4thCD「IN CINEMA」好評発売中☆


 すっかりご無沙汰してしまいました。11月も半ばというのに暖かな毎日。町にはそろそろクリスマスの飾りつけがされていますが、こう暖かいとちっとも気分が盛り上がりません。あとひと月半で今年も終わりとは、時間が過ぎるのは早いですね〜。

 さて、10月13日に私の4枚目のCD「IN CINEMA(イン・シネマ)」がめでたく発売され、おかげさまで好評発売中です。構想は昨年から、録音は今年の春から夏の終わりまでかけて延々と行われ、9月にジャケット製作をし、10月13日ホームグラウンドの御徒町アリエスで発売開始、11月7日代官山のライブレストランキャンディにて発売記念ライブ第二弾を行いました。ライブは2度とも盛況のうちに、無事に終了。CDの売れ行きも上々で、ほっと(ぼうっと?)しているところです。そんなわけで、今日は今年のほとんどを費やした「IN CINEMA」収録曲について書いてみます。なお、今回も前作「The CHRISTMAS SONGS」同様、バンリュウジスタジオの吉田哲さんのプロデュース&アレンジで、シンセサイザーを使ったオーケストラサウンドがバック。(「劇団ひとり」ならぬ「楽団ひとり」?)数曲にゲストプレイヤーを迎えています。

1.Raindrop Keeps Fallin` On My Head・・・映画「明日に向って撃て」より。邦題「雨に濡れても」。現在もテレビコマーシャルで使われているおなじみのナンバー。子供の頃から好きなメロディーでしたが、今は歌詞が好きです。「雨は降りつづける。でもだからといって私の目が赤くなってしまうわけじゃないし、泣くなんて好きじゃない。なぜって文句を言ったところで雨を止めることはできないし、私は自由で、何も心配ごとなんてない、そのうちに幸せの方が私に挨拶に来るでしょう」という歌詞。私も含めて皆うまくいかない日常とどうにかこうにか折り合いをつけて、淡々と生活しているのでしょう。自分のこと、友達のこと、家族のこと、いろいろな人を思いながらの録音では涙が出そうでした。ゆっくりめの16ビートにゲストの鈴木洋一郎さんのあたたかなトロンボーンが映えます。ディスコグラフィの試聴版で、短縮版をお聴きいただけますので、まだの方はどうぞお聴きくださいませ。

2.As Time Goes By・・・映画「カサブランカ」より。邦題「時のすぎゆくままに」。でもよくライブでも言ってますが、本当は「どんなにときが経っても(私たちの愛は変わらない)」というのが正しい訳なんだそうです。確かに歌詞の内容もそうなってます。通常とコードを変えて、明るい感じにアレンジしていただきました。そしてこの曲の聴きどころはゲストの久末隆二さんのベースソロ。ライブでよくご一緒する久末さんにCDにもも初登場!この曲にエレキベースの熱いソロが入っているバージョンというのも少ないのでは?7月のある暑い夜、某パーティーでの演奏が終わってから、久末さんとスタジオ入りし、夜中までかかって録音したのはよい思い出です。

3.The Look Of Love・・・映画「007カジノ・ロワイヤル」より。邦題「恋の面影」。ジャズミュージシャンにもよくとりあげられるバート・バカラックの作品。私の好きなセルジオ・メンデスの歌でもおなじみ。「ついにあなたをみつけたわ。今夜は私のものになって。そしてこれはただの
はじまりで、こんな夜がずっと続くの。もう行かないで」という熱烈な歌詞。これまた暑い夏の夜に、気分を出すために、スタジオをちょっと暗めにして録音しました。いままさに007がやってくるような印象的なアレンジ。ゲストの内田輝さんのサックスが、せつない女心を盛り上げてくれています。気分は任務に背いて恋におちた女スパイでした。

4.The Summer Knows・・・映画「おもいでの夏」より。邦題も同じく「おもいでの夏」。少年が年上の女性にひと夏恋をして・・・という映画。音楽はミシェル・ルグラン作です。「夏のように熱く燃えた恋も終わり、もう秋の服を着る時よ」という別離の歌。ルグランらしい繊細で美しいメロディーに惹かれ、歌い始めたものの難しかった〜!アメリカ映画ですが、曇り空のヨーロッパの海岸で、18歳の彼氏と恋におちた私・・・をイメージして歌いました。18歳の彼氏って、息子?さすがに無理があるかな。いえいえ、愛があれば年の差なんて!タイトルにふさわしく、夏の終わりの夜に録音しました。

5.シネマ名曲メドレー・・・今作品のクライマックス。イントロの「ニューシネマパラダイス」にはじまり、「On The Street Where You Live」(映画「マイフェアレディ」より。邦題「君住む街角」)「第三の男」「酒とバラの日々」「シェルブールの雨傘」「日曜はダメよ」「男と女」「僕のおじさん」(これはインストのみで、歌はなし)「雨に歌えば」とおなじみの名曲のさわりだけをメドレーでつなぎ、そして最後は「On The Street Where You Live」に戻って締めくくり。こう書くと、最近はやりの「さわりできく○○の名曲50選」みたいな感じですが、見事なアレンジで、「ああ、これは△△の映画ね」とわかった瞬間には次の曲に移るという高等テクニック(?)が駆使されています。11月7日のキャンディライブでは、夕方からリハーサルを繰り返し、ピアノトリオとこのメドレーをご披露しました。12月8日(火)の御徒町アリエスでももう一度やりますので、ぜひ聴きにいらしてくださいね。

6.Smile・・・映画「モダン・タイムス」より。チャップリンの作詞。「つらいときでも、笑っていましょう。陽の光が差してくるのがみえるでしょう」という内容。Raindrop Keeps Fallin` On My Headではじまり、このSmileで終わらせたことで、映画音楽集というだけでなく、人生応援CDという意味もこめたつもりです。このCD全体にいえるのですが、シンセサイザーを使っていますが電気的に聞こえないだけでなく、普段のライブとは違ったまろやかで、優しい雰囲気での仕上がりになっています。それが最高度に結晶したのがこのスマイルではないかと私は思っています。歌は実は少々かすれ声ですが、「(逆にそれが?)人生を感じさせる」とのプロデューサーの意見でこのテイクが採用されました。このときも家族のことを(主に母のことを)思って歌っていました。ビブラフォンの飯田智子さんの優しいソロが胸に響きます。美しい光の輝きがみえるようなエンディングが大好きです。

 自分でも何十回も聞き返しましたが、これまでの作品中もっともエンターテインメント性の高い、ポップでファンタスティックな内容に仕上がっています。聴きながら眠ろうしたら、The Look Of Loveのイントロで007に起こされてしまいました。(本物の007になら起こされたっていいけど〜)5曲めまで聴いて、ラストのスマイルを聴きながら眠りの世界へ、というのがいいかな?
なおジャケットは「何年前の写真?」とよく聞かれますが、失礼な!今年の9月2日です。都内の某スタジオで撮りました。写真を修整しているのではなく、ヘアメイクさんがいて、実物を修正しているのです。こっちのほうが罪は深いか?また、これまでの3作同様、ジャケットデザインは児島由美さん、ライナーノートは音楽評論家の風友去さんにお願いしました。風さんには11月7日キャンディのステージでもお話をしていただきました。スタッフの皆さん、ありがとうございました☆がんばって行商するぞ〜!

 懐かしい映画の思い出にひたるのもよし、歌っている私の心模様を想像していただくのもよし、今宵シネマの世界へご一緒しませんか?


大越 康子