I Say A Little Prayer


 9月半ばですが、今日は11月下旬並みの気温だったとか。どおりで寒かったはずです。雨降りが続き、イメージする秋の高い青空がなかなかみられません。急に涼しくなって、風邪をひいたり、夏の疲れがでてはいませんか?今回はまた更新が遅くなり、ご心配をおかけしました。9月はじめまで、CDの歌入れとジャケット撮影におわれていました。やっと完了してほっとしたせいか、ぼうっとした毎日を送っています。録音は断続的にではありますが4月末から続いていたので、終わってほっとして気が抜けています。今頃、スタッフは来月の発売に向けて大わらわでしょうから、私ひとりこんなのんびりしていては申し訳ないのですが、発売されたら、また一生懸命行商の日々を送りますので、いましばらくこの夢見心地の時間にいさせてください。(といっても来週からはまた仕事がつまっているので、つかの間の休息です)

 今回のCD「IN CINEMA(イン・シネマ)」は念願の映画音楽集。おなじみのスクリーンミュージックを、お洒落なアレンジで歌っています。映画音楽でCDを、という構想は昨年からあり、今年春から製作がはじまり、ついにあとひと月、10月13日(金)に発売開始です。13日の金曜日ですが「大安」なので大丈夫なはず・・・?詳しくは近日中に、このホームページの「ディスコグラフィー」でご紹介します。が、ちょっとだけ書くと、「Raindrop Keeps Fallin‘ On My Head(雨に濡れても)」が入っています。子供の頃からこの歌がとても好きでした。うまくいかない毎日でも、立ち向かっていけば、きっといつかいいことがあるから、といった内容。私の好きな小説のタイトル「ダイヤモンドは傷つかない」(←かなり古い小説です。タイトルが好きなだけで、中身は読んでいない)にも、どこか共通するような気がして。同年代の方に比べて、好きな仕事をして気楽に暮らしている私でも、それなりに毎日いろいろなことがあって。このCDを作っている間にも、身近な人が二人亡くなり、落ち込んだし。私はいつまで、こうしたのんきな毎日を送っていられるのだろう、将来はどうなるんだろうと考えたり。不安はつきません。が、考えても最後はいつも同じところに行き着きます。今、できることを一生懸命にやるしかない、と。

 ほんとうのことをいうと、少し前まで、「私は歌わなくても全く平気でやっていける」と思っていたのでした。むしろ、何かがなくては生きていけない、なんてヤワなことは言いたくないくらいに考えていました。8年間続けたお芝居も、歌をはじめてすっかりやめてしまったし、それをさびしく感じたこともなかったので。でも今回のレコーディングは時間がかかった分、思い入れも強く、録音や打ち合わせ、そのすべてがとてもとても充実した幸せな時間でした。(CD製作という作業自体になれてきたということも大きいのかもしれません)光り輝く宝石のようなこの時間をもう過ごすことがない、とは絶対思いたくない。スタッフと状況が許してくれるなら、これからも新しい作品にチャレンジしていきたいな、などと図々しくも思っているのでした。そのためには、まずは頑張って売らなければいけませんね。頑張ります!

 夏も終わり、9月に入ったある夜。多摩川が見える駅のホームで、私は電車を待っていました。もう遅い時間で、ホームに人は少なく、川向こうには街の灯りがきれいにみえます。すると、突然、花火があがりました。誰かが遊んでいるのでしょう。それほど大きくはなく、でもけっこう空高くまで、赤、オレンジ、黄色の光の輪があがります。歓声も聞こえないのに、少し間をおいて、それは上がり続け、いつしか私はじっと見入っていました。どうぞいつまでもあがり続けて。せめて電車が来て、私が乗り込むまでは終わらないで、と願いながら。


大越 康子