ROCK ARTISTS BIOGRAPHICAL DEPARTMENT
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裸のラリーズ
「タブーを破る愉悦」 松田裕之
人間てのは不思議なもので名前が付いていないものに相対すると不安になる。幽霊なんかそうですなあ。ですから怪獣が日本を襲えばまず名前を付ける訳ですよ。そりゃあもう不安ですもの。「なんか名前も知らないワケワカラン怪獣が都庁を破壊してます!」なんて言われると。やはり「ゴジラ」だとかはっきりアイデンティティを持たせてあげた方が大衆心理は落ち着きます。きっと防衛庁あたりで「怪獣命名会議」などを開き、「やっぱり怪獣の名前は末尾にラを付けないとしっくりしませんなあ」などの議論経て命名されるのであろう。
そもそもロックって何よ?という大前提について議論しだすと、そりゃあもう侃々諤々。議論百出てな感じでロック野郎どもは何日でも語り続けるだろう。ある者は「奥崎謙三はロックだ!」と言い張り、またある者は「ビートルズなんて所詮英国のアイドル歌謡に過ぎない!」などと言い張るだろう。熱い彼らはやがて暴力的手段に訴え血を見るかも知れない。カテゴライズやジャンル分けなんてCD屋が便利になるだけの方便じゃん、なんて日頃から思っている俺なんかは、そんな熱い議論をぽかーんと眺めながら「ロックなんてただのこけおどしじゃん」等とぼんやり思うわけですね。整理整頓のまったく行き渡ってない部屋で。そういう意味で裸のラリーズは正真正銘のロックです。メンバーがよど号ハイジャックで北朝鮮に亡命なんてパブリシティはどう考えても凄すぎます。村八分の連中や久保田麻琴が一時期在籍したなんてのもなかなかだと思います。音源がなるべく出回らないようにして希少性や神秘性を高める手法もこけおどしとしては悪くないです。こっそりとブートのテープが出回って、そいつをドキドキしながら聴くって行為自体が背徳的で快感です。
サイケデリックがどうだとかアヴァンギャルドがどうだとか、そんなことはどうだっていいんじゃないかと。禁酒法時代に酒を飲むようなタブーを破る快楽を満喫できるのだから。
お勧めCDはありません
裸のラリーズ Les Rallizes Denudes「MIZUTANI-Les Rallizes Denudes-」 SIXE-0203 / CD |
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裸のラリーズ Les Rallizes Denudes「'77 LIVE」 SIXE-0400 / 2CD |
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裸のラリーズ Les Rallizes Denudes「'77 LIVE」
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