Attraction Garden


「けんれ〜ん…大丈夫ですかぁ〜?」
「…大丈夫だと思ってる訳?」
思いっきり不機嫌な声で言い返すと、耳朶を天蓬の吐息が掠める。
背後から捲簾を抱き竦めたまま、天蓬は笑いを噛み殺した。
ツインの使っていなかった方のベッドで、捲簾は天蓬の抱き枕と化している。
ぺったり背中に寄り添って、デレデレと甘え倒していた。
もうあと2時間もすれば朝日が昇る。
東の空はうっすらと明るくなり始めていた。
「も〜なぁ〜今度こそは寝かせろよなっ!」
捲簾は枕に顔を埋めて不平を漏らす。
天蓬の抱き締めてくる腕に力が入った。

少し冷えた肩に、熱い唇の感触。

「今度こそって…僕、今初めて聞きましたけど?」
「…そう言う意味じゃなくって。疲れてベッドに入ったからには、キッチリ睡眠取らせろってこと。お前さっき風呂でナニしやがった?」
「え〜っと…捲簾の身体をピッカピカに磨き上げて〜」
捲簾が無言で肘鉄を喰らわせる。
「ぐっ!捲簾痛いです…」
「自業自得だ、バカヤロー」
「何でですかぁ?だって一緒にお風呂入って、捲簾のこと綺麗にシテあげたじゃないですか」
不満そうに文句を呟きながら、天蓬が捲簾にますますしがみ付いた。

ほんの1時間前。

散々に貪られ意識朦朧としていた捲簾を抱え上げて、天蓬は汗と精液で汚れた身体を清めるためにバスルームへ向かった。
捲簾は天蓬に身体を預け、意識を飛ばして惚けたまま。
少し熱めのシャワーを浴びせても反応を示さなかった。
天蓬は捲簾を支えながら、バスソープを手に取る。
掌に作り出した泡を、丁寧に捲簾の身体へ塗り込めていく。
「ん…っ?」
僅かに身体が震えて、捲簾が小さく声を上げた。
「大丈夫ですよ…身体を洗っているだけですからね」
「ん…」
優しい声音に安心したのか、捲簾はそのまま天蓬へ背中を預ける。
首から肩へと緩やかに捲簾の身体を撫でていると、捲簾が顔を仰け反らせた。
「てんぽぉー…気持ちいー」
ウットリと熱い溜息を零しながらの囁きに、天蓬の手が止まる。
「…天蓬?」
動かない天蓬を、捲簾は不思議そうに見上げた。
再び天蓬の掌が蠢き出す。
今度は別の意志を持って、捲簾の身体に触れた。
「ん…ぁ…っ?」
胸元から引き締まった下腹部を、何度も掌が伝い降りる。
触れられている肌が、熱を呼び覚ます。
ゾクリと捲簾の背筋を快感が走り抜けた。
「ちょ…っ…天蓬ぉっ…何だ…よっ」
天蓬の腕の中から逃げようと捲簾は緩慢に身動ぐ。
許容量を超えた快楽に、身体が鉛のように重かった。
必死に身体を捩ったつもりでも、簡単に押さえられてしまう。
「てんぽ…っ…も…ダメ…って…」
「ヤダなぁ…汚れを落としているだけ、ですよ?」
クスクスと楽しげな笑いが、首筋から耳朶を舐め上げた。
不埒な掌が下肢へと落ちる。
「んんっ…あ…はぁっ…」
緩やかな刺激に追い上げられ、すっかり形を変えていた自身を強く握り込まれた。
ビクビクと身体を痙攣させ、捲簾が切ない嬌声を漏らす。
泡の滑りと自身から零れる粘液で、卑猥な音がバスルームに大きく反響する。
自分の吐息と、耳元を濡らす息遣い。
ただそれだけでも興奮してしまう。
天蓬の指が最奥へと触れた。
突き挿れられ慣らされたソコは、簡単に指を飲み込んでいく。
「あ…あっ…やめ…っ」
腸内を乱暴な仕草で掻き回され、捲簾が激しく頭を振った。
身体中が快楽に染まって堕ちていく。
「ああ…ホラ。さっきいっぱい出した僕の精液が…零れてきましたよ?」
強制的に排泄させられる行為に、捲簾が真っ赤になって啼き喚いた。
「やだっ…んなの…も…や…ってぇっ!」
「ちゃんと処理しておかないと、お腹壊してしまうんですよ。それとも…」
天蓬の指が抜き出す寸前で止められる。
そのまま指を開いて、秘孔を広げた。
ソコに硬く熱い感触。
「…まだ、飲み足りないのかな?」
「ひゃあっ…ばっ…ばかっ!」
クプリと張り詰めた先端を含まされると、自重で奥へと咥え込んでしまう。
「んっ…ふ…う…っ」
震える捲簾の身体を、天蓬が抱き留めた。
悦んでまとわりつく熱い粘膜に、天蓬は大きく腰を震わせる。
「捲簾のナカ…すごい熱くて…どうにかなりそーです…」
下から突き上げると、捲簾の背中が綺麗に反り返った。
「もう…絶対離しませんから…っ」
挿入を繰り返す律動がどんどん強く激しくなる。
「あっ…ふぁっ…や…あ…っ」
捲簾の快感で潤んだ瞳が焦点を失った。
ただ甘い嬌声を機械的にその唇から吐き出している。
天蓬の腕が捲簾の膝裏を抱え上げ、一際大きく最奥を穿った。
「――――――っっ!!!」
掠れた悲鳴は声に成らずに喉に貼り付く。
身体の奥深くに、何度も灼熱が叩き付けられた。
ぐったりと力が抜け、捲簾の身体から崩れ落ちる。
「おっと…」
天蓬は慌てて腕を伸ばし、捲簾を抱き止めた。
腰を振って最後の残滓まで吐き出すと、漸く天蓬は自身を抜き出す。
「…っう…ん」
どうやら悦すぎて、捲簾は失神してしまったらしい。

ここで正気に戻られて怒られるのもヤダな。

天蓬は今のうちにと、捲簾の身体を手早くシャワーで洗い流した。
さすがに残滓の後始末をしている時には覚醒したが、相変わらず頭は快感で飛んだままでピクリとも動かない。
自分の身体も適当に洗い流すと、天蓬は捲簾を抱えてバスタブへと身体を沈めた。
大きな音を立ててお湯が排水溝へと吸い込まれる。
「うーん…さすがインペリアルスウィート。ケチらなくて正解でしたねvvv」
このホテルの売りは、ゆったりとくつろげる大きなバスルームにある。
大きな壁一面の窓からは鮮やかな夜景が一望出来て、ジャグジー付きのバスタブもこうして男二人が入ってまだゆとりがあった。
捲簾を背中から抱き抱えて、天蓬は心地よさに溜息を吐く。
腕の中の捲簾は為すがままに収まっていた。
時折お湯の温かさが気持ちいいのか、無意識に笑顔を浮かべる。
その艶麗な表情に、天蓬の欲望が跳ね上がった。
自嘲しながら、捲簾の肩にコトンと額を付ける。
「う〜ん…さすがに…マズイ、ですよねぇ」
意識を散らそうとすればするほど、身体の熱が上昇してしまう。
いつの間にか自身は形を変え、痛いほどに張り詰めた。
身体に触れるのが居心地悪いのか、捲簾の腰がお湯の中で避けるように揺れる。

「うあっ…あ?」

身体を駆け抜けるキツイ快感に、捲簾の意識が覚醒した。
状況が分からず、きょとんと瞳を瞬かせる。
「え…と…何…だっけ??」
「あ、気が付きました?」
背後からする声に、捲簾が振り返ろうと腰を捩った。

「んあっ!?」

突然腰から湧き上がる快感に、捲簾は硬直する。
このもの凄い圧迫感。
それに伴う不快な快感は。

「天蓬おぉぉ〜っ!!!」

捲簾が物騒なほど低い声音で唸った。
しかし、天蓬は少しも怯まない。
ぎゅっと後ろから抱き締めてきた。
「だってだってっ!捲簾ってば、もの凄ぉ〜っく可愛い顔で甘えてくるからっ!大好きな貴方にそんな表情で誘われて我慢なんかできませんっ!!」
「誘ってなんかいねーっ!」
無茶苦茶な天蓬の言い分に、真っ赤な顔で捲簾が怒鳴りつける。
「嘘ですぅっ!!」
「嘘なんかじゃ…あぁっ!?」
興奮しすぎで腹部に力を入れてしまい、捲簾はナカの天蓬自身を締め付けてしまった。
嬌声を上げ、腰を震わせ身悶える。
「ふっ…そんな…ちゃんと悦くしてあげるから、焦らないで」
「そんなつもりっ…やぁっ!」
天蓬が唐突に激しく自身を注挿を開始した。
硬くて大きく膨れあがった肉芯が、捲簾の秘孔でビクビクと暴れ出す。
バスタブの縁にしがみ付き、捲簾はただ喘ぎ声を吐き出した。
自然と強請るように、腰を天蓬へと突き出してしまう。
「捲簾っ…凄く…可愛いですよ…っ」
興奮を押さえきれない掠れた声で、天蓬が何度も睦言を囁く。
「あっ…あぁっ…天蓬っ…てんぽ…おっ」
捲簾自らも腰を振り立て、快楽を貪った。
「やっ…やだぁっ…も…出る…うっ」
肌を粟立たせ、捲簾の身体が小刻みに痙攣して限界を訴える。
見計らって天蓬が強く腰を引き付けた。
「ひっ…あああぁぁっっ!!!」
捲簾の感極まった嬌声がバスルームで弾ける。
「う…く…ぅっ」
急激に肉芯を締め付けられ、絞れ取られるように天蓬も我慢出来ずに吐精した。
さすがに熱気と開放感で目眩がする。
天蓬は頭を軽く振ると、バスタブの縁に懐いている捲簾に声を掛けた。
「捲簾、捲簾大丈夫ですか?」
答えは返ってこない。
お湯を掻き分けて天蓬が捲簾の顔を覗き込んだ。

「…やっちゃいましたねぇ」

捲簾は真っ赤な顔で逆上せて昏倒していた。






「ったく…まだ頭がぐるぐる回ってるっつーの」
「だって…我慢出来なくって…」
天蓬が捲簾の肩口に頬を擦り寄せた。
擽ったそうに捲簾が小さく身動ぐ。
「ふぁ…っ…も、マジで眠てぇ〜」
「チェックアウトは11時ですから、少し寝れますよ」
「ん…ちゃんと起こせよぉ」
ゴロンと寝返りを打って捲簾が天蓬へと向き直った。
嬉しそうに天蓬が破顔して、捲簾の頭を抱き締める。
「大丈夫ですよ。目覚ましもセットしましたから…ね」
「は…ふっ…おやすみぃ〜」
直ぐに穏やかな寝息が聞こえてきた。
相当眠たかったらしい。
「おやすみなさい」
捲簾の額にそっと口付けて、天蓬も眠りに落ちていった。



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