浮いた噂のはなし


 そうこうしているうちにゴールデンウィークに突入してしまいました。みなさま、お変わりありませんか?私もなんとかかんとかやっていますが、だいぶ疲れがたまってきたので、あさってからは世間にならって、3日続けて休むことにしました。貧乏症の(いえ、本当に貧乏な)私としては、帰省以外で2日続けて休むことはまれですが、大掃除や、譜面整理をしてリセットしたい、と思っています。本を読んでうだうだして3日過ぎちゃった、なんてことになりませんように・・・!決意表明のつもりで、ここに書いておきます。

 さて今回は4月のぽかぽか陽気にふさわしく(?)、浮いたウワサの話を書こうと思います。が、近しい人はご存知のように、私には浮いた話はありません。あ、でも、本人が知らないだけで、浮いてる実態はないけれど、ウワサくらいはあるのかな?なぜって、2月のある日、久しぶりに会った方が、ニヤニヤしながらこう言ったんです。

「オオコシさん、先週見ましたよ!銀座で」

「は?(先週は銀座で仕事があったっけ?)」

「またまたトボけちゃって。木曜日の夜にホテル西洋銀座に、男の人と入っていくのを見ましたから」

「ええっ?先週の木曜は別のホテルのラウンジで歌ってましたけど・・・」

「いやあ、あれはどうみてもオオコシさんだったなあ。背の高い男の人と一緒で、オオコシさんはロイヤルブルーのロングコートにハイヒールで・・・」

と、お話にでてくる女の人はとってもカッコイイので、思わず
「ホントは違うけれど、私だったことにしてくださいっ!」

と言いたくなるくらいでした。が、ここでいう木曜はバレンタインデーで、確かに別のホテルで歌っていたので、残念ながらこの方の見間違いなのでした。それにロイヤルブルーのロングコートも持ってないし。ああ、残念!(って何が?)西洋銀座っていうのがまた渋い大人の感じでいいですね。考えてみれば、私がホテルに行くのは99パーセント歌いに行く、残り1パーセントがロビーで待ち合わせ、または化粧室を拝借する、です。寂しいなあ。でも、このあいだOL時代のお友達2人と「そのうちに『ホテルの女性限定プラン、3名様一室、エステとお料理付き』に行きましょうよ!」と話したので、プライベートで実現するとしたら、これが一番実現の可能性が高いかもしれません。

 というのが、わりと最近の「実態のないウワサ」で。少し前には、十年以上一緒に仕事をしている女性ピアニストからこうきかれたことがありました。
「ねえ、やすこちゃん、常連の○△さんがね『オオコシさんの前のダンナさんはギタリストだ』って言ってたけど、本当なの?」
またまた、ええっ?まず『前の』って、じゃあ『今』は?もちろん否定したものの、結構このウワサも気に入りました。なんだか本当っぽい、というか、ピアニストじゃなくて、ギタリストっていうところが信憑性があるというか。でも私がよく一緒に仕事をするギタリストの皆様にご迷惑をかけるといけないので、ここでもう一度しっかりと否定させていただきます。しかし、こういうウワサってどこから出てくるんでしょうね。謎です。

 私の浮いたウワサは、残念ながらこれくらいしかありません。ただそれに近い話では、昔あるお客様が「普通女性ボーカルはピアニストとくっつくと思うでしょう?でも実はベーシストとつきあってるのが一番多い。これはオレが調べたんだから間違いない」と断言していました。う〜ん、どうでしょう?私のまわりの女性ボーカルのだんな様(彼氏)はピアニストだったり、ベーシストだったり、ドラマー、トランペッター、俳優、イラストレーター、落語家、サラリーマン、弁護士、お医者さん、ハンコ屋さん、さまざまです。そして私がもっともカッコイイ!と思ったのは、マリーナ・ショウのだんな様が私立探偵をしている、というもの。う〜ん、ハードボイルドで素敵☆でも、皆に話したら、「それは探偵小説の読みすぎ。実際の私立探偵のほとんどは浮気調査なんだよ」ですって。つまんないの。何事も真実よりも、ウワサというかイメージだけのほうがお洒落なのかもしれませんね。


大越 康子