『こんな夜中に何の用だよ』 電話口の不機嫌な声は、相変わらず愛しくて仕方が無い年下の恋人のもの。 グレンシールは喉の奥で笑いをかみ殺しながら携帯を持ち変える。 「ちょっと暇になってな。部屋を追い出された」 『は……? 追い出されたって……』 「女としけこんだやつがいるんだ。淋しいから相手しろ」 受話器からはあ、とため息が聞こえて来た。 観念したらしい――だてにグレンシールの相手をしているわけじゃない、とでも言いたげに。 「お前も淋しかっただろ、アレン」 『淋しくなんかねえよ、せいせいしてる』 「お前が温泉饅頭食いたいって言うから渋々来たんだぞ」 『悪いかよ、好きなんだから仕方ないだろ』 「たらふく食わせてやるから楽しみにしてろ」 『……、おい、一体いくつ買ったんだよ……』 さすがにグレンシールのパターンが読めているのか、アレンの声には警戒が含まれていた。 グレンシールは忍び笑いでごまかして、電話口に愛を囁く。 「好きだぞ」 『……へー』 「愛してる」 『ほー』 「帰ってきたらたっぷり可愛がってやる」 『余計なこと言うなっ、電話切るぞ!』 手に取るように分かる反応が可笑しくて愛しくてたまらない。 グレンシールはロビーに一人煙草を吹かしながら、太陽が昇るまで携帯を離すことがなかった。 携帯電話の尻には充電器のアダプターがついたままで。 |
こんな感じでやっております……。
ちょっとオフラインで出したグレアレ本がないと分かりにくいですかね(汗)
グレンシールはアレンの為に饅頭買っていたのでした…相変わらず極端です。
そして朝までアレンは電話に突き合わされているわけです。健気だ。
ちなみにアレンはグレンシールに携帯を与えられました。捕まりにくいので強制です。