My Favorite Things − Second Half



  前回の続きで、私の好きなもののお話です。好きなものについて書くのはほんとうに楽しくて、もうすでにわくわくするほどです。

  まず前回もちょっと触れましたが、手紙を書くこと。時間があるときはe−mailより手書きのもののほうが好きです。なぜって便せんやら葉書やら選べるから。差し上げる相手や季節によって便せんを選ぶのは、なんともいえず楽しく、文房具店の便せんコーナーには必ず立ち寄ってしまいます。ちょっと季節を先取りしたデザインのものが置かれるので、いまだったら梅や桜など春らしいものでいっぱい。眺めているだけでも、華やいだ気分になれます。こんなに手紙好きなのに、今年の年賀状は結局おおみそかに書くことになってしまいました。早々と印刷をすませて、余裕があるはずだったんです・・・。来年は元旦に届くように書きたい!あれ?なんだか今年の目標みたいになってきちゃったので、戻って・・。手紙類に限らず、文房具はどれも好き。ノート、筆記用具、ファイル、クリップ・・・。カラフルなものを選んで、目にするたびにちょっと元気をもらっています。

  それから本を読むこと。小説は長編でも読み始めると一気に最後まで読まないと気が済まないので(宮部みゆきさんでは何度徹夜したことか)、最近は少しづつでも読めるエッセイや詩集が多いです。作者の日常がさりげなく書いてあって、読むと「あー、皆こうして生活してるんだなー」と思えて、元気になれるものがいいなあ。おおげさなものや、お説教じみたものは苦手。
  愛読書はいっぱいあるんですが、2つだけあげると、まず銀色夏生さんの「つれづれノート」シリーズ(角川文庫)。詩人で、写真家でもある銀色さんのイラスト入り日記エッセイ。毎年夏に発売され、確かもう8巻くらいまででているはず。このコーナーのタイトルもここからいただきました。日常生活でも旅の最中でもどんなときでも、彼女独自のもののみかたが貫かれていて、いい気分。読んでいる間は、青くて高い空とすがすがしい風のなかにいるようです。
  もう1つは高野文子さんのマンガ「るきさん」(ちくま文庫)。もともとは雑誌のHanakoに連載されていたものです。主人公るきさんは東京で一人暮らししている女性。自宅で病院の保険請求の仕事をしています。ひと月ぶんの仕事を一週間で終わらせて、趣味の切手集めをしたり、図書館で本を借りたり、流行を超越したちょっと不思議な、でもかわいいキャラクターなのです。このるきさんこそ、のんびり、ほうわり、浮世離れした私の憧れの女性!最近ハードカバー本も発見し、即購入。毎晩眠る前に眺めています。つまり私はマイペースでやっててもいいんだ、という確認をしたいのかも。

  最近好きになってきたのがいわゆる「えんぎもの」。占いなど、いいときだけ信じるという程度ですが(今年はおみくじ2つひいたら2つとも大吉で、もうそれだけでおめでたい気分!)縁起物は大好き。自由が丘にある「えんぎや」という縁起物グッズのお店(新宿などほかにも支店あり)には、お守りやらお人形やらお金がたまるというお財布やら、いろいろいっぱいで、心細いときは、ここにお守りを探しにいくのです。でも、今年はCDを作ったスタジオのある目黒の蟠龍寺で、弁天様の招福土鈴を買ったのでもう大丈夫。4センチほどのちいさなもので「弁財天・七福神のなかでただ一人の女性。美貌と音曲に秀で世の中に美と文化と愛を与える」 とあって、これまた憧れの女性です。神様に憧れちゃだめなんでしょうか。優雅だけど、のんきそうで好きだなあ、弁天様。音曲に秀で、って歌も歌うのかな。どんな声なんだろう、弁天様って。

  ふだん自分では「特に趣味もないし、仕事ひとすじ(?)の毎日だな」なんて思っていたのですが(趣味が仕事になったんだから贅沢いっちゃいけません)、こうして書いてみるとどんどん好きなもの、ことが浮かんできて「なんだ、私も結構楽しくやっているんじゃない」 と思えてきてよかった。
  このコーナーを書くことも、私の好きなことのなかに入れてよさそうです。


大越 康子