Attraction Garden


「あっ…あのあのっ!八戒ぃっ!?」
「はい、何でしょう?」
ニッコリ笑顔を向けつつ、悟浄の腹に乗ったまま。
じっと嘗めるように悟浄の身体に見惚れている。

マズイ。
このままじゃ俺が喰われるっ!?
ケン兄の二の舞じゃねーかよっ!!

どうにか形勢を変えられないものかと、悟浄は焦りながらグルグルと思案した。
そんなことをしている間にも八戒の細く繊細な指先が、器用にパジャマのボタンを外していく。
追い詰められた頭では、まともな考えも浮かんでこない。
「ちょっ…待て待てっ!!」
どうにか動く手で、悟浄は八戒の指先を握り締めた。
八戒はきょとんと目を瞬かせて、小さく首を傾げる。
「どうかしたんですか?悟浄」
「いやっ…その…え〜っとぉ…」

言え!
とりあえず八戒の気を逸らすようなことを言わないと!

「床が…ああ、そうっ!床が背中に当たって痛ぇの!」
咄嗟に思いついたことを悟浄は口にした。
すると、押さえつけられても蠢いていた八戒の指先が、ピタッと止まる。
「あ…ごめんなさいっ!僕が乗っていたから…痛かったんですよね。何か夢見てるみたいに嬉しくって…余裕がないから」
僅かに頬を染めて、八戒が悟浄の上からいそいそと退いた。
ホッと安堵している悟浄は、次の瞬間目を回す。

八戒がヒョイっと。
軽々悟浄の身体を抱き上げたからだ。

「うえええぇぇーーーっ!?うっそぉっっ!??」
あっさりお姫様抱っこをされてしまい、悟浄の顔が羞恥で真っ赤になる。
「何が嘘なんですか?」
「いや…だって…八戒さんって、見かけによらず力持ちね…」
「ああ、そういうことですか。僕普段から子供達を2人とか3人いっぺんに持ち上げたりしますからね。意外と保父って肉体労働なんですよ♪」
「へ〜大変そうだなぁ…って、そうじゃなくって!恥ずかしいからヤメロよぉ〜っ!!」
悟浄は身体を捩って暴れてるつもりでも、実際腕しかまともに動いてない。
大事そうに八戒に抱えられた状態で、悟浄はポカポカと肩や背中を叩いた。
「どうして?ここには僕と悟浄しかいないのに…何で恥ずかしいんですか?」
心底不思議そうに問われて、悟浄が真っ赤な顔のままグッと口を噤む。

人に見られて、とかそういう問題じゃなく。
オトコがお姫様抱っこされて喜ぶ訳ねーだろうっ!!

黙って悟浄が睨んでいると、八戒がふわりと微笑んだ。
そのままスタスタと歩き出す。
足取りの向かっている先は、悟浄の寝室。
それが分かると、悟浄の顔色がサーッと真っ青になった。
八戒は豪快に足で扉を蹴り開けると、大きなキングサイズベッドに近寄る。
そっと。
壊れ物を扱うように、大事に悟浄はベッドへと下ろされた。
今度はあまりの羞恥に全身真っ赤に紅潮させる。
真っ赤になったり真っ青になったり。
クルクル変わる表情を、八戒は陶然と見つめる。
「悟浄…」
本格的にのし掛かられて、悟浄の顔が思いっきり引き攣った。
相変わらず天蓬お手製の薬は、バッチリとキまった状態。
それどころか、さっきよりも状況は最悪になっている。
着ているパジャマの布が肌を擦れるだけで、妙な声を上げてしまいそうだ。
正にデッドエンド。
悟浄の思考が現実逃避をし始める。

コレは夢、夢なんだっ!
きっと目が覚めたら、普段と変わらない朝で。
俺はまた八戒を口説きに保育園へ出かけるんだ!

ぼんやりと虚ろな表情で、悟浄は近付いてくる八戒の顔を眺めている。
繊細で、本当に綺麗な顔。

しかし。
その瞳に欲情を湛えた光を見つけると、悟浄は我に返った。
「あ…はっか…い…っ!」
「悟浄…好き…大好きです…」
そっと、八戒の柔らかい唇が触れてくる。
啄むように何度も何度も。
「ん…っ」
辿々しい口付けに擽ったさと物足りなさを感じて、悟浄は無意識に唇を開いて舌先を覗かせた。
悟浄の媚態に八戒は微笑み、期待に応えるべく今度は深く口付けてくる。
絡みついてくる舌を捕らえてキツク吸い上げると、悟浄が大きく喉を仰け反らせた。
口腔の粘膜を舌先で擽ると、悟浄の身体に痺れるように大きな快感が湧いてくる。
「あ…んぅ…っ」
出したくなくても、喘ぎ声が胸を迫り上がって漏れ落ちた。
身体中が昂ぶって、もどかしい。
口端を伝い落ちていく唾液の感触にさえ、肌が震えてしまう。
段々と悟浄の意識が、快感で麻痺してきた。
ただ夢中になって、執拗に舐る八戒の舌に応えて。
「は…あ…っ」
漸く唇が解放されると、肺が空気を欲して喘いだ。
悟浄はぼんやりと潤んだ瞳で視線を彷徨わせる。
耳朶を擽る微かな笑い声に首を竦めた。
「悟浄…凄く可愛いです」
「んっ!」
首筋を濡れた舌で舐め上げられ、悟浄は喉を詰まらせる。
そんな些細な愛撫で、全身の神経がソコに集中したように感じてしまっていた。
悟浄の肌がゾクリと粟立って、呼吸が乱れてしまう。
褐色の肌を八戒の指が、唇が、舌が。
確かめながら触れてきた。
時々チリッと刺すような痛みに、悟浄は眉を顰める。
僅かな痛みでさえ、悦びに変えてしまう淫らな身体。
ただ悟浄は堪えられずに、素直に嬌声を漏らした。
「悟浄…ちょっと腰上げますからね?」
朦朧とした意識の中、悟浄は緩慢にコクンと頷く。
八戒はパジャマのウエストに指を掛けると、下着ごと取り払った。
肌を撫でる冷たい空気に、悟浄の意識が戻ってくる。
「あ…え…ええっ!?なっなななな何だぁっ!?」
気が付けば。
一糸纏わない全裸で、悟浄はベッドに転がっていた。
悟浄は唖然として我が身を眺める。
「どうしました?そんなに大きな声出して??」
悟浄の脚の間にキチンと正座して、八戒は不思議そうに小首を傾げた。
その姿の愛らしさに、悟浄は一瞬自分の状況を忘れそうになる。
「えっとぉ…い…何時の間にこんな…コトにぃ〜」
つい情けない程、声が裏返った。
「ああっ!ごめんなさい…ついパジャマを脱がせるのに手間取ってしまって。早く触って欲しいんですね!」
「うえっ!?やっ…やややや…そんなんじゃ…っ!」
勝手に納得した八戒は、ニッコリ微笑んで悟浄の脚をガバッと広げる。
「いやぁ〜んっ!八戒のエッチぃっ!!」
冗談で済まされないと思っていても、悟浄はどうにか軽口で逃げようと試みた。
悟浄の声に、八戒は目を丸くする。
瞬間ポッと頬を染めて、視線を落とした。
「エッチだなんてそんな…だって悟浄のココだってこんなに硬くなって…あ、何かいっぱい溢れてきて…スッゴイいやらしいですっ!!!」
「恥ずかしそうに、詳細な実況中継すんなっ!!!」
「もぅ…悟浄ってばせっかちなんですねvvv」
「ちぃ〜がぁ〜うぅ〜〜〜っっ!!!」
八戒が頬を紅潮させながら、悟浄の性器をきゅっと握り締める。
強烈な刺激に、悟浄の肩が大きく跳ねた。
「んあぁっ!ちょっ…うわわっ!そんな…っ」
急速に淫靡な熱が、自身の雄へと集中し出す。
心臓が口から飛び出そうな程、バクバクと激しく鼓動した。
「悟浄の…僕の手でこんなに大きくなって。ドクドク脈打って…凄い熱いです」
手触りを確かめながら、八戒の指が悟浄の雄をゆっくり上下に扱く。
「はっ…んぁっ…やめ…っ…かいぃ!」
グングンと腰から迫り上がってくる快感に、悟浄はただ首を振り続けた。
その啼き顔を、八戒はウットリと見下ろす。
グッと力を入れて激しく擦ると、呆気なく悟浄の性器は弾けてしまった。
勢いよく飛んだ飛沫が、八戒の顔までも汚す。
「はぁ…はぁっ…」
強すぎる快感に、悟浄は言葉も出ずに激しい呼吸を繰り返した。
「…気持ち悦かったですか?」
聞こえてくる声にも何も考えられず、訊かれるままに何度も頷く。
「よかったぁ…」
その声に悟浄は反応して視線を向けた。
嬉しそうに鮮やかな笑みを浮かべる八戒の姿。
だけど。
顔や指を濡らしている悟浄の残滓を、赤い舌を這わせてネットリと舐め取っている。
淫靡な色をその瞳に湛えて、悟浄を見つめた。
「あ…っ」
悟浄の背筋をゾクゾクと卑猥な熱が駆け上がる。
八戒から視線が外せない。
「ねぇ…悟浄?」
スッと双眸を眇めて、身を乗り出す。
「悟浄のココ…舐めてもいい?」
八戒の指先が、未だ半勃ちで震えている雄の先端を指で撫でた。
「んあぁっ!?」
薬で過剰な程敏感になってるのに加えて、弱い部位に触れられた悟浄は甘い嬌声を漏らす。
それだけの刺激で、肉芯はビクンと震えてすっかり勃ち上がった。
「何だかお強請りされてるみたい…嬉しいですっ!」
ペロッと唇を舐めて湿らせると、八戒の頭がゆっくり落ちていく。
濡れた感触が性器の根元から先端までを辿りだした。
「ひゃっ…あっ…あぁっ!?」
八戒の舌先が何度も何度も悟浄のモノを確かめるように、ネットリと舐め上げていく。
「あっ…ちょっ…八戒っ!はぁ〜っかいぃぃっっ!!たんまっ!ちょい待ちっ!!」
突然焦った声が八戒を呼んだ。
ウットリと味わっていた八戒は、一度先端に口付けると顔を上げる。
「…何ですか?」
興奮で頬を染めた卑猥な表情に、悟浄はゴクンと喉を鳴らした。
八戒も舐めていることで、相当興奮しているらしい。
「あのっ…さ…頼み…あんだけど」
「頼み…と、言うと?」
「俺の身体…背中上げたいんだけど。ベッドヘッドに寄っからせてくんない?」
「どうかしました?」
悟浄が何をしたいのか、八戒には分からなかった。
思案していると、悟浄が早く早くと急かしてくる。
「なぁ…このまんまじゃ、八戒が俺の咥えてるトコ、見れねーのっ!」
「は?僕が…咥えて…」
「八戒がしゃぶってる顔が見てぇの〜っっ!!」
悟浄が焦れったそうに癇癪を起こして、腕をバタバタとさせた。
「…ちょっと待って下さいね」
八戒は身体を起こして、悟浄の横に移動する。
すかさず悟浄の腕が、八戒の肩へと回されると慎重に持ち上げた。
腰の位置をずらすと、背中をベッドヘッドに凭れ掛けさせる。
「これでいいですか?」
「ん、さんきゅ。んじゃ早く続きやってっ!!」
瞳をキラキラと期待で輝かせ、悟浄が行為を強請った。
八戒としても催促されて悪い気はしない。
むしろかなり嬉しかった。
いそいそと悟浄の足下に戻ると座り直す。
「早く…シテ?八戒の口ん中に、すっげぇ出したい…」
欲情で瞳を潤ませ卑猥な口調で煽ると、八戒が小さく息を飲んだ。
悟浄としては毎夜夢見ていたシチュエーション。
八戒のあの薄くて形の良い唇に、自分の滾った怒張を咥えさせて、喉奥まで突き上げたい。
溢れる精液であの清廉で綺麗な顔を淫らに汚したいと、ずっと夢想していた。
むしろ嫌がるどころか、頼み込んでもお願いしたいぐらいだ。
それを八戒から進んでシテくれると言うなら、願ったり叶ったり。
ワクワクと行為を待っている悟浄に、八戒は苦笑を漏らす。
悟浄の性器を手にすると、焦らすようにゆっくりと顔を伏せていった。


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