JR1UIA amateur radio station since 1971


ホコリだらけの搬入

国内で使用されていたらしい・・・

 SP-600はHAMMARLUND社が1950年に発表し1972年まで生産された超ロングラン機です.
タイプは40種類ほどあり型番からリリース年の推定ができます.
 名板には SP-600 JX21とあり,調べてみると受信範囲 540kcから 54Mcの 1953年発表の
ものでした.なおこの年は新バージョンラッシュで 合計8種類の型が仕様化されています.

 この機体がどこで使われていたのか詳細は不明です.ただ,関西の某ラジオ局の自局電波
モニタ用.それもバックアップ機で,取り外された後今日まで倉庫に眠っていた・・・とのことまで
は聞き出せました.本当ならばいわゆる使い減りのない素性の良い機体の可能性が大きいで
す.期待がもてます.

まずはお掃除

 機体を庭に持ち出し掃除をする.Xはかつて美容師をやっていたので我が家には商売道具
だった業務用のヘアドライヤーがある.これを拝借し,昔,図工の時間に使った絵筆でパタパ
タやりながら冷風を吹きつけホコリを取る.
 こびりついた汚れは無水アルコールを使えばかなり取れるがピカピカの新同品にするのは将
来の楽しみに取っておく.今回はとりあえず汚れが手につかない程度で良しとした.真空管の
シールドケースを取って掃除しながら見るとメーカーはどれもNECか東芝.定期的なメンテナ
ンスをされていた証拠と思われます.

 ビールケースより大きい?


とにかく重い

 資料によると大きさは48(W)x27(H)x44(D) 重さは 30kgとなっています.30キロは大人にとっ
てはそれほどの重さではないはずですがとにかく重く感じます.なぜか考えてみると持つ姿勢
はパネル面を内側とした駅弁スタイル.しかしツマミ類に力がかかることを避けるためお腹に
つけないような姿勢になる.両手は側板の刃状の面が片手あたり15kの重さで指に食い込ん
でくる・・といったことが理由だと思います.持ち上げるときは面倒でも軍手をしないと指や手の
ひらを傷つける恐れがあります.

あれ!ダイアルがスリップするぞ

 解説書やネットを見ると口をそろえて極上のダイアルタッチ・・てなことが書いてあります.そ
れを味わってみようとTUNINGを回すと何かヘン.スプレッドダイアルがズッズッといった感じで
スリップしながら動いていきます. 放送局が自局のモニタに使用していたと言うことはダイア
ルツマミはほとんど使用されなかったと思われます.バリコンを含めた駆動系全体が重くなって
しまっているようです.この機種の特徴の金属アイドラを指でフライホイルに押し付けてスリップ
を強制的になくしダイアルを回します.これをなんどか繰り返すといくらかスリップが減ってきま
した.

スリップを起こしている部分
フライホイルに真鍮製のアイドラが接触している


げっ! 穴が二つある

 アンテナ端子はなぜかフロントエンドの搭載されたサブシャーシ上にあります.事前に読んで
おいた資料ではM型やN型のはずですがこの機体はなぜか2穴のコネクタがついています.こ
んな形の変換コネクタは手元にないのでとりあえずテスターリードをつっこんでクリップコードで
外部アンテナにつなぎました.

 
中央付近左下側にコネクタ  
写真で背面右側に見えているM型コネクタは IF OUT です.




 コネクタ付近拡大



とにかく灯を入れてみよう

  この手の機械に灯をいれるには細心の注意が必要とされています,て゜も徐々に電圧を掛
けていくためのスライダックは手元にありません.部品面を良く見て焼損痕がないことを確認し
た後はあんまり気にしないでスイッチをいれてみました.パイロットランプとヒーターに無事に灯
がともり煙の上がる様子もありません.まずはひと安心です.なお電源スイッチはRF GAINボ
リュームと兼用になっています.ここは非常に違和感を感じる部分です.



受信不能バンドがある

 オーディオ出力のインピーダンスは600オームです.今回はしかたないので出力端子は600
オームの抵抗で終端し,ヘッドホン端子に10Kオームの通信用高インピーダンス型ヘッドホン
を接続してみました.・・・聞こえる聞こえる.BC帯と7Mを含む低い3バンドは問題なさそうで
す.
 ダブルスーパー動作の上側 3バンドの内 7.4M-14.8Mが受信できません.それより高い
54Mまでの上2バンドはOKなんだけど・・

 この機種は 6バンドで 540kc〜54Mc をカバーし 7.4-14.8,14.8-29.7,29.7- 54の上側3バン
ドがダブルスーパーになっています. 正常に動作するバンドは受信周波数に 第1中間周波
数である3.955Mc を加えた第1局発周波数を別の受信機で受信することができます.

 ところが 7.4M-14.8Mバンドではこれが受信できません.どうやらこのバンドだけ 6C4の
第1局発が動作していないようです.球を交換してみたいところですが現在は6C4の手持ちが
ありません.次の上京の機会まで故障探索はお預けです.

6C4 秋葉原に売ってるかなぁ〜.



SSBが復調できないぞー

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