White day Attraction |
ラブラブな夜に期待と股間を膨らましてニヤけている弟とは対照的に兄は。 「…逃げてぇ」 捲簾はぼやきながら、ブクブクとバスタブの中に沈んでいく。 簾は天蓬へお返しのプレゼントを渡すと満足したのか、すぐに眠いと言いだす。 結局二人におやすみの挨拶すると素直に自室へ入った。 今頃はすやすやと熟睡しているだろう。 いよいよ二人っきりになってしまった。 どうすればいいか困惑して、捲簾はソファに寄り掛かって俯く。 別に天蓬とセックスするのは嫌じゃない。 二人っきりなら尚更ヤッて当然、今日だってかなり期待してる。 しかし。 天蓬の期待は捲簾とは別物で。 「何だってホワイトデーにSM紛いのプレイなんかしなきゃなんねーんだよぉ…」 捲簾は項垂れると、ラグマットの繊維をブチブチと指で千切った。 小声で独り言ちている捲簾に天蓬はテレビの画面から目を離して、分からないようにチラッと視線を向ける。 うーん。 何だか必要以上に強張っているというか、警戒してますねぇ。 本人も散々遊んできたと豪語していたのに、意外とセックスはノーマル派だったようだ。 それこそ色んなことをし尽くしてきたと思っていたけど。 尤も、していたとしても立場が逆転なら、していないのと同じだと天蓬は気付いていない。 自分に都合良く天然ボケが入っていた。 顎に指を掛けると、天蓬は暫し思案する。 僕としては折角揃えた道具で、捲簾と一緒に楽しみたいんですけど。 あんなに緊張されたんじゃ、捲簾は楽しむドコロじゃないですよねぇ。 さて、どうしましょうか。 いきなりズラズラと道具を並べて『さぁ、しましょう!』じゃ、捲簾も引いてしまうだろう。 少し緊張を解してからの方がいいのかもしれない、と天蓬は考えた。 どうせなら1発抜いて…2発でもいいけど、その後に快感で頭が飛んでるうちに拘束してしまえば、捲簾だってソノ気になるだろう。 天蓬は優秀な頭脳を無駄遣いして、捲簾攻略作戦を高速回転で導いた。 決めてしまえば、即実行。 「…捲簾?」 「うわっ…なっ…何っ!?」 天蓬に声を掛けられただけで、この大袈裟な反応。 捲簾はギクリと肩を跳ね上げると、声をひっくり返して返事をした。 「捲簾、お風呂まだなんでしょう?帰ってきてから食事作ったり片づけもしてたし。ゆっくりお湯に浸かってきてはどうですか?」 「え…あぁ。でもお前の方がいちおう客だし」 「僕は後でいいですよ。テレビでも見てますから。丁度面白いとこなんですよねぇ」 天蓬に言われて、捲簾は目を丸くする。 そういえばさっきからテレビは付けっぱなしだ。 普段捲簾の所に来ても、天蓬は殆どテレビを見ない。 珍しいなと思って、捲簾はテレビ画面を覗いた。 「何?何の番組やってんの?」 「死霊のはらわたです。僕スプラッタームービー大好きなんですぅvvv」 「………先風呂入ってくる」 タイミング悪く内蔵が飛び散る場面を見てしまった捲簾は、慌てて視線を逸らすと立ち上がった。 ホラーは好きだが、どうも内蔵グチョグチョ系のスプラッターは苦手だ。 捲簾は一度自室に入って着替えを取ると、視界にテレビ画面が入らないよう避けながらバスルームへ向かう。 すぐにパタン、と扉の閉まる音が聞こえてきた。 天蓬はずっと捲簾を視線で追っていたが、ふと小さく首を傾ける。 「捲簾って…恐がりさんなんですかね?」 人の内臓など日々見られている天蓬には、捲簾の気持ち悪さは理解出来ないだろう。 「ま、そう言うトコロは可愛らしいですけどね。今度捲簾と遊園地に行って一緒にホラーアトラクション入りたいなぁ」 仕掛けに怯える捲簾は鼻血を吹きそうな程愛らしいだろう、と天蓬は妄想した。 相変わらずテレビからは、断末魔の叫び声がこれでもかと聞こえている。 天蓬はリモコンを手に取ると、ボリュームを落とした。 途端に室内が静かになる。 バスルームの方から僅かに水音が聞こえてきた。 「…さてと、あと10分かな」 壁掛けの時計を見上げて時間を確認すると、天蓬は意味深に呟いてほくそ笑んだ。 ぬるめの湯にボンヤリ浸かっていると、脱衣所で影が動いた。 何だ?と思って目を向けると、ドアが小さく開いて隙間が出来る。 「けーんれんvvv」 天蓬が僅かにドアを開けて、顔だけ覗かせた。 「ん?どーかしたのか??」 沈み掛かっていたバスタブから身体を起こすと、縁に腕を掛けて天蓬を見遣る。 「一緒に入ってもいいかなーって?」 「あ…いっけど」 捲簾が了承すると、天蓬は嬉しそうに微笑んでバスルームに入ってきた。 もちろん言うまでもなく全裸だ。 惜しげもなく裸体を晒して、堂々と捲簾の目の前に立つ。 つられて天蓬の顔を見上げると、ニッコリ笑ってシャワーコックを捻った。 少し熱めの湯が勢いよく天蓬へ降り注ぐ。 捲簾は身体を洗い流している天蓬を観察した。 こうして明るい光の中で天蓬の裸体を見るのは初めてかもしれない。 初めて天蓬に抱かれた時も一緒に風呂へ入ったが、捲簾は意識朦朧としていて殆ど覚えてなかった。 改めて天蓬の身体に視線を向ける。 どちらかといえば細身の部類だが、しっかり付くべき所にはしなやかな筋肉があって締まっていた。 儚いイメージは欠片もない。 これなら簡単にヒョイヒョイ捲簾を抱き上げて、放り投げて、動けないよう押さえ込むのは簡単だろう。 天蓬が意外に逞しいのはこういうことなのかと納得した。 それとは対照的に肌は白く肌理細かい。 物臭でろくな手入れなどしていないだろうに、肌は水を弾いている。 乙女真っ青だ。 捲簾は徐々に視線を下げる。 体毛は薄い方だ。 腋も脛も生えていない訳じゃないがかなり薄い。 大事な所を覆う毛は、まぁ人並み標準という感じか。 で。 オトコの象徴とも言うべき部分は。 「ゲッ!?」 捲簾の叫び声に、天蓬が振り向いた。 「どうかしましたか〜?」 どうかしましたも何も。 「…何で勃ってんだよ」 天蓬の性器は思いっきり筋を浮き立たせて勃起していた。 まだ何もしていないのに、一体どういうことか? 捲簾は赤くなったり青くなったり。 挙動不審に視線を泳がせている捲簾に、天蓬が小さく笑いを零した。 身体の泡を全て洗い流すと、シャワーコックを捻って湯を止める。 「…捲簾?」 天蓬は確信犯だ。 わざと捲簾の目の前に立ちふさがって、滾った雄を突き付ける。 「まだ何にもシテねーじゃん…何ソレ」 チラッと天蓬の肉芯に視線を向けると、指先で先端をピンッと弾いた。 途端に天蓬の雄は硬度を増して膨張する。 「うわっ…即効だな、おい」 「捲簾が可愛らしく悪戯するからでしょーvvv」 「誰が可愛いだ、バカ」 ムッと不機嫌そうに睨むと、天蓬が人の悪い笑みを浮かべた。 バスタブの開いている捲簾の向かい側へ、強引に身体を滑り込ませる。 派手な水音を立てて、湯が排水溝へ流れていった。 「静かに入れよな〜。お湯減ったじゃねーか」 「まぁ、どっちみち僕の分だけ減るでしょ?」 「あー言えばこー言う…」 捲簾はバスタブに凭れ掛かると、深々と溜息を零す。 とりあえずムカつくので、向かいに入った天蓬を足蹴にした。 「ほらぁ〜捲簾こそそんなに暴れたら、もっとお湯減っちゃうでしょう〜身体が寒いじゃないですか」 「だったらお湯足せよ」 ムスッと不機嫌そうに睨み付けても、天蓬は全く懲りない。 ニコニコと微笑むと、捲簾を手招いた。 「何だよ?」 「お湯減って寒いんで、代わりに捲簾が暖めて下さ〜いvvv」 「あぁ?」 「コッチに来て背中向けて下さいよ」 「…しょーがねぇな」 湯で暖まったせいだけではなく捲簾は頬を染めると、湯を掻いて天蓬の方へ近付いた。 クルッと方向を変えると、天蓬の胸元へ背中で寄り掛かる。 天蓬は嬉しそうに捲簾の身体に腕を回すと、ギュッと抱き竦めた。 「暖かいです〜vvv」 「そりゃヨカッタな」 素っ気ない返事を返すと、捲簾は小さく深呼吸する。 さり気なさを装ってはいるが、心臓が心拍数を上げてバクバク鳴っていた。 抱き締めた腕から伝わってるんじゃないかと、捲簾は内心気が気でない。 赤らむ頬を隠そうと俯いて、何とかこの場を誤魔化そうと考え込んだ。 早く天蓬を風呂から出さないことにはマズイ状態に陥る。 湯に沈んでいる捲簾の股間は、天蓬に触れられただけで形を変え始めていた。 どうしようかと思案していると、捲簾を拘束していた腕からふっと力が抜ける。 天蓬の右手が。 湯を掻いて捲簾の膝頭を撫でさすった。 小さく捲簾は身体を強張らせる。 ゆっくりと。 指先で掌で。 執拗に膝を愛撫する。 「…天蓬…っ」 捲簾が慌てて天蓬の右手を押さえ、卑猥な動きを封じた。 「どうして?」 天蓬が背後から捲簾の首筋に口付ける。 舌を這わせて吸い上げ、甘噛みしながら、剥き出しの首筋や肩口に朱を散らした。 「んっ…ちょっ…待て…こんなトコじゃ逆上せ…っ」 捲簾が嫌がって首を振るのと同時に、天蓬の掌が太腿を滑り落ちる。 「んぁっ!」 バスタブの水面が大きく波打った。 縁から勢いよく湯が跳ねる。 「やだなぁ捲簾ってば…いつからココこんなにしてたの?」 天蓬が捲簾の雄を捕らえて強く握った。 緩急付けて上下に擦り立てる。 「や…っ…バカッ…湯が…汚れっ」 「もう充分暖まってるでしょ?後はお湯を抜くだけなんだから大丈夫」 捲簾は天蓬の腕から逃げようと身体を蠢かせた。 しかしそれを封じるように肉芯を擦られ、腰から力が抜けてしまう。 「てんぽっ…やだって…ぇ」 背筋を駆け上がる痺れに、捲簾は身体を震わせ声を詰まらせた。 感じやすい先端を指の腹を擦りつけてクルリと撫でられると、嗚咽の中に甘い嬌声が混じり出す。 天蓬は焦らすことをせずに捲簾を急激に追い上げ、燻る快楽を煽り立てた。 次第に拒絶も無くなり、捲簾は天蓬の指の動きに合わせて腰を揺らめかせる。 「捲簾…気持ち悦い?」 「う…んぅ…っ」 ガクガクと捲簾が頷いて返事を返すと、天蓬は嬉しそうに口元を上げた。 「もっと気持ち悦いコト…しましょうか?」 顔を捲簾の耳朶に寄せると、舌を差し込んで舐りながら睦言を吹き込む。 肉芯を弄るのと逆の掌が、ゆっくりと湯の中で沈んで脚の付け根に触れた。 何をされるのか分かって、捲簾が脚を閉じようとする。 天蓬は捲簾の脚を強引に割り開くと、身体の最奥まで指を伸ばした。 「バカッ!ココじゃお湯が入っ…うあっ!?」 湯で温められ解れている襞を掻き分け、天蓬の長い指先がズブズブと潜り込んでいく。 一息に根元まで収めると、今度はその指に添えられてもう1本捲簾のナカへと挿入された。 「うっ…ん…っ」 ナカに咥える異物感と隙間から入ってくる湯が嫌で、捲簾は体内で蠢く指を締め付ける。 しかしその行為が返って逆効果で、咥え込んでいる指の存在をリアルに感じてしまう。 天蓬の行為を覚えている肉癖は悦んで絡みつき、最奥に引き込む動きを見せ始めた。 「スゴイですよ…捲簾のナカ。嬉しそうに咥え込んでヒクヒクしてますね」 「ぅ…っ…言うなぁ」 捲簾は全身を真っ赤に紅潮させ、身体を痙攣させる。 その間も身体は勝手に蠢いて、腰が天蓬の指へ擦り付けるように上下に揺れた。 「大丈夫、ちゃんと達かせてあげますから…泣かないで?」 「あ…も…いっ…から…早く…ぅっ」 根負けした捲簾は抵抗するのを止めると、今度は積極的に自身の快楽を追求し出す。 捲簾の淫猥さに、天蓬は双眸を眇めて魅入る。 焦らすこともせず、捲簾を絶頂に導いて指を激しく注挿した。 「ふぁっ…あ…っ…ソコッ…もっとグチャグチャにっ…掻き回して…ぇ」 捲簾は身体を前傾にすると、天蓬へ向かって腰を振り立てる。 湯が激しく波立ち、縁から多量の湯が溢れ落ちた。 捲簾の腰が痙攣し出したのを目に留め、天蓬は更に秘孔と肉芯を乱暴に愛撫する。 「あ…あぁっ…も…ダメぇ…出るっ」 ビクンと身体が跳ね上がると、捲簾の動きが止まった。 ゴポッとバスタブの中で、硬くなった先端から白濁が勢いよく流れて湯に溶けていく。 目を見開いて宙を向いていた捲簾の瞳が、達した快感でトロンと蕩けて焦点がなくなった。 すると。 「あっ!捲簾っ!?」 ガクリと身体から力が抜けて、湯に沈みそうになる。 慌てて天蓬が抱えると、欲情を孕んだままの瞳で天蓬を見上げてうっすら微笑んだ。 「…捲簾?」 軽く頬を叩いてみても、頭の中が飛んでいるのか反応が無い。 「さて。これからですね」 天蓬は扇情的な笑みを浮かべると、捲簾を抱き上げ急いでバスタブから出た。 |
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