パラレルワールド


 梅雨入り直前の暑い日です。午後1時で30度以上あるんですって。東京地方には今年初めての光化学スモッグ注意報も出ているらしい。光化学スモッグって、なんだか懐かしい言葉。子供のころ、公害ってよく騒がれていたっけ。田舎に住んでいた私にはあんまりピンときませんでしたが。
そうそう5月の連休は、ちょっとだけ秋田に帰りました。お休み中ということもあるけれど、やっぱりのどかでいいなあ。東京に帰ってくると、なんでこんなに人がいるの?っていまだに思っちゃいます。もしずっと秋田に住んでいたら、たとえすれ違うだけでも、こんなに多くの人と会わなかっただろうなあ、一生分の人に会ったなあ、なんて考えたり。

 さてずっと読み続けている新聞の連載小説のなかに、先日「パラレルワールド」という言葉がでてきた。パラレルワールドとは、ものの本によると「平行世界。ある瞬間瞬間に於いて、その直後の未来がどうなるかという可能性の数だけ、任意の瞬間瞬間に複数の平行した世界(異なる時間の流れ)がある、という考え方。」だそうです。要するに、あんな自分もこんな自分もいるってこと、かな?

 東京でジャズ歌ってる私だけでなくて、秋田で公務員やってる私とか(皆さん笑うでしょうが、私が卒業した学校はほとんどの人が公務員か教職についているカタイところなんです)、玉の輿にのってシロガネーゼやってる私とか(これは可能性薄いかな〜?働かなくても大丈夫な生活ってしたことがないので、どうやって毎日過ごすのか自分でも想像しにくいけど、読書&エステ三昧でもするかな)、昔やってたお芝居を今でもずっと続けている私とか(これはタイヘンそう。舞台の役者さんって時間的にも経済的にもハード。歌の仕事も決して割がよくはないけど、舞台に比べたら天国!)、子供が3人くらいいる私(毎日怒鳴りまくってたくましいおかあさんになっていることでしょう)とか。もっとさかのぼって考えれば、高校時代から音楽やお芝居をやっている私とか。その頃から始めていれば逆に早くに熱が冷めて、普通にお勤めしていたかも。なんてことを考えるのは、時々ちゃんとしたお勤めをしている方から「好きなことを仕事にできていいですね」と言われるからだ。それはほんとにそう。私なんぞの歌でいくばくかのお金をいただけるなんてありがたいことです。でもやっぱり将来は不安だし、お勤めのほうが断然いいですよ〜、とも思ったりして、さっきのパラレルワールドを想像してみたりする。

 でも、結局のところ、何をしていても同じだろう。何の仕事をしていても、きっと同じ分量だけ楽しい思いも、苦しい思いもあるんだろう。よく言われることだけれど、人の一生のなかで幸せの量も不幸の量も決まっているんだとか。だとしたら、私はこれまでおおむね幸せで順調にきた(普通の人よりビンボーだとは思うけど)から、この先不幸が続かないことを祈るのみだ。結局、毎日周囲に感謝しつつ、でもシツレイなヤツは遠慮なく蹴飛ばして(!)、地道に暮らしていくってことかしら?なんだか地味な話でごめんなさい。でもこれが私の基本的考えです。
Give Me A Simple Life!


大越 康子