思い出の香り

 東京には春一番も吹いて、2月ももう終わりですね。8日に行った御徒町アリエスでのバースデー&バレンタインライブは、おかげさまで大盛況のうちに無事終了しました。今回は札幌のお客様がとちょうど東京出張中とのことで、4人で来て下さったり、いつもは空いている最終ステージに8人の団体さんがふらっと入ってくださったりで最後までほぼ満席。10年以上になる私のアリエス出演史上、最も多くのお客様にお聞きいただくことができました。そのかわり、お席が窮屈だったり、何度もお席を変わっていただいたお客様には、申し訳ありませんでした。あとライブの映像撮影の実験をしようと、デジカメを準備していたのですが、セットしてから慌ててステージに出ていったため、見事に失敗したのが残念。まあ何もかもうまくはいきませんよね(言い訳)。ライブ動画のリクエストは多いので、撮影には次回も挑戦するつもりです。どうぞ首を(気を?)長〜〜〜くしてお待ちくださいね。

 そんなわけでバースデーライブの夜は、いただいた花束と大荷物を抱えて帰り、家にたどり着くと、ぼうっとして座り込んでいました。ほっとして疲れてしまい、すぐに片付けることができなかったのです。留守電に録音されていたバースデーメッセージを聞き、とりあえずお花を花瓶に飾って、暖かいハーブティーを飲んでみます。大雑把でいいから片付けて、お風呂に入って、眠って、あとは明日やればいい、とわかってはいるものの、どうにもからだが動きません。こういうときに頼るには音楽と香り。音楽のほうは、自分が歌うのではない曲をBGMで静かに流します。(自分のレパートリーの曲だと、違う聞き方をしてしまうので)元気になるために聞くので、アップテンポで、昔自分が好きだった曲が多い。それから香り。お香をたくか、香水をつけるかして、周りを好きな香りで満たすと少し元気が出てきます。

 お香を持っているのは、爽やかなクールウォータータイプの香り、海の香り、華やかな牡丹の香り、バニラの香り、季節の梅の香り、リラックス用に白檀の香りくらいかな。香水はもっと少なくて、普段から使っている練り香水のグリーンティーの香り、暑い季節用のこれもクールウォーターの香り、そしてとっておきの資生堂の沙棗(SASO)。

 発売は1987年らしく、バブル期に大ヒットしたとのこと。私はバブルの頃には存在さえ知らず(OLだったのに、まったく何をしていたんでしょう)今の仕事を始めてからその存在を知りました。甘やかで、セクシー、どこか懐かしい東洋的な香り。昔、中国のの香妃が沙棗花の香りを身に纏い、多くの男性を魅了したという伝説にインスピレーションを得て作られた香り。「SASO,さそう、誘おうか」というコピーも素敵でした。以前使っていたときは、デュアルコロンという、同じ香りですがもっと軽くてさわやかなタイプのものにしていました。香りはすぐに飛んでしまうけれど、私にはこれで十分だったのです。が、中国原産の棗(なつめ)は入手が難しくなったとかでシャンプーから石鹸までたくさんあった製品はどんどん生産中止になってしまい、今残っているのは、沙棗オードパルファムだけ。私が持っているのもこれです。

 とても好きな香りなのだけれど、印象が強すぎてなかなか使えません。まず資生堂の商品説明は「その花の香りは、甘くさわやかなトップノートから、ロマンチックでやさしいミドルノート、そしてアニマルでセクシーなラスティングへと変化しながら美しい調べを奏でます。そのめくるめく旋律は、清楚なのに官能的、軽やかでいて華麗、慎ましいのに情熱的。そんなさまざまな魅力がひそむ、誘惑の香りです。」これだけでもなかなかすごいですよね。
 そして使った人の口コミでは「女度の気分を上げたい時。肉食系女子の必須アイテム、としても使えそうなこの香り。」と、まさに勝負香水です。そんなこと気にせずに使えばいいのでしょうが、まじめな私は効能どおりに(?)使わないといけないような気がしてしまう・・・。私にとっての勝負どきって、ライブとレコーディングなのですが、ちょっと勝負の意味合いが違いますね。プライベートで夜に出かけるときがベストなのでしょうが、まったく仕事と無関係に出かけることってあんまりないような。近々、出かけるのは前回も書いた「シュルレアリスム展」だけれど、この香りは合わない感じが。むしろスッキリした香りのようが似合いそう。もうひとつ出かけるのは確定申告をしに行く税務署。まったくもってだめですね。こうして今日もお部屋で、その甘い香りを楽しんで終わってしまいそう。

 音楽もそうですが、香りも自分が昔使っていたものがやっぱり好きで、今また使いたいと思うようになりました。数年前、やはり資生堂の香水でエナジャイジングフレグランスという、オレンジ色のボトルに入った元気が出る香りというのがあって、大好きでした。が、やはり廃盤になり存在すら忘れていたのですが、ネットオークションで発見!めったにないものなので、手に入れたいなあと思っています。これは沙棗ほどセクシーではないので、仕事のときにも使えそう。さあ、うまく買えるでしょうか・・・?

大越 康子