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ＰＩＬ「フラワーズ・オブ・ロマンス」
P.I.L / Public Image Ltd 「Flowers Of Romance」       ゴリ松


ヨーロッパ、アジア、アフリカという３つの大陸の交差点であり、世界最古の文明が芽生え、史上最古の町が築かれた土地。そしてユダヤ、キリスト、イスラム・三大宗教発祥の地である文明の十字路、中東。ここまで大げさに考えていたのかは知らないが、パンク界の怪童、ジョニー・ロットンことジョン・ライドンが中東に目を向けた。いや耳を向けた。

セックス・ピストルズ解散後、キース・レヴィン（G）、ジャー・ウーブル（B）、ジム・ウォーカー（D）で結成されたのがＰＩＬ。このＰＩＬとして出したファースト・アルバム「メタル・ボックス」で実験的かつ革新的にパンクとの決別を世界に告げたジョンだが、このセカンド・アルバムにおいては更なる驚きと変化を遂げて見せる事となった。

レコードに針を落とせば、なんたるちあ！もうそこは遠く中東の地。「ドンタタッタタッタタン・ドン・ドン・・」とロックのリズムとは明らかに違うスネアの響きに乗せ、「ア〜〜ァ〜ラ〜・アァ〜〜ラ〜」とジョン・ライドンが、まるで砂漠の砂の中から沸いて出たかのように例の声を絞りあげる。そして基本コードを３つしか知らないと自ら語るキースの不協和音、バンバラバンのノイズ・ギター。

イケている・・これはどうしようもなくイケている。そう感じながら「フラワーズ・オブ・ロマンス」に聞き惚れる俺であったが、背後では母親が俺に、とても悲しい眼差しを向けていた。そうキチガイを見るような眼差しを・・・。

　母さん。僕はキチガイではありませんが、キチガイのふりをする事はあります。
　あっ、そうそう・・この歌手の人はキチガイだけど。ふぇっへっへっへぇ〜。
　でもね、母さん。天才とキチガイは紙一重って言うじゃないか。
　僕もいつか大物になりたいなぁ〜。

　何だって、ゴリオ・・バカ言っちゃいけないよ！
　母さんはおまへが大学を出てだねぇ・・どっかの会社に入ってさぁ。
  課長さんか部長さんになってくれりゃ〜、それで満足なんだよ〜。
　間違っても、キチガイになんかなっちゃ〜いけないよほぉぉ〜。
　父さんだって何にも言わないけど、そう思ってるんだよ〜。

　ふっ・・まぁ、考えておくよ。

　母の目に
　映る自分の顔を見て
　揺れる狂気にヘソのゴマ



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P.I.L　「ジョンありがとう」

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