2ndCD《Agua De Beber〜おいしい水〜》リリース!


  残暑お見舞い申し上げます。
  年々暑くなる気がしますが、皆様お元気でしょうか?
  私は、8/1に2枚目のCD「Agua De Beber〜おいしい水〜」 をリリース。
  おかげさまで大好評(ホントですよ!)発売中です。
  今回はその「Agua De Beber」製作ウラ話を・・・。

  具体的に構想を練り始めたのは、今年のバースデーライブ(2/14)が終わってから。
  「ボサノバのCDは他にもいっぱいあるし、私は原語で歌うボサノバ専門の歌手でもないし、けれどなんとか、他とは違ったお洒落なボサノバアルバムを作りたい! けれど何から手をつけていいのかわからない! 私は不器用だし歌うだけに専念したい!」という、とーってもワガママな希望を、前作「Only You」でもお世話になったバンリュウジスタジオの吉田哲さんに伝えたところ、「それではスタジオでプロデュースしましょう」という、ありがたく、心強いお返事。さっそく、曲選びが始まりました。

  コンセプトとしては、青い海の下、ではなく、お家のベランダの寝椅子で風に吹かれながらのんびり聴くボサノバ。私のいつものライブと同じように、初めてジャズを聴く人にもわかりやすいように、なるべくおなじみの曲を中心に7曲選出。
  大体のスケジュールを決め、ミュージシャンにも打診。皆さん、売れっ子でお忙しいのに、快く引き受けてくださって感激。それでも最初のピアノ、ギター、ベース、ドラム、バイオリンでの録音日を決めるのは、ほんとうに冷や汗ものだった。5月中のどこかということだったのだけれど、全員の都合のよい日はたった1日だけ!それが録音開始の5/17(金)。でも1日だけでもあってよかったー。あれで6月にズレこんでいたら、今頃まだCDはできていないかも・・・・。

  今回はピアノ、ギター、べース、ドラム、サックス、パーカッション、バイオリンという超豪華編成。ボサノバばかりだし、似た感じになるのを避けるために、何曲かづつピアニストとギタリストにアレンジを分担してもらい、曲ごとに編成も変えて。最後まで飽きずに楽しんで聴いていただけるよう、吉田さんがいろいろ考えてくださいました。
  作戦は大当たり!
  「仕掛けが巧みなのか、何度聴いても飽きません」といったご感想が続々到着。嬉しい!

  では、以下1曲づつのご紹介と私の思い入れなどを。

  This Masquerade・・・1曲めなので、ジョージ=ベンソン、カーペンターズなどの多くのアーティストにカバーされているおなじみのナンバーを。マスカレードとは仮面舞踏会のことだけれど、歌詞は「別れを予感しつつあるのに、断ち切ることができず、途方にくれてしまう」といった意味。だから、「人間や社会からの疎外」という感じかなあ。ということで、最初に、効果音でフランスのレストランでの会話を入れてみました。なぜ、フランスなのかって?意味はありません!ごめんなさい。ただ乾いたお洒落な都会の感じを出したかったの。フランス語での会話で「ジェイムス君がどうこう・・」と言っているのが聞こえますが、あとは意味がわかりません。おわかりのかたがいらっしゃったら、ぜひ教えてください。もしかして「ジェイムス君の頼んだ料理がくるの遅いわね」 といったしょうもない内容なのかも・・・。後藤輝夫さんのソプラノサックスは都会的で、セクシー。和田弘志さんのベースもいつもながらカッコいい。

  You´d Be So Nice To Come Home To・・・ヘレン=メリルのバージョンがおなじみですが、ローズマリー=クルーニーがボサノバで歌っていて、それがとっても上品で好きだったのです。いつか私もこんなお洒落なYou´d Be・・・を歌いたい!念願かなってレコーディングとなりました。後明美佳さんの華麗なバイオリンソロは、甘くもはかないひと夏の恋といったイメージ。ピアノの加藤文生さんアレンジのイントロ、エンディングも印象的で、映画のタイトルバックに使いたいような1曲。(映画関係の方、いかがでしょうか?)ローズマリー=クルーニーは今年6月はじめに天国へ逝ってしまいました。合掌。

  Moon River・・・ボサノバのリズムばかり続くと、さすがにどんなに工夫を凝らしても限界が・・、ということで入れられた三拍子の曲。アレンジも担当してくれた梅田光雄さんの生ギターが優しくて、さわやか。イントロは、月に照らされてきらきら光る川面が目に浮かぶようです。間奏部分の鈴(?)の音はヘッドフォンで聴いていると、ちょっと目が回るかも。録音のとき、私は「うまくいかないから、目が回ってきたのかしら・・」と本気で心配しました。今回の収録曲中、いちばんロマンティックでかわいい感じにしたいなあ、と歌っている私の気分は深田恭子。(深キョンファンの皆様、どうかお許しを!)

  Tell Me All About It・・・マイケル=フランクスの隠れた名曲。ドラムのチッコさんとはライブでもよくデュエットで披露しています。サックスの後藤さんにこの曲の資料(テープ、譜面)をお送りしたところ、「いやあ、大越さん、これはエッチな曲ですねー。ベッドの上ですね」との感想。「それが、私たちが歌っても体育会系のせいか、エッチにならないんです・・・」。でもばっちり。チッコさんのいつも以上にソフトな歌声と、後藤さんのサックスで大人のムードが漂ってます(よね???)。先のMoon Riverが深田恭子ちゃんなら、こちらはセクシー路線ということで叶恭子?いや、辺見マリ?最後のセリフ部分の収録はベッドシーンの撮影のように、(そんなのやったことありませんが、どちらもカラミですからね)緊張して、汗びっしょりでした。(私はね。チッコさんは「楽勝」だったそうです。さすが!)

  Once I Loved・・・昨年お客様からリクエストいただいて歌い始めた、アントニオ=カルロス=ジョビンの美しい曲。おとなしめの曲ですが、歌ううちに大好きになったので、今回録音しました。「もしまた恋に落ちたら、私は絶対にあなたを離さない。なぜなら、恋を失うことは他の何を失うよりも寂しい、ということがよくわかったから」という歌詞。ただ、このメロディーからは「自分の心の奥底をずうっと探っていって、最後にやっと深層心理にたどりつくと、それは自分でも予期しないくらい寂しいものだった・・」といった筋書きが浮かんでくるのです。(サスペンスの読み過ぎ?)ギターの梅田さんのソロ、ピアノの加藤さんのふだんのスタイルとはまったく違ったプレイに注目。このCDの中では、これが私のライブの感じに最も近いかな?

  Agua De Beber・・・ポルトガル語で「おいしい水」の他に、「あなたに水の神からの祝福がありますように」 という意味もあるとか。このアルバムを聴いてくださった皆様、またスタッフ、ミュージシャン全員に幸せが訪れますように・・という気持ちで最後の曲に選びました。スタジオのある蟠竜寺がまつっている弁天様がインドの水の神様というのも、なんとなくこの曲とのご縁を感じたので。ミュージシャン紹介も兼ねたソロの掛け合いはライブ感いっぱい。イントロ、エンディングは水がしたたる感じ。この歌の録音をしていたとき、それまで晴れていたのが、急に雷が鳴って、大雨が降り始めました。水の神様も聴いてくれていたのかなあ。

  《ボーナストラック》One Note Samba・・・最後にピアノ、そして今回の総音楽監督の加藤さんとふたりで録りました。これは聴いてのお楽しみですが、ふだん歌っているOne Note Sambaとは違って、加藤さんのオリジナル世界に近い不思議な仕上がり。収録曲はどれも思い入れいっぱいですが、これは自分でも特にお気に入り。また、「この曲をもっと聴きたい」というご意見もありましたが、あくまでオマケなので、この長さにしてあります。こんな感じの世界にもっとひたりたい方は、加藤文生さんのCDを聴いて下さいね。(←ご希望の方はまずは大越までご連絡ください)

  ということで、5月に録音開始、7月までかかって完了。6月にはジャケットの撮影もありました(ジャケット他、写真についてはWhat´s New?をご覧下さい。本ホームページ初・動く画像もあります)。最後に前作でもお世話になった風友去さんにライナーノートを書いていただき、私も関わる作業は終わり。思えば、2月から今までずうっとCDのことだけを考えていたような。もちろん、その間もライブの仕事はしていたのですが。
  製作期間が長かったので、たくさんの方から応援のメール、お便りをいただき、とても励まされました。また、ミュージシャン、スタッフの方々、ワガママで不器用な私におつきあいくださって、本当に感謝しています。最後に買ってくださった方、ありがとうございます。
  このつれづれ・・を読んだら、また聴き返してみてくださいね。私が深キョンに聴こえるかどうか・・・(?)。
そして、まだの方は、私のどのライブでも販売中ですので、ぜひお求めくださいませ!
  皆様に水の神から幸せがありますように・・・。
  Agua De Beber!


大越 康子