White day Attraction



何だか妖し気な雰囲気の八戒に再度のし掛かられ、悟浄はベッドでわたわたと慌て出す。
「はっ…八戒落ち着け!な?」
「貴方のそんな可愛らしい姿を見て、落ち着ける訳ないでしょう?」
「おまっ!ぜってぇ目クサッてるぞ!!」
悟浄が顔を引き攣らせながら、ベッドの上をジリッと後ずさった。
しかし図体のデカイ男二人が乗ってるベッドでは、逃げ切れる程広くもない。
すぐにベッドヘッドに背中がぶつかり、悟浄は可哀想なぐらい硬直した。

別に八戒とセックスするのはイヤじゃない。
それこそ今更だろう。
だけど。
こんなオンナみたいな格好で犯されて喘がされるのだけは絶対イヤだった。

悟浄は錯乱しているせいか、自分で自分を追いつめた事実を都合良くすっかり忘れていた。
気分的には無理矢理八戒に襲われる可憐な乙女気分。
今なら恐がって怯える処女の気持ちが分かるぞっ!と、悟浄は心の中で涙ながらに握り拳を上げた。
必要以上に怯えている悟浄を眺めて、八戒は不思議そうに小さく首を傾げる。
「どうかしたんですか?悟浄」
「………ヤダ」
「え?」
「こんな格好じゃい〜や〜だ〜っ!」
悟浄は子供みたいに抵抗して手足をバタつかせた。
「イヤも何も…だって買ってきたのは悟浄じゃないですか」
「それはっ!そ…だけど…でもっ!俺が着る為に買ったんじゃねーしっ!」
「だって。僕が着ないなら悟浄が着るしかないでしょう?」
「………………は?」

一体その論法は何なんだ?

悟浄が呆気にとられてるにも係わらず、八戒はニコニコと上機嫌に頬笑む。
「それに絶対着ませんけど、僕が着るより悟浄の方が愛らしくて似合ってますよ」

コレのどこがっ!?

思わず悟浄は八戒から視線を逸らして俯いた。
スケスケのネグリジェの中身は殆ど丸見え状態。
今時のAVだってもうちょっとボカシが入るだろうというぐらい、股間で項垂れた息子サンがはっきり分かる。
茫然自失で悟浄が内心涙に暮れていると、唐突に足首をガッチリ掴まれた。
「へ?はっ…はっかいさぁ〜ん??」
思わず声を裏返らせて八戒を見つめると、そのまま勢い良く引き寄せられる。

ゴツッ!

「イデッ!?」
悟浄はベッドヘッドに後頭部を打ち付けながら、あっという間に仰向けで寝かせられた。
すかさず八戒が真上から悟浄を押さえ込んで見下ろしてくる。
「ご・じょ・お〜vvvもしかして僕のこと焦らして面白がってるんですか?」

そんな余裕があるわきゃねーだろっ!!

悟浄は頬を引き攣らせて必死に首を振った。
見上げた先には欲情でギラつかせた、八戒の雄クサイ眼差し。
唇を舐めて艶然と頬笑む姿は、震えがクル程卑猥だ。
「そんなに可愛らしく焦らされたら僕…歯止め利かなくなりそうですよ」

お前の下半身に自制心なんかあったのかっ!?

メチャクチャ喚きたいが、今そんなことを言っても火に油を注ぐだけ。
悟浄はひたすら身体を強張らせて、無駄だと思いながらも縋るように八戒を見つめた。
すると。
不意に八戒は額を抑えてクラッと身体を揺らす。
「僕としたことが…焦らしていたのは僕の方なんですねっ!」
「………はぁ〜いぃ〜??」
「そんな期待を込めて悟浄に見つめられるなんて…ごめんなさい。でもっ!もう焦らしたりしませんからね?今日はホワイトデーですし、いつもよりいぃ〜っぱい、愛してあげますからvvv」
「なっにいいいぃぃーーーっ!?」
悟浄が叫ぶのと同時に、無情にも悟浄の下肢は八戒の手で大きく左右に開かれてしまう。
「うわわわっっ!?」
これでもかと丸見えになってしまった股間を、悟浄は慌ててネグリジェの上から押さえて隠した。
「お…落ち着けっ!な?な??」
「そう言う風に恥じらう悟浄も…新鮮でイイですねぇ」
「嘘おおおぉぉっっ!?」
悟浄はズルズルと自ら墓穴の底なし沼に沈んでいく。
暖簾に腕押し。
俄然ヤル気満々の八戒に何を言っても無駄らしい。
返って欲情を煽るだけ。
スルリ、と。
八戒の掌が悟浄の内股をゆっくりと撫で上げる。
「んっ!?」
慣らされた身体はビクンと震え、無意識に下肢を大きく開いてしまった。
八戒の目の前に、双丘の最奥までも晒け出してしまう。
「あ…っ!」
悟浄は我に返って脚を閉じようとするが、間に入った八戒の腰が阻んだ。
「どけ…よ」
全身を羞恥で染めた悟浄が、バツ悪そうに小さく呟く。
こんないかにも『弄って下さい』と言わんばかりの格好が、どうにも落ち着かない。
居心地悪気に腰をもじもじ捩ると、悟浄の脚を更に割り開いて八戒が身を乗り出してきた。
密着した下肢に触れる、熱く硬いカタマリ。
身体は悟浄の意志に反して、期待で肌をゾクゾク粟立たせた。
隔てているとは言えないような生地の上から擦り付けられると、次第に悟浄の雄も屹立してしまう。

あー、もう。オトコってた〜んじゅん。
こんなのすっげぇヤなのにさ、相手が八戒ってだけでコレだもんなぁ。

節操のない息子だと分かっていても、つい愚痴りたくもなる。
「悟浄のも…勃ってきましたねvvv」
すっかり勃起した雄は、薄い生地を持ち上げてしまっていた。
これでは嫌がっていても説得力なんか無い。
我ながら呆れて溜息を零すと、八戒が柔らかく口付けてきた。
「悟浄が啼いて悦がっちゃうぐらい、エッチなことシテあげますね」
楽しそうに頬笑む八戒を悟浄はじっと見上げる。

確かに、エッチなコトも気持ちいいことも大好きだ。
ましてや八戒から快感がもたらされるとなれば尚更。
悟浄は眉間に皺を寄せて小さく唸る。

「どっちかってゆーとぉ〜俺が八戒のこと悦がらせたいなぁーって…」
「はい?何か言いましたか?悟浄ってば」

眩しいぐらいの笑顔を浮かべて、いきなり八戒が悟浄の肉芯をギュッと掴んだ。
湧き上がる快感に思わず腰が浮いてしまう。
薄い生地の上から指の腹で撫でるように扱かれると、味わったことのない感触で妙にクル。
ジワッと先端の割れ目から先奔りの粘液が滲み出した。
「ひあ…あっ」
「あれ?ネグリジェ…悟浄のいやらしい液で濡れてしまいましたね」
生地ごと上下に擦り立てられると、溢れ出る粘液で生地を湿らせていく。
粘液を一杯に吸った生地が、八戒の手の中でグチャグチャと淫猥な音を上げた。
いつもとは違うシチュエーションに、悟浄の身体も昂まるのが早い。
「んっ…はっか…い…もっと…っ」
直接性器を愛撫されるのも悦いけど、何だか物足りなかった。
もっと身体中で八戒を感じたい。
もどかしそうに腰を蠢かせても、八戒はじっと悟浄の表情を眺めながら掌でしか触れていなかった。
悟浄は息を乱して、快感に蕩けた瞳で八戒を誘うように見つめる。
「八戒ぃー…こんな…じゃ…足りねぇ…よ」
「そうですか?悟浄のココは凄く気持ち悦さそうですけど?」
八戒は艶やかに頬笑むと、爪の先を先端のクチに捻り込んだ。
「ひっ…い…ぃ」
強烈な刺激に悟浄が背中を仰け反らせて、呆気なく果ててしまう。
噴き出した白濁が、薄い生地を濡らして性器を浮き上がらせた。
脚を閉じることも忘れて、悟浄が大きく胸を喘がせる。
「…いっぱい出しちゃいましたね」
「あ…っ」
八戒の声に我に返った悟浄は、カッと全身に朱を散らせた。
ネグリジェの裾は、悟浄の精液でグッショリ濡れて下肢に貼りついている。
指先で八戒が持ち上げると、トロリと雫が滴り落ちた。
「ほら、こんな所まで濡れちゃってますよ?」
悟浄の膝裏に手を差し込んで、胸元まで折り曲げる。
必然的に腰を浮かしてしまい、八戒の目の前に最奥の秘処を晒すことになった。
「こんなにヒクヒクお強請りして…嬉しいですvvv」
「うっ!んなの知らねーよっ!!」
真っ赤な顔で悟浄が苦しげに喚き散らす。
八戒にいちいち言われるまでもなく、悟浄は物足りなさを自覚していた。

もの凄ぉ〜っく不本意だけど。
八戒の顔に似合わないでっかいアレ…奥まで突っ込まれてグチャグチャに掻き回されっと、すっげ〜悦いんだよなぁ。
ガンガン脳天までクルっつーか。
だけどな。
俺がっ!そんな『早く挿れて〜んvvv』なぁ〜んて言えるわきゃねーだろぉ〜っ!!
オトコのプライドはどーでもいいけど、無茶苦茶恥ずいんだよっ!!!

悟浄が羞恥心と快楽の狭間でグルグルと煩悶する。

悟浄ってば…相変わらず照れ屋さんですよね。
まぁ、そこがまた可愛いんですけどvvv
そういう悟浄を見れるのは嬉しいんですけど、僕だってオトコですから?
犯りたいモンは犯りたいんですよっ!
ああぁぁ〜っ!早く僕のこの滾りきったモノ、熱い悟浄のナカにブチ込みたいんですがっ!
…今日はもっともっと悟浄の可愛らしいトコロ見たいっていうか。
こういうイベント事でテンション上がってる時じゃないと、悟浄だって乗ってくれなさそうだし。
ですからっ!絶対逃せないチャンスなんですよね〜vvv

八戒はウットリと陶酔しきった瞳で悟浄を舐めるように眺めた。
「悟浄?」
「うっ…だから…そのっ…な?分かんだろ!?」
「そう言われましてもぉ〜?今日は愛のホワイトデーですから。悟浄のシテ欲しいコトなんだって聞いて上げますよ」
「…じゃぁ、ヤラせて?」
「さ。このままズップリとブチ込んじゃいましょうか。別に慣らさなくってもいいですよねっ!!」
「ぎゃああああぁぁっっ!嘘ですっ!ちょっとした茶目っ気じゃねーかよぉ〜っ!!」
据わり切った視線で八戒が器用に笑顔を浮かべるると、悟浄が断末魔の叫びを上げる。
脚を拘束されたままジタバタ暴れる悟浄に、八戒は呆れ返って溜息を零した。
「この期に及んで…まだそんなこと言うんですか」
「この期に及ばなくっても、一生言い続けてやる」
「一生…ですか?」
さも当たり前のようにケロッと告白され、八戒が驚愕で目を見開く。
「あ?そうだけど…死ぬまで言い続けりゃ、お前だってちょっとは心に隙が出来る時だってありそうじゃん?」
「死ぬまで…一緒?」
八戒が震える声で悟浄に問い返した。

それって。
悟浄、分かって言ってるんですか?

「何?八戒変な顔してんぞ?」
突然真っ赤な顔で黙り込む八戒を、悟浄は不審気に見上げる。

ぱた。

「おわっ!八戒っ??」
八戒がいきなり悟浄の上に倒れ込んできた。
慌てて腕を上げて八戒を支える。
「何だよ?どーかした??」
「まさか悟浄から何にも代え難い、もの凄ぉいプレゼント貰えるなんて。ちょっと悔しいです」
「はぁ?俺…食器洗浄機と飴以外、何にも買ってねーけど?」
「物の事を言ってるんじゃありません」
八戒は顔を上げると、悟浄の頬を掌で包み込んだ。
ゆっくり近付くと、触れるだけのキスを瞼や頬、唇に何度も落とす。
「んっ?くすぐって…何だよぉ〜」
優しい唇の感触に、悟浄は首を竦めて小さく笑った。
八戒が鮮やかな笑顔を浮かべる。
「まさか悟浄からプロポーズされるなんて思いませんでした…」
「……………何?」
「ですから。さっき。僕にプロポーズしたでしょう?」
「はぁ?今更何寝惚けたこと言ってんだよっ!?」
「…………………………はい?」
悟浄の勢いに八戒は面食らって瞳を瞬かせた。
「俺、今までだって何度も何度もなーんーどーもっ!言ってたじゃねーかよっ!!」
「…そうでしたっけ?」
「うっわぁ〜っ!ヒデェッ!八戒っ!俺の純真弄んでたのかーっ!!」
「……………純真?」
「疑問を持つトコはソコじゃねー」
首を傾げる八戒を、悟浄は軽く小突いた。
「覚えてねーのかよっ!俺クリスマスん時八戒に言ったじゃんっ!一緒に住もうって…ずっと一緒だって。それからだって俺は毎日毎日八戒に言ってるだろ?」
「だって…一生のコトだとは思いませんでしたから」
「……………ニブッ!」
今まで散々口説いて来たことが全く伝わってなかったらしい八戒の鈍さに、悟浄は目眩がしてきた。
悟浄がショックで呆けていると、八戒は申し訳無さそうに頭を下げた。
「それじゃ、改めて。悟浄、僕のこと貰って下さいね」
「おうっ!」
「もし捨てたりしたら…化けて取り憑いて呪い殺しちゃいますからねvvv」
「…何でそんなコワイことゆーんだよぉ〜!ムードねーぞぉっ!!」
楽しげに微笑みを浮かべる八戒の瞳は全く笑ってない。
どうやら本気で祟り殺されそうだ。
悟浄が顔を引き攣らせてると、ふいに八戒の双眸が優しく和む。
「じゃぁ、ムード重視しましょうか?」
八戒の掌が意味深に悟浄の双丘を撫でた。
意味が分かって、悟浄が僅かに頬を紅潮させる。
「…そうしてくれる?」
「僕の愛情の深さを全てお見せしましょうね」
そう宣言すると八戒は悟浄の手を恭しく取って、指先に舌を這わせた。



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