Attraction Garden


バスルームから出た捲簾は、頭をバスタオルで拭いながらふと手を止めた。
視線の先には2人分のバスローブ。
「…やっぱいきなりマッパはマズイよなぁ」
かと言って、大柄な捲簾に大抵備え付けのモノはサイズが小さい。
裾丈が中途半端に短く、何とも間抜けだ。
「どーすっかなぁ〜」
とりあえず手にとって広げてみる。
一見しただけで自分には小さそうだ。
「ま、別に女じゃないんだからいっか」
バスローブを戻すと身体の水分を拭って、バスタオルを腰に巻く。
何だかいかにもガッついて『今すぐヤろう!』と言わんばかりだが、不可抗力だと捲簾は内心で言い訳した。
いや、本心ではかなりいっぱいいっぱいだが。
親の言うことをちっとも聞かない暴れん坊のムスコさんも、とりあえず今は大人しくしている。
濡れた髪を適当に掻き上げ、捲簾がバスルームを出た。
「天蓬お待たせ〜開いたぞ?」
部屋に戻ると天蓬は上着を脱いで、ベッドに座って煙草を吸っている。
ネクタイを外したシャツの襟元からは、白い首筋が覗いていた。
思わす捲簾はゴクリと喉を鳴らす。
「…そのまま出てきちゃったんですか?」
天蓬が意味深に微笑んだ。
何だか待ちきれなくて出てきたように言われ、僅かに捲簾の頬が紅潮する。
「大抵いつもこんなだし…」
口籠もって言い訳をすると、天蓬の笑みがますます深まった。
「でも、バスローブあったでしょ?そのままだと身体が冷えてしまいますよ」
「どうせ…直ぐに熱くなるだろ?」
捲簾が笑いながら肩を竦める。
つられて天蓬も微笑んだ。
「…そうですね。それじゃ、捲簾が風邪を引く前にシャワー浴びてきますね」
天蓬はベッドから立ち上がると、すれ違い様捲簾の肩に口付ける。
振り返って呆気に取られている捲簾に天蓬は手を閃かせ、バスルームのドアを閉めた。
少しすると水音が聞こえ始める。
捲簾はベッドに腰掛けると、ガシガシと髪を掻き回した。
「何か…俺って余裕がないのかなぁ」
ずっと天蓬の言動に振り回されている。
悔しいけど、別にそれがイヤだとか嫌いな訳じゃなく。
何となく。
いや、もの凄ぉ〜っく!恥ずかしい。
そんなつもりは無いのだが、いちいち反応してしまう。
自分でも頬が赤くなっているのが分かるぐらい。
「これじゃ、悟浄にからかわれたのに文句言えねーよなぁ」
捲簾は情けなくてガックリと項垂れた。

とりあえず、ここは一つ。
ベッドの上で挽回しなくては!

気合いを入れると、捲簾はベッドの上へダイブする。
耳を澄ませると、バスルームの水音は続いていた。
ぼんやりと天井を見上げて、捲簾は大きく欠伸する。
「やべ…ちょっと眠くなってきた」
昨夜は緊張しすぎてなかなか寝付けず、朝も早く目が覚めてしまった。
おかげで普段よりも睡眠は少ない。
それに加えて、今日はかなりのアルコールを摂取していた。
静かな室内に聞こえてくる水音が耳に心地よくて、捲簾の瞼が重たくなってくる。
「ん…」
無意識に捲簾は浅い眠りに落ちていった。






「…っん、捲簾っ!」
「んー…?」
身体を揺さ振られて、捲簾はうっすらと瞼を開く。
クスクスと微かな笑い声が耳朶を擽った。
途端に自分の状況を思い出し、パッチリと目が覚める。
「あっ!悪ぃ!!」
慌てて謝ると、天蓬が楽しそうに捲簾を覗き込んでいた。
「酷いですよぉ〜僕がドキドキしながらバスルームから出てきたら、捲簾ってば気持ちよさそうに寝てるんですもん」
「何か静かだったから、つい…ホント悪いっ!」
捲簾は起き上がろうとするが、身体がピクリとも動かない。
自分の体勢を改めて観察すると、バスローブ姿の天蓬が捲簾の腰に跨って座り込んでいた。
胸元をはだけて、乱れた裾からは白い脚が惜しげもなく覗いている。
思わず捲簾の心臓が激しく跳ね上がった。
激しい鼓動が次第に下肢へと伝わっていく。
「あ…っ」
天蓬が小さく声を上げた。
タオル越しに捲簾の雄が存在を誇示し始める。
下肢に当たるのか、天蓬の腰が小さく揺れた。
「捲簾…」
誘うような声音に、欲情で濡れた瞳。
捲簾の理性も限界だった。
天蓬の身体に触れたくて、捲簾が腕を上げる。

上げようとしたが、出来なかった。

「あ…れ?」
捲簾は小さく首を傾げる。
腕が少しも動かなかった。
結構力を入れてみても、腕は固まったように動かない。
訳が分からず、捲簾は顔を顰めた。
自分で思うよりも捲簾は酔いが回っている。
未だに自分の状況がよく分かっていなかった。
「捲簾…凄く可愛いですよ」
「へっ!?」
思いも寄らぬ天蓬の言葉に、一気に酔いが吹き飛んだ。
漸く自分の状態に気付いて、捲簾は愕然とする。
捲簾の両腕は、天蓬に頭上でベッドに縫いつけられていた。
腰には相変わらず跨ったまま。
天蓬に固定された身体は少しも動かせない。

え?あれ??

「思った通り…綺麗な身体ですね。均整が取れて無駄な肉もなくって」

え??

「胸板は程よく厚さがあって、腰は細く締まって…ヒップラインも絶品です」

え??

「凄く…美味しそうvvv」

え??

「心配しないで…いっぱい可愛がって、気持ちよくシテあげますからね」

え??

「元気なココも…」
天蓬がタオル越しに捲簾自身を緩く握り締めた。
「んぁ…っ」
背筋を走り抜ける快感に、思わず捲簾が声を上げる。
「ふふ…可愛い声」
カッと捲簾の頬が羞恥で染まった。
ゆっくりと天蓬が捲簾に覆い被さってくる。
「捲簾好きです…愛してますよ」
ウットリと甘い声で囁きながら、天蓬の唇が耳朶に口付けた。
捲簾の身体がゾクリと粟立つ。
「僕の全てを貰って下さいね…捲簾が欲しいだけ…貴方のココに」
タオルを潜って、天蓬の指先が捲簾の最奥に触れた。

え???

思いも寄らぬ部分への感触に、捲簾の頬が引き攣る。
「捲簾は初めてで不安でしょうけど、大丈夫。何事も挑戦する時は、誰でも初心者なんですから」

え????

予想外の展開に、捲簾は金縛りにあったように動けない
抵抗を示さない捲簾に、天蓬はますます調子に乗った。
スルリと捲簾の腰から降りると、脚を掴んで思いっきり左右に割り開く。

うっ…嘘おおおぉぉぉおおおおっっ!?

天蓬はさっさと邪魔なタオルを取り払い、捲簾の股間に舐めるような視線で見つめた。
「てっ…てててて天蓬ぉっ!?」
漸く身の危険を察知して、捲簾が逃げようと慌てて腰を蠢かす。
「どうしました?そんなに我慢出来ない?」
「いやっ…あのっあのっっ!!」
焦れば焦るほどまともな抵抗も出来ず、捲簾はただ声を詰まらせた。
天蓬は少し考え込む。
「とりあえず1度抜けば身体もイイ具合に解れるでしょう、うん♪」

イイ具合!?どんな具合だ、そりゃっ!!

天蓬は卑猥な笑みを唇に浮かべ、ゆっくりと顔を捲簾の股間へと伏せていく。
「いっ…ああっ!?」
熱く濡れた舌先が、捲簾の雄を根元から舐め上げた。
その感触に捲簾自身が硬く芯を持ち始める。
何度も繰り返される度、捲簾の雄はビクビクと脈打ち出す。
先端の蜜口からは粘液が浮き出し、肉芯を伝って下肢を濡らしていった。
「んっ…あ…てんぽ…っ」
捲簾が快感で声を上擦らせ名前を呼ぶと、熱心に奉仕していた天蓬が顔を上げる。
口元を捲簾の先走りで淫猥に濡らして微笑んだ。
見せつけるように、赤い舌先で唇を舐める。
「もっともっと…舐めて欲しい?」
「ん…シテ…天蓬」
フェラチオ自体に抵抗はないので、捲簾は素直に頷いた。
嬉しそうに天蓬が双眸を和らげる。
今度は唇を大きく開くと、一気に根元まで咥え込んだ。
「ひぁ…あ…っ…」
強く吸われながら喉で飲み込むように先端を締め付けられ、あまりの気持ち悦さに捲簾が腰を震わせる。
すぼめた唇で肉芯を激しく扱き立てられ、捲簾は次第に腰を振っていた。
「あっ…ああっ…天蓬っ…早く離…っ…も…出るぅ」
天蓬の頭を外そうと腰を捩ると、鬱陶しそうに押さえつけられる。
射精を即すようにキツく先端を吸い上げられ、捲簾の腰が大きく震えた。
「んあっ…バカッ…やめ…っ」
いきなり天蓬の指が後孔に突き立てられ、捲簾は腰を捩らせ吐精してしまう。
何度も腰をビクビクと跳ね上げ、天蓬の口腔に白濁を注ぎ込んだ。
捲簾は呼吸を乱して、ベッドに沈み込む。
飛沫で唇を汚したまま、天蓬は大きく喉を鳴らして捲簾の精液を飲み下した。
「………っ」
あまりに淫らな天蓬の姿に、捲簾の視線が釘付けになる。
再度脚を開かされても、抵抗もしない。
「もっといっぱい…気持ち悦いコトしましょうね」
欲情を隠そうともしないオスの視線に見据えられ、捲簾は動けなかった。


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