ご挨拶

今、世界は大きく変わりつつあります。
最近はアセンションという言葉をよく目にするようになりました。
惑星地球の次元上昇、それにともなう地球規模の変化について様々なことが言われていて、その時期は２０１２年 付近とする説が多いようです。

言葉を知ること、言葉が広まることによって現れてくる世界があります。
今では当たり前のように使われている、癒し、ヒーリングという言葉をはじめて知ったのは １９９４年のことでした。
その時、まさに現代社会が（自分が）必要としているのはこれだと思い、その言葉、 その言葉が指し示す世界が、それまでよくまとまらなかった自分の想いに形を与えてくれた ような気がしたものです。
月日がたった現在でも、癒しという言葉が氾濫しているわりにはそのような社会にはなっては いないようですが、それでも多くの人が今までの価値観では幸せに暮らせないことに 気づき始めているのではないでしょうか。

１９９４年の終わりから数年間、私はいつも月を見ながら暮らしていました。
正確に言えば月の写真を撮っていたのですが、何時にどの方角に月が見えるかを調べ、 月と共に写真に写したいものが見える場所まで出かけていって月を眺めていました。

１９９５年最初の満月も、月の入りを早朝の湘南片瀬海岸で見ていました。
当時住んでいた東京の世田谷からは早朝なら車で１時間もかかりません。
ニュースで知った阪神地方の地震もその被害はほとんど 伝えられていない時でした。
穏やかに富士山の横に沈む月を見ながら未曾有の大災害となった阪神淡路大震災や、地下鉄サリン事件 で大きく揺れることになるその年の日本のことなど思うことも出来ませんでした。

この年、ＴＶ番組の中でチベット仏教の最高指導者ダライラマ１４世は、 自然界の本当の姿は適応や競争ではなく共生現象だというような話をされていました。
慈しみの心が大切だというようなことも言われていて、様々な出来事や痛みの中で揺れ動く自分の心にも 大きな指針となった話でした。

またその数年前に共生という言葉をはじめて知った時、大きな感動を覚えたことは今でも忘れません。
その言葉を知ったのは、年に数ヶ月もひとりでテント暮らしをしながら屋久島の森の中で樹と向かい合い、 写真を撮り続けている写真家との出会いの中でした。
その写真家は穏やかな仙人のような人でしたが、自然と共にある強さも感じさせる人で、 自然と言えば弱肉強食と思っていた私に新しい世界を教えてくれました。

少しずつ新しい世界を知り始めていた私は、何かが変わっていく日本の中で月を見ながら、 それまでとはまったく違う想いが自分の中にあることに気づき始めていました。

１９９５年、世界最大の都市型テロと言われた地下鉄サリン事件でリアルな衝撃を受けた私は、 ２００１年の９.１１では飛行機がビルに激突する映像を見てもフィクションにしか思えませんでした。
あれから私たちの世界はどう変わったのでしょうか。
あの頃の未来に生きている私たちは今のこの世界を想像していたのでしょうか。

日本はいつの間にか格差社会となり、弱者を切り捨て困難の中にある人を自己責任という言葉で 非難する社会になってしまいました。
凶悪犯罪の多発でかつての安全神話は完全に過去のものになりました。
大切だと言われながら人間の尊厳は今どれほど守られているのでしょうか。
私たちはどこに向かっているのでしょうか。

今、私たちは別々の体を持ち、それぞれの世界を生きています。
しかし深いところではすべてはひとつにつながっています。
遠い世界の出来事も全体によって経験され、何ひとつ無関係なものはありません。
会ったこともない他人の痛みも自分の痛みとして何らかのダメージを与えるのですが、 その因果関係が直接は見えないため、私たちは原因のわからないストレスを感じながら生きています。
自分を癒すことは世界を癒すこと、他の人を助けることは自分を助けることと言われますが、 すべてはひとつであるならそれも当然のことと思えてきます。

この３次元の世界では対極にあるものが同時に存在しています。
陰と陽、光と闇のように。
そして闇がなければ光を認識できない私たちには、闇こそが光を知る道具でもあります。
また闇に光があたり今まで隠れてきたものが露になることでこの社会にある長い苦しみも終わります。
どのような経験も愛について学ぶ出来事、本当の自分を思い出すプロセスです。
闇に囚われることのない輝く光が誰の内にもあります。

この世界に生まれたからには美しいものを見ていたい、宇宙の完全な秩序と調和が感じられる 様々なことを経験したい、そしてその時がかけがえのない素晴らしい時間であることを 忘れずにいたいと思います。

多くの人が今当たり前のように思っている、物質中心の世界、過去、現在、未来と続く直線的な 時間の中にある世界観はそろそろ終わるのかもしれません。
デトックス、浄化の過程では厳しい状況が現れることもあるかもしれません。
しかしその先にある光を常にイメージすることが大切です。
すでにアセンションは始まっているとも言われています。
そして人々が助け合い協力し合って新しい世界を創造する、そんな出来事が各地で生まれています。
対極にあるものを知ることで自分の目指すものが何であるかがはっきりと見えてくるものです。

ここ何年か波の音を聞きながら夕陽をみるのが好きになりました。
疲れていてもそんな時間を過ごすと本当の自分に戻れるような気がします。

私の写真を見て、何か懐かしさを感じ、心なごむ時間を過ごしていただけたなら、 作者としてこんなに幸せなことはありません。
ちょっときれいだなと思っていただくだけでもかまいません。
ご覧いただいたすべての方に感謝します。
みなさんどうもありがとう。またお会いしましょう。