2002年、夏


  他人の日記を読むのが、好きです。
と、のっけからなんだかのぞき趣味のようではありますが。
実際には、日記はなかなか読む機会がないので(機会があるからといって、読むわけにはいかないでしょうが)、日記風のエッセイなどですが。週刊新潮の連載の「私の食卓日記」も大好き。これは、いろんな有名人が、自分の一週間の食事を記し、栄養士の先生が採点、コメントするというもの。
  それで、この夏は私にしてはいろいろ面白いことがあったので、日記風にご報告。タイトルは、先日惜しくも最終回を迎えた、人気ドラマ「北の国から」をちょっぴり真似てみました。

8月12日(月) お昼前の秋田新幹線「こまち」で帰省。いつも帰る途中は本を読もうと思って、今回も宮部みゆきさんの「クロスファイア」を持っていったけれど、睡魔に負けてしまう。私の友達には帰省の新幹線で隣に座ったのが縁で交際、結婚した、という人がいるので、今回も期待!けれど、女性だった。東京は晴れていたのに、仙台を過ぎてから天気が悪くなり、結局1時間以上遅れて到着。大雨のため徐行運転、とのことでのろのろと進んでいた。お休みだから急がないけれど、これが仕事に行くところだったら、大変だろうなあ・・、などとぼんやり考える。

8月13日(火) 近所に住む祖母のうちへ。ここには、夜店で買った金魚が何匹もいるのだけれど、もう数年たっていて、どれも20センチ近い「フナ」状態になっている。体が赤くなるエサをあげているそうで、みんなとっても鮮やかな色をしている。そして、今回驚いたのは、ちいさーい赤ちゃん金魚が、わらわらと出現していたことだった。 まだからだは透明で、眼だけが黒く、体長1センチほど。数は数えられなかったけれど、いったいこの先どうなるんだろう? 夜は、NHKテレビで、いろんな業界でプロを目指して修行中の若者たちを特集した番組を面白く見る。自分も仕事に慣れっこになってしまってはいけないな、と反省。

8月14日(水)
お墓参り。今回は母方だけだった。

8月15日(木)
今回の帰省は短くて、もう東京へ帰る日。この4日間、ずっと涼しくいつもは帰ってからも、楽譜を書いたり、いろいろしてしまう私も、すっかりお昼ね三昧だった。帰省前は暑さと忙しさで、かなり参っていたからいいかな? 帰りは新幹線も順調。夕方前に東京に着いたら、その暑さにびっくり。

8月16日(金) 美容院へいってから、横浜のお友達(ジャズボーカリスト)のうちへ。彼女の1歳半のお嬢ちゃんが、「結んでひらいて」をちゃんと踊れるのにびっくり。将来は宝塚に入れるようにアドバイス(おせっかい)。「おおきくなったね」と言ったら、ちいさくてかわいらしい声で「そうだね」って! おそれいりました。子供の成長は早い! 1年前は赤ちゃんだったのに。自分は1年間で何をしたか・・?とまた反省。

8月17日(土) 昨日から一転。お葬式へ。長い間、応援してくださったお客様が亡くなった。この方は奥様をこの春、亡くされたばかりだったが、後を追うように逝ってしまった。息子さんがピアニストで、「聖者の行進」などを献奏されていた。私の2枚めのCDも楽しみにしてくれていたのに、ついに聴いてもらうことができなかった。仕方ないので持っていきました。長い間、ほんとうにありがとうございました。これからは天国から見守ってくださいね。

8月18日(日) 用事があって、東陽町へ。イースト21というホテルのレストランからの眺めは、曇ってはいたが面白かった。葛西臨海公演の観覧車も、東京ビッグサイトも小さくみえる。深川めしのセットを食べる。その後、木場、門前仲町方面へぶらぶら歩いていたら、御神輿が。そろそろ夏祭りかな、なんて思っていたら、次々に御神輿の行列!この日は深川まつり、それも3年に一度の本祭で、54基もの御神輿が出る日だったのでした。「わっしょい、わっしょい」のかけ声と、賑やかな御神輿の行列と、沿道から担ぎ手に水をかける人々(別名水かけ祭り、とも言われています)で、肌寒いくらいの日だったのに、熱気で暑いほど。こんなに賑やかなお祭りは初めてみました。江戸三大まつりのひとつだとか。皆さん、ご存じでしたか? 景気が悪いなんてばかり言っていないで、こういうイベントで、気持ちを盛りあげることも大事では? 地下鉄の駅も大混雑でしたが、これだけの人のなかで、今日がお祭りだとは知らずにきているのは私だけ?と思うと、おかしくなりました。でも、知らずにきたのに、3年に一度の本祭って、なんだか運がいいのかも。と都合よく解釈。

8月21日(水) このホームページともリンクしているピアニストの川島茂さんのオルガンライブに、オルガンファンのお客様と一緒に行く。場所はこれまた偶然、門前仲町。なんだかこの町にご縁があるなあ。オルガンは最近始めたと言う川島さんでしたが、ノリノリで、ドラムの辻田健太郎さんと熱い演奏を聴かせてくれました。「サザエさんのテーマ」ジャズバージョン嬉しかったです。なんといっても、うちのすぐうらは「長谷川町子記念館」ですからね。

8月25日(日) なぜか靖国神社へ。なぜか、というのも失礼かもしれないけれど、特に深い政治的な考えがあって、というわけでもないのです。九段下はよく地下鉄で通っていたけれど、初めて行きました。巨大な鳥居に驚き。遊就館という日本の歩みを記録した施設を見学。これが神話のような太古から現在までの戦いにまつわるいろいろなものを展示してあって、鎧、刀から大砲、ゼロ戦まで。多分マニアにとってはたまらないんだろうなあ・・。私はちょっと・・・と思いつつ、独身の息子を戦地に送り出した母親が、息子を思って作った花嫁人形を見て、涙がでた。それから、境内には平和の象徴、白鳩が。テレビでは見たことがあったけれど、実際にみるのははじめて。売店で「白鳩ぬいぐるみ」を売っていて、どうしよう??と迷ったけれど、売り場のおじさんが「もうじき閉店時間ですから早くしてくださーい」と愛想なくせかしたので、やめにする。でも、かわいいぬいぐるみだった。他では売っていなさそうだし・・。

8月26日(月) 秋田のお土産を持って、大家さんのところへ。ちょっとのつもりが1時間以上おしゃべりしてしまう。お盆はいつものように小淵沢の別荘に行っていたとか。いいなあ、と思ったら、9月にまた行くのよ、と誘ってくださった! けれど、ついに都合をつけることができず行けなくて残念・・。ああいう別荘地でステージができたらお洒落でいいのにな、なんて思ったりしています。

  そうこうするうちに、8月も終わり今日は9月14日。曇っていて、過ごしやすいというか、肌寒いくらい。ようやく、ほんとうの秋の訪れという感じです。夏の好きな私は、これからだんだん寒くなっていくのが寂しくもあるけれど、やっと落ち着いて、いろんなことに取り掛かれる季節になったかな。地道に毎日少しずつでも、やりたいことを進めていこう!とおまつりを思い出しつつ、自分を奮い立たせているこのごろです。
 


大越 康子