人差し指を強く握ってしまうと、上腕筋が固くなってしまうのだとか。

腕は、いつもよりヒジを前に出すように・・・えーっと、こうかな・・・

「うん。いいね。見てごらん。」

顔をあげると、さっき乗ったときには「ナニコレ?」状態だった、足圧測定コンピュータの画像がガラリと変っていて、前後左右のバランスがバッチリ! それに、すごい安定感です。横や上から押されてもビクともしません。

最後に正しい歩き方も教わり、ブーツを作るための時間が1時間、技術指導が1時間の中味の濃い2時間でした。

そんなわけで・・・来週のできあがりが待ち遠しいです。



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