Attraction Garden


一体何がどうなってんの!?
叫びたくっても言葉が出ない。
口を開けば自分でも信じられない、甘ったるい嬌声が漏れてしまう。
必死になって口を噤んでも、一層呼吸が辛くなるだけ。
吐息さえ媚びを含んでるようで、吐き気がする。
捲簾はどうにか体勢を変えたくて藻掻くが、天蓬に下肢を捕らえられたままでは上手くいかない。
両腕はキツイほど締め上げられ、ベッドヘッドに固定されていた。
どんなに力を入れて引っ張ろうが、締め付けが弛むことはない。
天蓬はどうしてこんな玄人な縛り方が出来るのか、考えるだけで嫌になる。
いつの間にこんなコトになったんだか、酔いと快感で朦朧とした頭では全く思い出せない。
肌に触れている感触で、バスローブの紐で括られているのが分かるぐらいだ。
こんなことなら小さかろうが、短くて不格好だろうが、バスローブを着るんだったと捲簾は後悔した。
今更言っても仕方ないけど。
相変わらず天蓬の頭は捲簾の股間で揺れている。
もう何度その綺麗な唇に弄ばれ、達かされたのかさえ分からなかった。
自分の吐き出した粘液と天蓬の唾液で、下肢はグチャグチャに濡れている。
きっとシーツまで染み込んでいるだろう。
慣れない不快感に、捲簾は眉を顰めた。
そして何よりも、先程から体内で蠢く天蓬の指が堪らない。
狭い腸内を2本の指に掻き回され、腰がゾクゾクと震えてしまう。
意地悪く一番感じる部分をはぐらかして撫で擦る指先に、いつの間にか内壁が絡みついて奥へと誘い込む動きを見せ出した。
緩やかすぎる快感はただもどかしいだけで。
煽られた熱は燻りながら下肢に重く留まり、解放することも出来ない。
捲簾の頬を生理的な涙が伝い落ちる。
「捲簾…どうしたの?」
様子に気付いた天蓬が、捲簾の下肢から顔を上げた。
ただ捲簾は何も言わずに首を振る。

こんな苦痛、今まで知らなかった。
自分にとってセックスはただ気持ち悦いだけのモノで。
気が狂いそうな程の熱とか、不快な心地よさとか。
それがこの綺麗な男から全て与えられ、奪われて。
身体が。
心が。
バラバラに成りそうだ。

「…っ…う…あ…ぁっ」
捲簾は身体を震わせながら、嗚咽を堪えた。
身体を起こした天蓬が、捲簾の上へ覆い被さってくる。
顔を寄せると、流れる涙を舌先で梳っていった。
「捲簾…コワイ?」
直ぐ近くで聞こえた声に、捲簾がぼんやり瞳を開く。

目の前には見惚れるほど綺麗な。
一目で心を奪われた艶やかな微笑み。

「て…んぽぉ…」
「僕に触れられるのは…イヤですか?」
寂しそうな笑顔に、捲簾が緩く首を振った。

確かに欲しいと思ったけど。
その欲しいと思った相手から、与えられるのも悪くはない。
でもどうせなら、全部。
何もかも天蓬の全てが欲しい。
同じだけ自分から奪っていってもいいから。

捲簾が天蓬を真っ直ぐ見上げる。
「ヤじゃ…ねーけど…っ」
「けど?何ですか??」
「コレ…外せよ…」
捲簾は固定されたままの腕を動かした。
「え〜?でも凄く似合ってて可愛いのに〜」
頬を膨らませて拗ねる天蓬に、捲簾は絶句する。

…コイツの頭はどーなってんだ?

怒鳴りつけたいのを懸命に堪え、捲簾は顔を背けた。
「腕擦れて痛ぇし…天蓬のこと抱き締めらんねーの…ヤダし」
捲簾が恥ずかしげに小さく呟くと、天蓬の表情が見る見る嬉しそうに輝く。
「えっと…ちょっと待って下さいね。今外しますからっ!」
嬉々として天蓬が捲簾の拘束を解き始めた。
程なくして捲簾の腕が解放される。
「あー…イタタッ…ったく、無茶しやがってっ!」
捲簾はベシッと天蓬の額を掌で叩いた。
「不意打ちしないでくださいよぉ〜」
恨めしそうに天蓬が拗ねると、捲簾が睨み付ける。
「どっちが不意打ちだよっ!初めてのヤツ縛るバカがいるかぁ!?」
「だって…」
不満そうに天蓬が俯くと、捲簾は溜息を吐いた。
腕を伸ばして天蓬の頭を胸へ抱き込み、そのままベッドに倒れ込む。
「捲簾?」
「続き…しねーの?」
「勿論しますっ!捲簾がイヤだって暴れても、無理矢理押さえつけてブチ込みますからっ!」
「別に…ヤダって言ってねーじゃん」
「けんれ〜んvvv」
甘えた声を出して、天蓬が捲簾の首筋に懐いた。
「でもっ!条件がある」
「条件…ですか?」
何だろう?と天蓬が首を傾げる。
「正気が吹っ飛ぶぐらい…すっげぇ気持ち悦くしてくれる?」
「そんなに僕を煽って…覚悟して下さいね?」
双眸を眇めて、天蓬が凶暴な瞳で捲簾を見つめた。
脚を梳くって大きく開かせる。
「僕の全てを、貴方のモノにして下さい」
捲簾の手を取ると、恭しく指先に口付けた。






「あっ…ちょっ…ソコ…んぁっ!?」
獣のように腰を突き出した体勢を強いられ、捲簾は嬌声を押し殺す。
天蓬の舌先と指が、傍若無人に捲簾の秘孔を暴いていった。
濡れた淫音が、聴覚から脳を犯す。
呼吸を荒げて、湧き上がる未知の快楽に捲簾はただ耐えるしかなかった。
「ココが捲簾のイイ場所なんです。前立腺って知ってるでしょ?ココをこうして弄られると…」
天蓬のしなやかな指先が、内壁の突起をひっかくように爪弾いた。
「ひゃっ…あっ…やめ…っ」
全身を駆け上がる壮絶な快感に、捲簾は大きく背筋を反らして喘ぐ。
時間を掛けて愛撫された秘孔は、いつの間にかヒクついて刺激を強請りだした。
体内を駆けめぐる熱の奔流に、捲簾はどうしたらいいか分からない。

もっと。
もっと違う快感があるはず。

しつこいほど嬲っていた指が動きを止めた。
「ねぇ…捲簾?ココ弄られるのは堪らなく気持ち悦いでしょ?」
耳朶に舌で舐めながら、天蓬が睦言を吹き込む。
そんな些細な仕草だけでも、捲簾の身体がビクビクと痙攣した。
「ん…イ…けどっ…」
「けど…まだ足りない?」
天蓬の言葉に捲簾が振り向く。
先程から感じているもどかしい思いを天蓬に見透かされ、捲簾は羞恥で全身を染めた。
天蓬が嬉しそうに微笑む。
「ココを…もっといっぱい刺激して欲しくて仕方ないでしょう?」
突然捲簾の内壁を愛撫していた指が、勢いよく引き抜かれた。
「やぁっ…あ…っ」
物欲しげな声を上げてしまい、捲簾が慌てて口を塞ぐ。
抱え上げられた腰は、誘うように揺れている。
咥えるモノを強請って淫らに蠢いている最奥に、熱いカタマリが押しつけられた。
捲簾の身体が小さく竦み上がる。
ソレ、が何か分からないほど馬鹿じゃない。

それにしても。

捲簾が気になって恐る恐る視線を背後へ向けた。
視線の先には。

「なっ!?なんっつーモン持ってるんだっ!!!」

思わず捲簾が悲鳴を上げる。
「え?別に僕、何も持ってませんけど?」
天蓬が何事かと目を瞬かせた。
何かあるのだろうかと、周囲に視線を向ける。
「そうじゃなくってっ!お前のっ…そ…そのっ」
捲簾がチラチラと視線を天蓬の下肢へ。
天蓬が思わず見下ろした。
「モノって言うのは、もしかしてコレ…ですか〜?」
硬く張り詰めた自身で、天蓬が捲簾の秘孔を突っつく。
「詐欺だっ!んな綺麗な顔してて、物騒なモン付けてんなよっ!!」
「物騒なモンって…」
捲簾の言い草に天蓬は呆気に取られる。

ようするに。

「僕のコレって…そんなに大きいですかねぇ?」
捲簾の前に手を回して、捲簾自身をグッと握り締めた。
途端に掌の肉芯が大きく震えて濡れる。
「んー?確かにぃ〜捲簾よりはおっきいかなぁ〜?」
「うっ…んなコトねーっ!おっ…同じぐらいだろっ……………多分」
何となく自信がないのか、捲簾の語尾が小さく萎んだ。
「大丈夫ですよ。そんなに萎縮しないで…力を抜いてて下さいね」
グイッと天蓬の雄が強く押しつけられる。
「ほら、そんなに強張らない。息を詰めないで…」
「んなこと…った…て…くぅっ」
ミシミシと引き裂かれるような激痛に、捲簾は震えが止まらない。
強烈な圧迫感と痛みに、つい力が入ってしまう。
「いっ…痛ぇよっ…も…無理っ…ムリぃ〜」
ぐしゃぐしゃに泣きながら、捲簾が嫌がって首を振った。
「もう少し…大きく息を吸って」
痛みが和らぐならと、言われたとおりに喉を震わせ空気を吸い込む。
「ゆーっくり吐いて下さい…」
ふっと肺から少しずつ酸素を吐き出すと、身体から自然と力が抜けた。
勿論天蓬は見逃さない。
一気に腰を進めて、全てを飲み込ませた。
「ひあぁっ!」
捲簾が大きく体を仰け反らせる。
「やっぱ…ダメぇ…ムリだって…っ」
「…もう全部入っちゃいましたvvv」
「うえぇっ!マジでっ!?」
驚いて振り返ると、確かに天蓬の腰が自分の双丘に密着している。
天蓬の熱芯を咥え込んだ部分も、痛みと熱さでジクジク疼いた。
「…痛い、ですか?」
「ん…ん?さっきより…マシ」
捲簾が力を抜いて、ベッドに突っ伏す。
背中に天蓬がそっと覆い被さってきた。
「もう少し…このまま…」
背後から抱き締めてくる天蓬の腕に、捲簾が甘えて懐く。
「…いいですよ」
耳元で小さく笑う優しい声に、捲簾はウットリと目を瞑った。



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