6月のHappy Live  − Second Half


  前回の続きで6月14日上野アリエス、15日立川ジェシージェイムスでの楽しかったライブについて、日記風に書いています。

  6月14日(木)10:00前に起床。嫌な予感を抱きつつ、もどかしく遮光カーテンを開けると、やっぱり雨。しかもかなり強い。うーん、てるてる坊主もこの梅雨にはききめなしか。これではお客様も少ないだろうなあ。それは多いほうが嬉しいに決まっているけれど、たとえお客様が少なくても私はそんなに変わらないで歌っているつもり。よく「観客が少ないとやり甲斐ないでしょう」ときかれるが、ひとりの部屋で歌っているのだって楽しいのだから、バンドで歌えるならそれだけで気分は最高。ただ、やっぱりバンドの人々のことを思うと、ひとりでも多くの方に聴いてもらいたいな、と考えるのです。

  まあ、でもお天気は私がどうこうできるものでもない。起きて、新聞を読みながら朝食。テレビを持っていないので、新聞は貴重な情報源。かたづけ、家事をして、体操、練習。途中、電話が鳴る。うちはほとんど電話はこないので「お客様から今日のライブの予約かな?」と期待してでると「こんにちは。こちら〇〇不動産と申しますが、今度用賀の駅近くに新しいマンションが・・」不動産の宣伝。思わず子供の声色で「おかあさんはいま、いません」切ってしまった。こんな不安定な収入でマンションも何もあったものじゃない。そうこうするうちに14:30。荷物を詰めはじめる。楽譜、マイク、MD、ドレス、靴、アクセサリーなどなど。もしもに備えて何でも持っていきたいほうなので、いつも家出人のような大荷物。それから気分がすっきりするというローズマリーの入浴材を入れたお風呂に入る。雨は依然として強く、止みそうにない。「こんな日に来て下さる方は、ありがたいなー。別に行かなくたって、何かに支障がおこる類いのものじゃないんだから」と割り切ったつもりでも、やはり動員数が気になっている。その後、少し早いけれど、ご飯。ここでしっかり食べておかないと、夜中帰ってくるまで食べられない。ココナツカレー+ゆでたまご+野菜サラダ+ミルクティー。ココナツカレーは最近のお気に入りなのだけれど、ゆっくり味わうという感じではない。そそくさとかたづけ。昨日買った爽健美茶のおまけのお香(ランの香り)をたきながら、身支度を整え、17:00前に出掛ける。

  18:00すぎ、上野アリエスにメンバーが集まってくる。ピアノの金子雄太さんはアリエスは、はじめてだそうで、ちょっとピアノを弾いてみて「わあ、いい音。これは楽しくなるぞー」と言ってくれ、嬉しくなる。ベースの岡田勉さんはドラムのチッコさんが紹介してくれたのだけど、私は初共演。サウンドチェックも兼ねて、何曲かリハーサル。アレンジされているもの、進行がめんどうなものを中心に。このメンバーの組み合わせで歌うのは初めてなのに、とってもいい感じで歌いやすい。30分程度でリハーサル終了。着替える。雨の日はなるべく明るい色を・・と、この日は鮮やかなブルーのロングドレス。出足は遅かったが、少しずつお客様も入り始め、10分遅れでスタート。インストもとってもノリがよく、なんだか自分もお客さんとしてずっと聴いていたいくらい。聴いていると、バンドは皆すごい技の連発なのだけれど、歌うととてもスムーズなのです。

  超高速バージョンのLover, come back to me!やチッコさんとのデュエットI can´t stop loving youなどスタンダード、ポップスをリクエストにもお応えしながら、3ステージで15曲歌ってあっというまに23:00で終了。 結局お客様は17人。目標人数には及ばなかったものの大雨のなかを来て下さって、ほんとうに感謝。外は雨だけれど、happyな演奏だったので、 楽しんでいただけたのでは・・・?

  皆さんを送りだし、着替えて大荷物を抱えて電車に乗る。12:30近くに帰宅。どっと疲れているが、まずはうがい、手洗い、お化粧を落として、ご飯。コンソメぞうすい+シナモンミルクティー+チョコレート2かけ。気分は高揚しているし、明日もライブは続くので、かたづけ。楽譜の整理、明日の曲順表作り。今日と大体同じだけれど、明日はベースの久末さんとのデュエットがあるから、それも入れて。ドレスも気分を変えて別のにしよう。MDもまた充電。きょうのを聴きたいけれど、聴きだすと集中して全部一度に聴かないと気が済まないのでがまん。荷物準備完了。明日に備えて早く寝たほうがいいのだろうけれど、まだテンションが高いままなので、今日来て下さった方にお礼のメールを書く。なんと17人中13人がメールアドレスを持っていてびっくり。残りの4人には郵便はがきでお礼を。13通メールを送ると、今日来てくれたお客様から既にメールが来ていた。今日のバンドひとりひとりについての感想だ。「金子さん・リリカル。聞き惚れました 岡田さん・さすが。渋いです チッコさん・今日はいつもにもまして熱演でしたね」遅い時間なのにわざわざありがとうございます。メールも送り終わり、またてるてる坊主をつくり、昨日のと2つならべてつるす。明日は効果あるかな。やっとお楽しみのお風呂。今度はリラックスできるラベンダーの香りの入浴剤。依然として、気がはっているままなので、お風呂のあかりを消して、ろうそくだけにしてみたりかなり長時間入る。あがって、ストレッチとマッサージ。少しづつ気持ちがほぐれてきてやっと眠る。もう朝の7時近くだった。

  6月15日(金)目覚ましは12時半にかけたのに、それより早く電話のベルで起きる。「チッコです。昨日はどうだった?」初共演のベースの岡田さんはチッコさんが呼んできてくれたので、わざわざ電話をくれたらしい。こういうのはありがたいですね。「とっても歌いやすかったよ。お客さんも喜んでた」感謝しつつ「じゃあ、あとでね」するとチッコさん「あとって、今日なんだっけ?」うーん。あなどれません。 これで私はいっぺんに目が覚め、カーテンを開ける。やった!今日は晴れ。てるてる坊主2人組が効いたか。

  昨日と同じように食事、準備をして15:30すぎに出掛ける。行きの電車のなかではベースの久末さんとのデュエット曲の歌詞、行き方をずっとそらんじている。17:00すぎからリハーサル。金子さん、チッコさんは2日目なのでスムーズ。デュエットを中心に合わせた後、皆で食事に。立川駅前に「ビヤレストラン武蔵野」 というそれはそれはレトロないい感じのお店があるのです。昭和40年代、といった感じの内装に、メニューも定食から単品まで幅広く、お値段もとってもリーズナブル。かなり広いお店なのですが、いつ行っても混んでいます。チッコさんによれば「ここは上野」なんだとか。そう、昔のお洒落になっていない上野というムードが立ち込めているかも。

  ここで、皆で美味しくご飯を食べた後、ジェシージェイムスに戻り、着替えて本番。今日は黒のロングドレスにオレンジ色のショール。髪はアップにしてつけ毛をする。金子さん、チッコさんはもちろん、久末さんもインスト1曲目からノリノリでかっこいい!お客様の入りもよく、最高に盛り上がりました。久末さんとのデュエット曲You’re Every thingはまだまだ課題があるものの、受けはいいみたいなのでがんばらなくては・・。この日も3ステージで15曲歌って、22:40ステージ終了。金子さんが「2日間、楽しかったです」と言ってくれて幸せな気分になる。かたづけ、着替え、店長さんと今後のスケジュール打ち合わせなどして23:30前の電車に飛び乗る。これで終電ぎりぎり。ほっとして疲れがどっとでてくる。

  帰ってメールチェック。するとさっき来てくれていたお客様からメールが。今日お話ししたときに「また今月のつれづれなる思いを書く時期なんだけれど、ネタを思いつかなくて」と言ったのに対してのお返事。「今日のデュエットなど曲の練習や準備はどうやってするのか知りたい」これを読んで、私は前回の原稿を書き始めたのです。でも、質問にお応えするというより単なる日記になってますが。ジャズシンガーというと、もっとかっこいい生活を想像される方も多いと思いますが、私の生活はもっともハレの日でもこんな感じです。でもマンションは買えなくても、好きなことをしていられる幸せな気分の毎日です。

  2日間、応援してくれたお客様、ミュージシャンの皆さんありがとうございました。また一緒に楽しい時間をつくりましょうね。
 


大越 康子