Attraction Garden |
その頃。 同じようにベッドに転がされている弟は。 嘘だ…。 嘘だ!嘘だ!嘘だあああぁぁっっ!! 誰か嘘だって言ってくれーーーっっっ!!! 「ふぁ…っ…んんっ…やぁっ」 うわっ!何このクソ甘ったる〜い声! メス猫の発情期じゃあるまいし。 つーか、何で俺がこんな声出してんだよっ! ぎゃーっ!マジで頼むっ! 誰か俺の口を塞いでくれーっ!! 悟浄の脳内は大騒ぎ。 猛烈な羞恥で憤死寸前。 こんなの自分じゃないと否定したい。 それでも八戒に触れられて弄られて舐められて。 強請るように媚びた声を上げてるのは、間違いなく自分で。 止めて欲しいけど、もっとシテ欲しい。 もっともっと、気が狂いそうなぐらい強烈な快楽が欲しい。 頭も身体も発情して、何も考えられない程。 ケダモノに成り下がり、繋がって淫らに貪ることだけしかいらないように。 そうすれば。 自分の無様な姿を意識しないで済むから。 変に理性が残っているからおかしくなる。 苦しくて苦しくて。 自意識さえもブチ破って、堕ちる所まで堕ちてしまえれば。 でも。 一人で堕ちる気は更々無い。 「は…あっ…も…ヤダ…てっ…ぃつこい…ってぇ…っ」 悟浄がしゃくり上げながら必死で言葉を紡いだ。 散々啼かされ涙でグシャグシャの顔は、未知の快楽で歪んでいる。 バタバタとベッドを叩いて抗議する悟浄に、八戒は漸く顔を上げた。 「でも…悟浄初めてなんですから、充分すぎる程慣らさないとツライですよ?」 クチュリ、と。 悟浄の最奥から、いやらしく濡れた音が立てられる。 「ひゃっ…んな…のっ…知る…か…ぅあっ」 狭い腸壁を慣らすように、八戒の指は悟浄の秘孔を広げながら掻き混ぜた。 3本の指が突き立てられ、ゆっくりと根元から指先まで注挿を繰り返す。 悟浄は仰向けの状態で、腰を八戒の太腿上に臀部を突き出す形で固定されていた。 無理な体勢でギシギシと背骨が軋む。 体勢を変えたくても、薬が回った身体は自分の意思ではどうにもならない。 全てが八戒の思惑通りだ。 探るように前立腺を指で弄られ、悟浄は既に何度も吐精している。 胸も腹も下肢も。 自分の精液でドロドロに汚れていた。 もちろん、八戒の身体も。 それでも滾った雄は、萎えることがない。 八戒に触れられているというだけで、悦んで勃ち上がった。 もっと擦って弄って欲しいと、貪欲な程八戒から与えられる刺激を期待して卑猥な蜜を滴らせている。 「もっ…やく…っ…しろよぉっ!」 際限のない快楽に、悟浄に恐怖感が芽生え出す。 こんなセックス知らない。 今まではシたくなったら、適当にオンナを抱いて。 一時燻った熱を吐き出せればそれで治まったし、充分だった。 身体さえ満たされれば、相手の気持ちなんかどうでもよかった。 でも、八戒とは違う。 自分の思惑とはちょっと…いやかなり違っているけど。 八戒にも俺で満たされて欲しい。 心も身体も全部、俺だけでいっぱいになるぐらい。 だから。 こんな一方的に与えられるだけなんて、ただの排泄行為と同じだ。 俺が欲しいのはこんなもんじゃないのに。 八戒が、欲しい。 それとも、もしかして八戒は。 「っ…く…ぅっ」 小さく上がる嗚咽に、八戒の愛撫が止まった。 「悟浄…?」 心配そうな声音を聞くと、涙腺が壊れたように涙が溢れてくる。 「悟浄?どうしたんですかっ!」 驚いて八戒が目を見開いた。 悟浄の腰に手を掛け、そっと身体をベッドへ下ろす。 「悟浄…」 腕で顔を隠している悟浄に、八戒は手を伸ばした。 そっと髪に触れ、しゃくり上げている悟浄を宥める。 悟浄は嫌がって首を振るが、それでも手で触れ何度も髪を撫でた。 発作的に震えていた肩が、漸く落ち着いてくる。 「悟浄…顔を見せて?」 悟浄が無言でいると、八戒は驚かさないよう腕をそっと掴んだ。 抵抗されると思ったが、すんなりと腕が外れる。 きつい視線で睨み付けながら、悟浄は泣いていた。 唇を引き結んで嗚咽を堪え、真摯な眼差しでただ八戒だけを真っ直ぐ見つめる。 「…どうしてご機嫌斜めなんですか?」 悟浄の髪を優しく指で梳き、涙で濡れる目尻や頬へと唇を落とした。 ぎこちなく伏せられた視線に、八戒は眉を顰める。 何かを言おうと悟浄の唇が動くが、躊躇っているのか言葉にはならない。 八戒も即すことはせずに、根気よく待った。 悟浄の気持ちを落ち着かせるように、何度も触れるだけの口付けを落とす。 悟浄は一体何をそんなに逡巡しているのか? 待っている八戒も次第に不安になってくる。 やっぱり、悟浄は… 「八戒…やっぱり俺のこと…ヤなのか?」 「………え?」 聞き逃しそうな程小さな声に、八戒はつい聞き返してしまう。 想像もしてなかった悟浄の言葉に、呆然と目を見開いた。 何が悟浄をそんな不安にさせてしまったのか、八戒にはさっぱり分からない。 最初こそは割り切ってはいても抵抗があったようで。 しかしそれは精神的に仕方ないだろう。 八戒としては直ぐにでも悟浄と繋がりたかったが、抱かれるのが初めての悟浄を怖がらせてもいけないと、かなり自分を律して我慢していた。 悟浄の身体に優しく触れて、快感だけを引き出すように。 自分の愛撫に感じ始めて乱れる悟浄を見つめながら、何度理性が焼き切れそうになったことか。 それでも渾身の忍耐で耐えて耐えて、ひたすら快楽だけを与え続けた。 ケダモノじみた衝動を抑え、ただひたすら優しく接したつもりだ。 それなのに。 どうして、悟浄は自分の気持ちを疑うのか。 八戒は困惑するしかなかった。 何て言えばいいか戸惑っていると、悟浄の表情が哀しげに沈む。 「どうして…悟浄はそんな風に思うんですか?」 勝手に勘違いされたら困る。 こんなに悟浄が好きで好きで堪らないのに。 貴方にだけは嫌われたくないから、本当の醜い気持ちは抑え込んで。 何で分かってくれないんですか。 八戒の顔が泣き笑いに歪んだ。 悟浄が目を見開く。 「好きだから…欲しいんじゃないですかっ!本当に悟浄が好きだから…傷つけたくないから…っ僕は我慢して」 「へ?何で我慢すんの??」 「何で…って」 八戒は言葉を詰まらせた。 さすがに本音を白状するのは躊躇する。 「だってさぁ〜こんな俺だけ悦がらせられてるのって、すっげヘンじゃん」 拗ねた表情で睨まれて、八戒は内心で焦った。 え?あれ??気持ち悦いのがイヤってこと…なんですか??? 「こんなんじゃ、人に手伝って貰ってる自慰と変わんねーよ。俺がシたいのは八戒とセックスなのっ!」 「えーっとぉ…」 悟浄が何を言おうとしてるのか分からず、ただ八戒はオロオロしてしまう。 悟浄は察して貰えない八戒の鈍さに、溜息を吐いた。 「俺だけじゃ…八戒と一緒じゃねーと、気持ち悦くなれねーよ」 「悟浄…っ」 「だからっ!俺も我慢したくねーから、お前も我慢なんかすんなっ!」 真っ赤な顔で怒鳴ると、悟浄はプイッと視線を逸らした。 「でもっ!あの…そのぉ〜」 「なぁ〜んだよ?俺の身体散々弄んだクセに、やっぱり気が変わったとか言うんじゃねーだろうな?」 「弄んだなんてっ!そんな風に思ってるんですか…」 「ばかっ!マジに取るなっての!違うってならハッキリ理由言えよ」 拗ね気味に悟浄が問い質すと、八戒が目を瞬かせる。 「えっと…ですねぇ…」 ポッと頬を染めて、チラチラと視線を悟浄の股間へ。 「な…に?何だよ??」 何となく嫌な予感が。 悟浄の口元が引き攣った。 「あの…悟浄のお尻の穴…小っちゃくて可愛いから、僕のモノはまだちょっとキツイかなぁ〜って」 「……………あ?」 つい言われて条件反射に、八戒の股間を覗こうとする。 そこで、悟浄は我に返った。 「ちょっと待て。挿れるとか言う前に、お前パジャマ着たままじゃねーかよっ!」 そうだった。 悟浄は既に八戒に身ぐるみ剥がれて、すっぽんぽんの丸裸。 片や八戒は。 未だにきっちりパジャマを着込んだまま乱れてもいない。 悟浄に指を差されながら指摘されると、八戒は頬を紅潮させて俯いた。 「そんな…だって恥ずかしいです」 「俺の方がもっと恥ずかしい格好散々されてるわっ!」 さすがに呆れ返って、悟浄は大声で喚く。 ボタンを弄ってもじもじしている八戒を、悟浄は思いっきり睨んだ。 「俺だって八戒のヤラしい身体見たいっ!さっさと脱げっ!!」 「ヤラしいって…」 「八戒だってアソコ、勃ってんだろ?」 「それは…そうですけど」 「んじゃ、俺にも見せろ」 「…そんなに見たいモンなんですか?」 「別に八戒のナニが見たい訳じゃなくて、八戒の感じてる証拠が見たいのっ!」 「成る程…ね。分かりました」 八戒は漸くパジャマのボタンに指を掛ける。 「あーっ!ちょっと待て!」 「今度は何ですか?」 「俺にも見えるように脱いで♪」 「はいはい…」 八戒は膝立ちすると、ボタンを次々外していった。 悟浄は動けないながらも、食い入るように八戒を見つめる。 「あーっ!もうっ!!俺が脱がしたかったのに〜っ!!」 悔しそうに叫んで、悟浄がジタバタと手を振り回した。 八戒は苦笑しながら、パジャマの上をベッドサイドに投げ落とす。 目の前に晒された八戒の白い肌に、悟浄は思わず息を飲んだ。 ベッドに手を着いて、悟浄の身体を跨ぎながら八戒が躙り寄って来る。 「悟浄…」 「な…に?」 蠱惑的な微笑みに、悟浄の下肢がズクンと疼いた。 「下は…悟浄が脱がして下さい。腕は動くでしょ?」 「あ…うん…」 八戒は悟浄の頭上まで摺り上がって、腰を浮かせる。 視線を上げれば、肌理の細かい艶やかな肌と、薄く色付く小さな乳首。 うわっ!うわっ!!すっげ旨そう〜っ!!! 弄りてぇ〜舐め回してぇ〜よぉ〜っっ!! でも…コワイ。 「悟浄?」 「なっ…何でもね…っ」 ちょっと涙目で視線を虚ろに彷徨わせながら、悟浄は八戒の腰に手を回した。 |
Back Next |