新聞購読はむずかしい?


  新聞の購読をやめた。
  朝起きると、まず新聞を取りにいき、とりあえず一面の大見出しをみるのが、ここ数年の習慣だった。なので、いまは朝が寂しい。最近は駅の売店やコンビニで買うことも多い。朝からでかけることは少ないので、夕方遅くなってから買うことも。やめなきゃよかったかな、と思うときもしばしば。でも、私の気持ちのうえでは仕方なかったのだ。

  ここに引っ越して、最初はP新聞を購読した。「新聞とりたいな」と思っていたところに、最初に勧誘にきてくれたからだ。契約の際はいまどき普通なのかもしれないが洗剤もくれたし、配達と集金は同じ人が担当しており、とてもこまめに来てくれていた。私のように不規則な生活時間帯では何時なら必ず在宅ということがないので、毎月大変だったはずだが、とどこおることなくちゃんとしていた。契約も半年ごとに更新し、そのたびに洗剤をもらい、なんの問題もなかったのだ。販売店とのあいだには。でも、ある報道をきっかけに、私はこのP新聞の方針が嫌いになってしまった。少々政治じみてくる気がするので詳しくは略すが、ふだんの主張と報道がズレているように思えてならなかったのだ。それで、ある集金日に更新をせずに購読をやめた。
  まじめに配達、集金してくれた担当の人には申し訳なかったけれど。やめる理由を尋ねられ、編集方針が好きではない、と答えたところ、「内容のことになると販売店はどうしようもないので・・」と言っていた。当然だ。でも、購読者にしてみれば、販売店がどんなによくしてくれようと、内容的に好きでないものを読む気にはなれない。

  さて、次は何新聞をとろうか。いきなり購読をはじめる前に、毎日コンビニでいろいろ買ってみることにした。といっても、スポーツ新聞とかではないいわゆる普通の新聞なので、そうたくさんはない。調査の結果、Q新聞に決定。理由は当時週に一回掲載されていた悩み相談の回答がクールで、面白かったからだ。P紙購読をやめた理由にくらべ、なんというくだらない選び方かとは思ったが、一応政治的スタンスとしてはPとQは正反対の位置にある。
  Q新聞の勧誘は来たことがなかったので、0120ではじまる購読申込みセンターに電話する。でも、ここにかけても最寄りの販売店の電話番号を教えてくれるだけなんですね。そこで、用賀専売所に電話し直し、めでたく購読開始。はじめは契約も集金もとどこおりなく、なんの問題もなかった。週一回の悩み相談も楽しく読んでいた。

  おかしくなりはじめたのは、ここ一年くらいだったろうか。担当者が替わったのか、毎月集金に来てくもらえなくなった。ひどいときは3カ月もたまったりする。だったら、銀行振込にすれば?という意見もあるが、あれは仕事や帰省で留守にするときに何日間か休んでも、そのぶん引いてはくれないのだ。さすがに3カ月もためてまとめて支払うのは嫌なので、2カ月集金がないときは、こちらから電話して来てもらうようにした。でもこれって変な話。
  なぜわざわざ私から電話しなければいけないのか。しかも専売所が留守のことも多いのか、誰もでなかったりする。それに第一、私はずいぶん前に半年契約をしただけで、それもとっくに切れているはずだ。それなのに、購読延長の契約をしてくれるわけでもなく、配達だけが続いている。以前P新聞のときはちゃんと契約更新の手続きをして、その度に景品ももらえたのに。別に景品が欲しくて言っているわけではないんですよ。一応ちゃんと契約をしてからでないと、配達が続くのはおかしいような。私はQ新聞の内容には満足していたので、購読すること自体には問題はなかったのだが、今度は販売店の態度が許せなくなってきた。さきのP紙のときとは逆である。(ちなみにお気に入りだった悩み相談コーナーは、回答者の先生が病気で亡くなってしまい、しばらく前に終わってしまっていた)。それで、4月に何日か留守にするのをきっかけに購読を辞めることにし、専売所に電話し、今日限りで辞めたいので、たまっている分集金に来てくれるよう在宅の時間も伝え、明日からは入れないように頼んだ。電話に出た女性は了解し、翌日には担当を集金にいかせると約束してくれた。が、翌日になっても新聞は入っているし、集金は来ない。確かに急にやめた私も悪いけれど、ちゃんと了解してくれたのに。再び専売所に電話するが、誰も出ない。翌日も留守。いよいよ嫌になった私はQ新聞のお客様サービスセンターに電話。ちょっとコワそうな男性が
「私から担当者によく言っておきますから。集金もすぐに行かせます」
と言ってくれた。果たして、その夜、携帯電話に
「Q新聞ですけど。集金行けなくてごめんなさい。よかったら、この番号に電話ください」
というこちらは気弱そうな男の子(?)の伝言が残っていた。サービスセンターからひどくしぼられたに違いない。こうして、Q紙も辞めてしまった。

  今はまだどの新聞もとっていない。
  これまでも書いたけれど、うちにはテレビがないので、新聞は貴重な情報源だ。あの米国のテロのときだって、大体の人は夜のテレビニュースで知ったというけれど、私は翌日昼近くなるまで知らなかった。事件当日は休みで早寝、翌日のんびり起きて、新聞をみて、たまげてラジオをつけたのだ。それまでは定期的にラジオをきく習慣もなかったのだが、以来音楽をきくとき以外はNHKテレビをラジオできいている。ラジオで大体のことはわかるので、決定的な不自由はない。それでもやっぱり新聞が読みたい。食後のお茶を飲みながら、ゆっくりと読む新聞はとっても楽しい。私の場合、一面や三面よりも、まん中へんにあるどこそこの商店街の名物紹介とか、家庭欄の健康相談、お知恵拝借、投稿欄を熟読しているきらいもあるが。テレビがないくせに、テレビ欄や芸能欄(というのかな?週間のテレビ番組視聴率ランキングや、俳優へのインタビューがのっている)もしっかりチェック。テレビ欄はワイドショーの時間帯を中心に。ここを眺めておくだけで、女性週刊誌的芸能ネタにはついていけるような。
  さあ、きょうも駅の売店で新聞買わなくっちゃ。
 


大越 康子