またまたご無沙汰してしまってごめんなさい。
ご無沙汰の間に、大好きな夏が過ぎてしまい寂しいのですが、この夏は私に最高の思い出ができました。前回レコーディングの話をちょっと書きましたが、去る8月28日、3年ぶりのニューアルバム「CALL
ME」を無事、リリースしました☆おかげさまで大好評発売中です!(←ホントよ)CDのライナーノーツにも、曲目毎の解説がありますが、今日は私のこのCDへの熱い思いを書いてみます。
前作「IN CINEMA」完成直後から「ポップスをジャズのピアノトリオで歌う」という構想はあったのです。お酒を飲みながら暗い部屋の中で聞くのではなく、ジンジャーエール(コーラやペリエでも○)を飲みながら、風を感じられる明るい空間で聞く、爽やかなCDを作りたいなあ、と。バンドのメンバーの試行錯誤を繰り返し、完成まで時間がかかってしまいましたが、その分ゆっくり構想を練れたし、遂に巡りあえた最高のバンドに快く演奏してもらえたので、とてもいい感じに仕上がりました。歌もこれまでのCDの中で、最も普段の私らしく歌えたような気がしています。
1.Call Me
このCDのプロデューサー吉田さんからリクエストを貰った曲。別に某ギタリストからも「是非歌ってほしい」とナンシー=ウィルソンのCDを渡されていたので、実は隠れた名曲なのかも?映画「恋人たちの予感」の中では、ビリー・クリスタルがメグ・ライアンの留守録にこの曲の一部を吹き込むシーンもあります。CallMeというタイトルではブロンディの曲の方が有名で、こちらの知名度は低いのですが、「明るく爽やかな風を感じるようなCD」というコンセプトに一番ふさわしい華やかな仕上がり、ということで、オープニングそして作品タイトルにしました。間奏、エンディングのバンド演奏はどこまでも高く続く青い空を思わせます。歌入れのときに、なぜだかものすごくうまく集中できて、飛行機に乗って、ぐんぐんぐんぐんどこまでも上昇していくような爽快感を味わっていました。
2.Killing Me Softly With His Song
こちらは皆様ご存知の「やさしく歌って」。ロバータ・フラックの歌、そして日本ではコーヒーのCMソングで有名。はじめのボーカルと一緒に聞こえるのは、パーカッションの岡本さんが持ってきてくれたシェーカーです。たくさんのいろいろなシェーカーを用意してくれた岡本さんに、片っ端から鳴らしてもらって、このざらざらした音のするものを選びました。「彼の歌をきいていると自分のことを歌われているようで、秘密を暴かれていくようで不安。でも立ち尽くして聴き続けてしまう・・・」という歌の内容にピッタリなざらつきを感じる音です。この音を聞いているだけで、ほんとうに私の秘密を知られてしまうような、心に擦り傷ができたようなあやうい気持ちになりました。
3.Close To You
おなじみカーペンターズのヒットソング「遥かなる影」が、ピアノの五島さんのアレンジで、ぐっと大人っぽく生まれ変わりました。このアレンジをはじめて聞いたとき、あまりの素敵さに涙がでました。練習するうちに、思うように歌えないという理由で涙するようになるんですが・・・。「貴方が素敵すぎて、まばゆすぎて、近づきたいけれど出来ない」という歌詞ですが、このバージョンからは「大人だからこそ、遠慮してしまって近づけない」というニュアンスも私は感じます。江国香織さんの「神様のボート」という作品の中にもこの曲が登場します。そして「神様のボート」の主人公同様、私も最後には遂に憧れの人に近づけた、、、とイメージしながら歌っています。
4.Every Breath You Take
私が学生時代に流行ったポリスの大ヒット曲。ライブではもっとゆっくり歌っているのですが、このCDのコンセプトにあわせて、また他の曲とのバランスを考えて、少し早めにして、トライアングルも入れてもらいました。結果、空気が澄みわたった気が。昔、この曲を聴いていたころはまさか将来自分がボサノバで歌うとは、思ってもみませんでした。
5.I Say A Little Prayer
バート・バカラックの「小さな願い」。ディオンヌ・ワーウィック、アレサ・フランクリンの歌が有名。音域も広いし、変拍子の箇所もある難しい曲ですが、あえて挑戦しました。女の子らしいかわいい歌詞にもきゅ〜んときます。「お化粧するときも、お洋服を選ぶときもずっと、貴方が私を好きになってくれるよう祈ってる☆」ダブルボーカルで、ちょっとザ・ピーナッツ風?私も古いなあ・・・。
6.Will You Love Me Tomorrow?
キャロル・キングの作品。ロバータ・フラックの歌でも有名。「今夜はあなたはしっかり私のものだけれど、明日になってもまだ私のことを愛してくれるの?」という歌詞。しんとした夜明けのベッドルームをイメージして(?)、スタジオを暗くして録りました。1曲目のCallMe同様、最後まで集中が途切れずに頭の中のイメージどおりに歌えた気がしています。
7.Time After Time
シンディ・ローパーの大ヒットソング。ピアノの五島さんのアレンジは、アースウィンド&ファイアのセプテンバー風?(←五島さん談)これまた原曲とまったく違うアレンジに感激!何があっても、どんなに傷ついても、それでもくじけずにいくわよー!というパワフルで可愛いヒロイン像が浮かびます。小学校のとき、図書室に早乙女勝元さんの「あした私は行く」という本があって、そのタイトルが大好きで、今も時々思い出すのですが、まさにそのイメージです。(小説の「あした私は行く」がどんな内容なのかは、実は今でも知らないのですが・・・)
8.Both Sides Now
ジョニ・ミッチェルの佳曲「青春の光と影」。物事にはいいこと、悪いこと両面がある。私はまだ人生のことを何もわかっていない、という歌詞と美しいメロディーが魅力的。本作品最後に、ピアノの五島さんと「あえて」1コーラスのみ収録しました。ピアノの音色が、天から降ってくるようにきらめいています。
そしてジャケット。CallMeをタイトルに使おう、と決まった瞬間に「じゃあ電話を持ってる写真がいいな」と思いつきました。はじめは今風に携帯電話がいいかな、と思ったのですが、いやいや受話器からくるくるしたコードがでているほうがお洒落よね?と思い直し、撮影時には、自分のうちの電話から受話器をはずし、スタジオに持っていって撮ってもらいました。受話器を持っているジャケット写真では、ジュリー=ロンドンのYour
Number Pleaseが有名ですがCallMeというタイトルで、あんなに色っぽい写真ではちょっと危ないだろう・・・ということで(?)、自分の部屋で電話しているかわいい(?)ポップなイメージで撮ってもらいました。プロのメイクさんにお化粧してもらい、照明バッチリのスタジオで撮影してもらったうえに、なおかつパソコン上で修正するという、ほとんど私ではない私ですが、それゆえに(?)たいへん気に入っています。「服は赤とか派手な色の私服(ステージドレスではなく)がいいよね」ということで、ちようどバーゲンシーズンだったこともあり、探した、探した。銀座、赤坂、六本木、渋谷、目黒etc.でもこの夏は赤は流行らなかったようで、いいのがみつからない。やっと赤坂で「これなら!」というのをみつけると、店員さんが歩み寄ってきて、「それいいでしょう?半額になっていて、今なら38000円です」って!このCDがミリオンセラーになればそのときには買えるけど・・・。
結局、撮影前日に三軒茶屋の古着屋さんでみつけたのが、この水玉ワンピースです。実はかなりのミニなので、それきり着る機会もなく、箪笥の中で眠っていますが。赤と白を基調にしたお洒落なジャケットはデザイン担当の児島由美さんの作。5枚のCDを並べてみて思うのは、どのジャケットも、そのCDの内容、雰囲気を見事に表しているなあ〜ということ。
1stアルバムOnlyYouを作ってからちょうど9年。同じスタッフで、いつも気持ちよく制作していただけることにあらためて感謝。まさか5枚もCDを作れるとは、これまた思ってもみなかったので。どのCDにも、思い出がいっぱいだけれど、Call
Meは、大越康子のいま現在を伝える作品です。もし一枚しか選べないのなら、これを聞いて私の歌を記憶してもらえたら嬉しいな。まだの方、ぜひぜひお聴きいただけますように。
明日からは札幌で歌って行商してきます。北海道の皆様、またよろしくお願いします。お化粧するときも、お洋服を選ぶときもずっと、貴方が私のCallMeを聞いてくれることを祈ってる・・☆
大越 康子
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