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エドガー・ウインター  

「声の職人」 
     Pantetsu

名盤再発売と言いながらも、いきなりに廃盤になってしまう名盤は多いが、名盤と言うなら常時流通させる事は出来ないのだろうか?とにかく今は旧譜復刻版なんて即買いしないと絶対に後悔する事になるので、躊躇せずに買うことにしている。アナログ盤と重複しつつも、アナログ再生環境の無い私などは絶対的にCDも買ってしまうと言うかCD化されるのを楽しみに待っているのであり、私の大好きなエドガー・ウンターなんか、当時アナログ盤からしてナイスプライスで発売されており、主要なタイトルは安値で手に入れることが出来た何ともディスカウントなアーティストなのである。

しかし、日本国内の知名度と言ったら余りにも低く、絶対に来日不可能と思っていたが、近年は何度か来日を果たしている。が・・リック・デリンジャーと別バンドでの公演時など、なんと客の大半はメインのエドガーを知らないのである。メインのエドガーでシラケまくるのである。会場で私の席の後方の小憎などは友達と話しながら「ねーねーエドガーなんとかってヤツも観て行く?」なんて会話をしているのである。オイオイ、リック・デリンジャー知っててエドガーの名前も知らんのか?

エドガーの活動は常に自分の名前を使って、例えば「エドガー・ウインター・グループ」とか・・要するにリーダーであってメインなのに地味なのである。でしゃばらないのである。自分の名前をバンド名にしながらも本人はただのバンドの一員なのである。確かに特別優秀なクリエイターでは無いかもしれない、彼はただの優秀なPlayerなのだ。優秀なヴォーカリストであり、キーボーディストであり、サックス奏者である。

そんな彼の「エドガー・ウインター・グループ」は彼の本質である黒人音楽からは大きく離れて表面的にはグラム顔したPOPロックバンドだ。当初からプロデューサー兼ギタリストとしてリック・デリンジャーが関わってはいるが、初代のギターリストはロニー・モントローズであり、有名な「フランケンシュタイン」を産んでいる。おそらく世界的にはこの曲が一番有名なのだろう。なんともオドロオドロしいインスト曲であり、アルバムの流れとは全く違うのだがヒットしたらしい。一貫して彼のアルバムには曲や方向性に統一感が全く、何でも有りなのだ。そんなリーダーバンドで有りながら、エドガーのソウル色を極端に省いたようなアルバムが、名盤として名高い「恐怖のショック療法」である。

何と言うか彼は、常に社長なのだが80%の株を社員に与えているような人なので、しかし社員は社長を脅かす事無く自分の仕事を確実にこなし、個性を発揮しながらも社長の臭いは絶対的に残しているのである。エドガー社長は優秀な社員の計らいによって最大限の力と特有の臭いを発している。実に不思議な関係なのである。

とにかくシンガーとしてのエドガーの力量は半端なものでは無く、ジャンルを問わず完璧な歌唱を披露し限りなく楽器に近い。魂を持った楽器なのだ。彼のお得意のパフォーマンスの一つである楽器とのユニゾンや掛け合いは、真に声の職人としてのセンスと技術を確認できる素晴らしいアドリブシーンである。そんな彼のアルバムの楽曲の中でも特筆すべきメロディを作り出しているのが、グループのベーシストでありシンガーでありソングライターのダン・ハートマンである。

正直な所、私はダン・ハートマンの楽曲がとてつもなく好きで、それを聴く為にエドカーを指示しているようなものだ。何故にコレほどまで素晴らしい楽曲が、名盤とは言われながらも後世に残るほどの扱いを受けていないか不思議でたまらない。今、誰かがカバーしても十分にヒットの可能性のある楽曲がゴロゴロしているのだ。確かにダン・ハートマンは映画「ストリート・オブ・ファイヤー」への楽曲提供で一躍時の人には成ったが、単なる一発屋では無い能力を正当に評価されるには至っていない。そして、この頃のリック・デリンジャーは全てに関して的確なギターを披露している。全く持って素晴らしいミュージシャンの集まりなのである。とにかく良いのだ!

Edgar Winter's White Trash 「ROADWORK」 エドガー・ウインターズ・ホワイトトラッシュ 「ロードワーク」ESCA-5327
Edgar Winter's White Trash 「ROADWORK」
音楽への愛を感じるアルバムなのである。何と言っても本作の最大の聴き場はエドガー・ウインターとリック・デリンジャーによる、声とギターの掛け合いで、職人技とも言うべきエドガーの声として発せられるフレーズの数々は必聴の価値がある。ゲストのジョニー・ウインターによる、ロックの名曲「ロックンロール・フーチークー」など聴き所満載の「どさ廻り」超名ライブ盤だ。
Edgar Winter Group 「They Only Come Out At Night」 エドガー・ウインター・グループ 「エドガー・ウインター4」ESCA-5326
Edgar Winter Group 「They Only Come Out At Night」
エドガー・ウインターの最高傑作アルバムと呼び名も高い名盤。世界的なヒットを記録した「フランケンシュタイン」を含む本作は、エドカー・ウインターがブルースやソウルと言ったジャンルから脱却し純粋にポップスに向かう姿が感じられる。私は今でも6曲目の「ラウンド・アンド・ラウンド」のサビのタンバリンを聴いただけで異常に高揚し感極まり涙が込み上げるのである。実は「フランケンシュタイン」なんてどうでも良い曲であり、本作を名盤としているのは、その他の名曲の数々だと思う。
Edgar Winter Group 「Shock Treatment」 エドガー・ウインター・グループ 「恐怖のショック療法」ESCA-7552
Edgar Winter Group 「Shock Treatment」
いきなり一曲目からリック・デリンジャーのハードなギターが炸裂し、そのままアルバムの世界に引きずり込まれる。珠玉のバラードからディープでソウルフルなR&Rナンバーまで、あらゆるタイプの楽曲が散りばめられ、類似品一切無の世界を作り出している。名演、名曲多い正に名盤。とにかくPOP。
Edgar Winter Group 「Edgar Winter Group With Rick Derringer」 エドガー・ウインター・グループ 「謎の発行物体」
ESCA-7553
Edgar Winter Group
「Edgar Winter Group With Rick Derringer」
グループ最後のアルバム。統一感の無い楽曲の数々は彼らの持ち味だが、個々の楽曲の完成度はとてつもなく高く、バンドがリラックスしながらアルバム製作に取り組んでいる感が伝わる。邦題の「謎の発行物体」はジャケットのイメージだけで、音は全く別次元の爽やかでPOPな名曲のオンパレードであり、彼らのミュージシャンとしてのルーツが伺える秀作となっている。ダンハートマンの曲はやっぱり良い。

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Edgar Winter's White Trash 「ROADWORK」


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