梅雨明けまで、もう少しですね。お元気でしょうか?
蒸し暑い毎日ですが、去年の今頃はもっと暑かったよなあ・・・と思い出したりしています。いや、正確には思い出すというのではなくて、日記に書いてあるのだけれど。三年連用タイプなので、昨年、一昨年の今日は何をしていたかが、すぐにわかるすぐれもの。実はわかったからどうってこともないけれど、ちょっと楽しい。去年の今頃はこんなことをしていたんだ、とか、毎年この時期は低調だ、とか。このつれづれも、時々ずっと前のを読み返すと、気恥ずかしくもあり、面白くもあり。ところで、ショックなことがありました。
このつれづれのタイトルの元になっている、銀色夏生さんのエッセイ「つれづれノート」がこの夏限りで終わりらしいのです。角川文庫のロングセラーであるこのエッセイは、詩人である銀色さんが自らの日常や思いを日記形式で書いているもの。毎年夏に発売され、今年でなんと14年め。この間に銀色さんは結婚、出産、離婚、再婚、出産、離婚、東京を離れ、地元の九州に引越し、今は二人のお子さんと一緒に暮らしています。
こう書くと、なんだかよくある女性の恋愛エッセイもの、という感じがしますが、全然そうではなくて、毎日の出来事を淡々と書いているのです。私が読み始めたのは、10年くらい前で、その時すでに3,4冊刊行されていました。当時私は、ジャズの業界になじめず、かといって「私は私の道を行くわ〜」というほどの力もなく、鬱々とした毎日を送っていました。そんなときにみつけた「つれづれノート」に、どれほど勇気づけられたことでしょう。気ままに旅をしたり、身近ななんでもないものに心惹かれたりする銀色さんのなんて自由な心。わずらわしいことや、えばりんぼが嫌いで、気のあわない人とは距離をおきたくて、実はちょっとあまのじゃく(?)な彼女に、勝手にシンパシィを感じておりました。私は彼女ほどの才能と経済力がないので、あれほど好きなようにはできないのだけれど、もしお金に不自由しなければ、同じような行動をとっているかもしれない・・・と思うほどに。
しかし、ここ数年、特に二度目の離婚のあたりから当時の夫について、少々悪く書きすぎの感があり、読んでいてもハラハラでした。また子供たちの写真も載せているのですが、彼らもだんだんお年頃になるし、また安全上も(個人情報というの?)大丈夫かなあ?などと心配もしていた頃でした。だから、ちょうど潮時だったのかもしれません。が、それにしても寂しいなあ。
銀色さん自身は「自分が考えているあることは、日記形式でこそうまく伝えられる、と考えてスタートした。これまでで、自分が言いたかったこと思う存分表現できたと思うので、これでおしまいにする」と書いています。そうなのかもしれない。メッセージを正しく受け取れたかどうかはわからないけれど、楽しいこと、辛いこと、ありがたいこと、嫌なこと、ほっとすること、頭にくること、ぐちゃまぜの毎日のなかで、前よりはしっかり自分を持って過ごしていけるようになりました。銀色さん、長いあいだ、ほんとうにありがとうございました。今後は詩など、他の作品を楽しみにしています。これまででいちばん、心に残っている銀色さんの詩のフレーズは「好きなままで長く」です。
私のこの「つれづれなる思い」は、まだ続きますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
大越 康子
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