White day Attraction



目の前にはまん丸い大玉の飴。
八戒は綺麗なピンクの飴を口から出して、意味深な笑顔を浮かべている。
いつの間に飴なんか舐めていたんだろうか。
視線を落とすとベッドの上に飴の入った袋が置かれていた。
何となく。
気のせいでも思いこみでもなく、嫌な予感がした。
ゾクゾクと背筋が怖気て、悟浄は顔を強張らせる。
「は…八戒さぁ〜ん?」
「何ですか?悟浄vvv」

…何だ、その異常に嬉しそうな顔は。

満面の笑顔が空恐ろしく感じる。
悟浄の脳は危険を察知して『逃げろ』と言っていた。
そうは言っても。

この状況で逃げれる訳ねーだろっ!

そんなことしたらどんな報復が待ちかまえているか、考えるだけでチビりそうだ。
全身からドッと冷たい汗が噴き出してくる。
八戒は言った。
『もっと気持ち悦いコトをしよう』と。
そう言って含み笑いを浮かべながら、唐突に口から飴を取り出した。

飴?飴をどうする気なんだ??

この段階で悟浄は八戒の思惑を計りかねていた。
悟浄が買ってきたのは普通に売っている駄菓子の飴だ。
間違ってもアダルトショップに売っているような、怪しい効能があるモノではない。
…それもちょっと考えたのは内緒だ。
生憎甘いモノが苦手な悟浄に分からないが、八戒は喜んで美味しいと言っていた。
何の変哲もない、唯の飴のはず。
ところが。
八戒にはそれだけじゃないらしい。
「この飴…大きいでしょう?」
「まぁ…な」
「小さくならない内は結構口が疲れるんですよね〜」
「…だろうな」
悟浄が見たって飴玉は大きいと思った。
あれだけの大きさがあると舐めるのも大変だろう、と。
口の中で転がすと顎が疲れそうだ。

それが何だって言うんだろう。

八戒が何を言いたいのか分からず、悟浄は眉を顰める。
漠然と察知している危機感と何が起こるか分からない焦燥感で、悟浄はイライラと八戒を睨み付けた。
強気で片意地張り続ける悟浄を、八戒は楽しげに眺める。
「何で怒ってるんですか?」
「何でって…」
別に怒ってる訳じゃない。
単に恐怖心の裏返しで虚勢を張ってるだけだ。
勿論八戒にそんなこと言えない。
「別に…怒ってなんかねーけど」
「そうですか?よかった〜。僕があんまり焦らしすぎるから怒っちゃったのかと思いました〜vvv」
「……………はい?」
悟浄が聞き返すのと同時に思いっきり脚を引っ張られ、バランスが崩れて身体がガクンと落ちた。
俯せに突っ伏したその身体を、今度はすかさずクルンと反転させられる
突然のことに悟浄が目を白黒させていると、上からのし掛かった八戒が覗き込んでいた。
「うん。やっぱりこの方が悟浄の可愛い表情がよく見れますよねvvv」
我に返って自分の状態を確認してみれば。
「うわあああぁぁっっ!!!」
思いっきり秘部を八戒の目前に晒している。
両脚を大きく左右へ拡げられ、身体を折り曲げられていた。
所謂乳児がおしめを交換されている格好で。
突き出してしまっている臀部は、まるで八戒へ差し出されているみたいに不本意な体勢だった。
全身は羞恥で真っ赤になり、悟浄は着ていたネグリジェを必死に下ろした。
「隠そうとしても、これだけスケスケじゃ全然効果無いですよ?」
「うっせー!気分だ気分っ!」
「でもーネグリジェお尻まで届いてないし〜悟浄の可愛いトコロ良く見えますvvv」
「わーっ!見るなっ!見ないで下さいいいぃぃ〜っっ!!」
どうにかこの体勢を崩そうと、悟浄は涙目になって必死に藻掻く。
ところが、余計状況は悪化した。
八戒に押さえ込まれた脚だけでもずらそうと動けば動く程、悟浄の腰は大きく揺れる。
未だ絶好調に欲情中の八戒には、悟浄の仕草は淫らに誘っているとしか思えなかった。
「そんなに焦らなくても、ちゃ〜んと挿れて上げますよ」
「いっ挿れて?なななな何をっ!?」
悟浄の顔色がサーッと真っ青になる。

じょっ…冗談じゃねーっ!

確かに身体へ八戒から執拗な愛撫は施されていたが、肝心の受け入れる秘部はまだ何もされていなかった。
慣らしもしないで八戒のアレを受け入れられる程器用なはずもない。
押さえ込まれているこの体勢だと、今現在八戒のナニがどんな状態だか確認できなかった。
勃っていようが、いなかろうが。
このまま突き挿れられるのだけは勘弁して欲しい。
縋るように悟浄が見上げると、八戒はニッコリと頬笑んだ。
コロンと。
八戒の頬を飴玉が移動する。
「んー、やっぱり1個がやっとですね。それに舐めてもなかなか無くならないし」
悟浄の腿を辿って指先が秘孔まで下りてきた。
震えて開閉している襞を撫でられ、悟浄の身体が小さく竦む。
「でも…悟浄のおクチはいっぱい舐められそうですよねvvv」
「…………………………は?」
「う〜ん、どれぐらい入るでしょう?コレ全部挿れちゃったら僕のが入らないし〜」
興奮気味に一人思案する八戒を、悟浄は目を見開いたまま呆然と見上げた。

今…コイツ何て言った?
いっぱい舐められる?俺のクチが??
この体勢っつーことは、当然八戒がネチネチ弄くってる方のクチだよな?
ソコに挿れる?全部??

八戒は袋の中を覗き込んで、飴玉の数を数えている。
「ちょっと待てえええぇぇーーーっっ!!!」
悟浄の絶叫に、八戒は目を丸くして驚いた。
「あ〜ビックリした。いきなりどうしたんですかぁ?」
「どうしたじゃねーっ!お前俺に何挿れるつもりだっ!?」
「何って…モチロン飴玉ですけど?」

モチロンって何だよ…。

「そんなモン俺のケツに挿れるんじゃねーっ!折角俺が上げたモン粗末に扱う気かよっ!」
「粗末だなんてっ!そんな訳ないでしょうっ!悟浄からもらった大事な飴ですよ!?当然悟浄を気持ち悦くした後に回収して、一粒残さず舐め…」
「うわああぁぁーっ!変態ぃ〜っ!ケツに挿れた飴舐めるとか言うなーーーっ!!」
とんでもないことを平然と言い放つ八戒に、悟浄は半泣きになって怒鳴りつけた。
混乱状態の悟浄を八戒はきょとんと不思議そうに見つめる。
「飴舐めるのが何で変態なんですか?」
「俺のケツに入った飴舐めりゃ充分変態だっ!」
「悟浄のお尻の中…」

ポッVVV

八戒が恥ずかしそうに頬染めて視線を逸らした。
予想外の反応に、悟浄は顔を引き攣らせる。
一体何を考えてるのか。
あまりにも恐ろしすぎて、頭の中が真っ白になる。
夢見るような瞳で切なげな溜息を漏らしている八戒に、悟浄は恐る恐る声を掛けた。
「お…おい?八戒??」
「悟浄っ!」

キラキラッ。

瞳を輝かせながら名前を呼ばれ、悟浄はビクッと身体を跳ね上げる。
「なっなななな何でしょうっ!?」
「今ね?僕、想像してみたんですけど」
「そぉ〜ぞおぉ〜??」
「悟浄のお尻から飴玉がポコポコ出てくるのって…ウミガメの産卵みたいで可愛いですよねっ!」

…ウミガメの?産卵?

悟浄の脳裏に以前テレビで見た感動の場面が浮かんできた。
懸命に母ウミガメが砂地に穴を掘り、涙を流しながら1つ2つと卵をポコポコ産み落としていく健気な姿。

ポコポコ…ポコポコ?

「お前は俺に卵を産ませたいっつーのかあああぁぁっ!!!」
「悟浄ってば何言ってるんですか?人間が卵を産める訳無いでしょう。まぁ、悟浄の卵なら孵化させてみたいですけどねぇ」
「産まないしっ!」
悟浄は仰向けに転がされたまま、癇癪を起こして腕を振り回す。
「あははは〜冗談ですよぉ。悟浄が産むのは卵じゃなくって…」
「卵じゃなくって?」
「コレですvvv」
そう言ってニッコリ微笑む八戒の指先には先程の飴玉。
「まさかっ!?」
この期に及んで漸く気付いても既に時遅し。

つぷん。

「ーーーーーっっ!?」
「あ。簡単に入っちゃいましたvvv」
八戒の舐めていた飴が秘口に押しつけられ、ヌルッと体内に押し込まれた。
悟浄が愕然としている隙に、次の飴玉が八戒の口に放り込まれる。
「んー?やっぱザラメが結構付いてますから、そのまま挿れると痛いでしょう?」
八戒は口をモゴモゴ動かすと、唾液でザラメを溶かして飴玉の表面を滑らかにした。
全てを舐め取ってから、また指で飴玉を口から取り出す。
「ほら、これなら大丈夫ですよ〜」

飴玉を挿れられるのが大丈夫じゃねぇっ!!

文句を言おうとして悟浄が半身を起こした、が。
「ひあっ!?」
八戒の指先が襞に飴玉を強く押しつけ、あっという間に押し込んだ。
腸壁を擦ってゴロンと入っていく飴玉の感触が生々しい。
「は…っかい…っ…このっ!」
「まだ入りますね〜。次3個目ですよ」
「ひっ…ヤメッ!?」
悟浄が制止する間もなく、八戒は3つ4つと飴玉を悟浄の腸内へ次々入れていった。
6個目を入れた所で、八戒が悟浄の様子を窺う。
「どんな感じですか?気持ち悦い?」
「いっわけ…ね…だろ…うっ」
腹の中でゴロゴロ蠢く飴玉に、悟浄は思いっきり顔を顰めた。
八戒が不思議そうに首を傾げる。
「そうですか?じゃぁ、まだ足りないのかなぁ」
「は…あぁっ!?」
悟浄の悲鳴が掠れて裏返った。
これ以上飴玉なんか入れられては堪ったもんじゃない。
どうにかやめさせようと悟浄が身体を起こそうとした、その時。
不規則に腸内で転がる飴玉が、前立腺の突起をグリッと擦り上げた。
「ひゃああぁっ!?」
甘い嬌声を上げて、悟浄は身体を痙攣させる。
飴玉の動きに釣られて、性器が芯をもって熱く脈動した。

ドクン…ドクン。

鼓動が全て股間に集まり、ジワジワと覚えのある疼きが腰から這い上がってくる。
あからさまな自身の変化に、悟浄は愕然とした。
「悦く…なってきたみたいですね」
頭上から八戒の蕩けるような甘い声が落ちてくる。
白い掌が悟浄の引き締まった腹部を押しながら撫でた。
「ひっ…いぃーっ!!」
圧迫された事により腸内の飴玉が不規則に転がり、湧き上がる快感が悟浄を悶えさせる。
何度も押してくる掌から逃れたくて腰を捩れば、更に前立腺を刺激して悟浄の身体がビクビクと跳ねた。
ギュッと硬く勃ち上がって震える性器を掴まれると、腸壁で飴玉を締め付けてしまう。
「あっ…や…だぁっ!」
今まで経験した事のない快感に、悟浄が首を振って咽び啼く。
「凄い…そんなに気持ちいいんですか。天ちゃんと捲簾さんが言ってた事は本当だったんですねぇ」

やっぱり天蓬のヤツかっ!
八戒に余計な知識つけやがったのはっ!

…チョット待て。

天蓬と…ケン兄?
ケン兄まで八戒に何か言ったのかっ!?

ガンッと頭を殴られた様な衝撃に、悟浄は目を見開いて硬直する。
まさか実の兄が。
しかも自他共に認める仲良し兄弟なのに。
弟を窮地に陥れるような知恵を八戒に与えていたなんて。
驚愕のあまり罵声も悪態も出てこない。

ケン兄だけは…ケン兄だけは同じ境遇の味方だと思ってたのにっ!
ケン兄のバカああぁぁっっ!!!

グシグシと泣きながらいじけている悟浄を眺め、八戒はウットリと瞳を潤ませる。
「悟浄ってば…気持ち悦すぎて泣いちゃう顔も可愛いですっ!もっともっといーっぱい弄ってあげますからねvvv」
幸か不幸か兄に裏切られたショックで打ち拉がれている悟浄に、八戒の物騒な決意は聞こえていなかった。



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