White day Attraction



すっかり獣モードフルスロット全開中の兄とは対照的に。

「こっ…腰が抜けて力入んねー」

すっかりお風呂で至れり尽くせり、ついでにまたしても八戒のナニで最奥まで洗われちゃったのか汚されちゃったのか訳分からない状態で、悟浄はグッタリと力尽きたまま寝室へお持ち帰りされてしまった。
パンパンとシーツの皺を直していた八戒は、突っ伏して呻く悟浄にポッと頬を染める。
「僕…頑張って色々しちゃいましたもんね」
「色々チャレンジしたのは俺の方だろ」
シーツの端をもじもじ弄って照れる八戒に、悟浄は呆れ返った視線を向けた。

まさかあんな目に遭わされようとは。

八戒に無理矢理入れられた飴玉の感触が、まだ体内に残っている。
何だか情けなくって、当分丸いモノは見たくもなかった。
悟浄が大仰に溜息を零して枕に顔を埋めると、八戒が勢いよく枕を取り上げる。
「おいっ!何すんだよぉ」
ムッと拗ねたまま顔をあげれば、更にふて腐れた八戒が頬を膨らましていた。
枕を抱き潰して、怒ったように視線を逸らす。
「僕が一緒なのに、枕なんかに懐かないで下さいよ」
「あ?何…だよ?枕にヤキモチ焼いっちゃってんの?」
「当たり前でしょうっ!」

当たり前なのかよ…ったくぅ。

まぁ、そんな風にヤキモチを焼かれるのは、可愛いから嫌いじゃない。
悟浄は苦笑いして、八戒を手招いた。
「んじゃ、ソレの変わりに八戒が抱き枕になって?」
「抱き枕ですかっ!?」
「…おいコラッ!『抱き枕』で『抱かれ枕』じゃないってっ!!」
枕を投げ捨てて速攻悟浄へダイブしてきた八戒の身体を、悟浄は必死で押し戻す。

これ以上されたら、身体が壊れるっ!!

負けずとまとわりついてくる八戒に対抗して、それはもう懸命に防御した。
未だに悟浄は湯上がりそのままの全裸で、臨戦態勢の八戒にとっては据え膳だ。
「ちょっ…何で離そうとするんですかぁっ!それはもう悟浄にジャストフィットな枕になろうと思って僕はっ!」
「ナニをドコへジャストフィットさせる気だっ!」
いい年をした大人二人が、子供のようにベッドの上でギャーギャー暴れる。
折角綺麗に整えたシーツはグシャグシャに皺が寄って捲れ上がり、スプリングは重量に悲鳴を上げて派手に鳴っていた。
「も…今日はダメ!明日の予定が狂ってもいーんだなっ!?」
「…明日の予定?」
必死に悟浄が言い募ると、脇四方固めに入ろうとしていた八戒の動きがピタリと止まった。
悟浄を上から覗き込んで、小さく首を傾げる。
「明日って…何かありましたっけ?」
「明日は俺なりの予定があったんだよ」
「悟浄の…ですか?」
押さえ込む力が弛んだ隙に、悟浄は八戒の下から這い出した。
乱れまくる髪を掻き上げると、胡座を掻いて座り直す。
「ったく…愛しの恋人に関節技決めるなよ」
「だって。悟浄が意地悪するから」
八戒はしゅんと項垂れると、いじいじシーツを弄んだ。
どうやら悟浄に煽られて焦らされていると思い込んでる。

俺は生命の危機対峙して、必死に回避していただけなんだが…。

アレだけ犯れば、八戒自身疲れていてもおかしくない。
風呂でも悟浄を弄り倒してすっかりご満悦だったのに。
底なしの精力を垣間見て、悟浄の背筋がゾクゾクと怖気上がった。

さっき散々風呂で抜かずの3発…いや4…5?まぁ、とにかく俺が逆上せる寸前まで出し捲ったクセに、何でそんなに犯る気パンパンな訳ぇ?

それとも覚えたての濃密なセックスが愉しくて、夢中になってるんだろうか。
子供が新しい玩具を与えられて喜ぶのと同じだ。
でも、ソレだって限度って言うモノがある。

こっ…こここここんな可愛い顔してるのに、犯ることとんでもねーしさ。
飴玉挿れて悦がらせるなんざ、俺だって思いつかねーよ。
認めたくねーけど。
…やっぱ、天蓬と血ぃ繋がってるんだなぁ。

兄の部屋で発見した妖しいグッズの数々を思い出し、ふと我が身を振り返る。
じっと胡乱な視線を向けているのに気づいた八戒が、不思議そうに瞬きした。
「え…とぉ。何ですか?」
八戒が問い返すのに、悟浄はプイッと視線を逸らす。

こんな可愛いんだから、あんな変態になんか育てねぇっ!

悟浄が心の中で密かに決意を固めるのもお構いなしに、八戒は突然我に返って悟浄を注視した。
驚いた表情で震えながら悟浄を見つめてくる。
「悟浄…もしかして…っ」
「え?あ…ナニ??」
自分の考えに没頭していた悟浄は、八戒の豹変に気づくのが遅れた。
意識を戻して振り返ると、目の前数センチの距離に八戒の顔が近づいている。
「悟浄っ!ごめんなさいーっっ!!」
「うわあああぁぁっっ!??」
八戒に勢いよく抱きつかれて、悟浄は後頭部をベッドヘッドへ力一杯打ち付けた。
ぐわんぐわんと脳みそが揺れて、頭が真っ白になる。
一体何が起こったのか分からない。
放心している悟浄に八戒は必死に縋り付いた。

いや、ベッドへガッチリ押さえつけたのか。

「僕ってば全然気づかなくてっ!あんまり悟浄が可愛いからちょっかいかけたクセに、何もしないで…シテ欲しかったんですねっ!?もう寂しい思いはさせまんせからっvvv」

ポチリと八戒は自分でナニかのボタンを押してしまったようだ。
嬉しそうに頬を染めながら、悟浄が動かないのを良いことに嬉々として組み敷いた。
だんだん衝撃が薄れて、悟浄も脳みその揺れが治まってくる。
途端に襲ってくるのは、殴られたような鈍痛。
ぶつかった後頭部がジクジク痛み始めた。
「ぃ…っ…痛ぅ?」
あまりにも一瞬の出来事で、直前に何があったか忘れてしまう。
無意識に頭に手をやり、痛みを宥めようとするが。

「んっ…あ…あぁ??」

力の入らない身体の関節が軋んだ。
悟浄は眉を顰めて、焦点の合わない視界を凝らす。
何だか下肢が熱い。
じんわり股間当たりから湧き上がる熱に、悟浄は溜息を零した。
緩やかな気持ち悦さに、腰が物足りなくて無意識に蠢く。

ん?気持ち悦い…だぁ??

漸く我に返った悟浄は、勢いよく半身を跳ね上げた。
「いっ!だぁっ!?痛ぇよっ!チクショー!!」
ガンガン頭で鳴り響く鈍痛に、悟浄はそのまま頭を抱えて突っ伏す。
しかし。
痛みさえ上回る感触が、股間を疼かせていた。
頭を押さえて俯いた視線の先に、小さな形の良い頭が揺れている。
しかも、何だかとんでもなく卑猥な粘膜を啜る音が、ひっきりなしに聞こえていた。
悟浄は顔を真っ赤にして、夢中で口淫を施す八戒を小突く。

「んんぅっ!?」
「ひゃあっ!?」

二人同時に艶やかな嬌声が上がった。
悟浄に叩かれた八戒は、勢い余って喉奥まで悟浄の雄を飲み込みキュッと締め上げる。
感じやすい先端を思いっきり締め付けられた悟浄は、堪らず顎を仰け反らせた。
「ちょっ…バカバカッ!何勝手におっ始めてんだよぉっ!!」
「んぐ?らって、ごじょぉ僕に…ん舐めれ欲しっ…んくっ…かったれ…」
「咥えながらしゃべんな…っ…んぁっ!?」
わざとチュウチュウ音を立てて性器に吸いつかれ、悟浄の下肢からカクンと力が抜ける。
その隙に八戒の指が未だ熱を保って蕩けた状態の襞を押し分け、一気に3本挿ってきた。
根元まで押し挿れると、悟浄の最奥が悦んで締め付けてくる。
「悟浄の…凄いですっ…そんなに僕が欲しいんですね…っ」
八戒は口淫で濡れた唇を拭いながら、感極まって声を上擦らせた。
嬉しそうにナカを掻き回され、悟浄はビクビクと腰を痙攣させる。
「やっ…めろ…て…も…ダメぇ…っ!」
身体中を巡る快感に身悶えても、悟浄は必死に拒絶した。

コレ以上されたら、マジで明日1日動けねーだろっ!
明日は…八戒と手ぇ繋いで、ラブラブデートしようって思ってるんだよバカーッッ!!

悟浄のささやかな野望も、八戒の性欲の前に打ち砕かれようとしている。
快楽に慣れ親しんでる従順な身体は、悟浄の意志に反して貪欲に八戒を受け入れようと蠢いた。
「ダメッ…なんだ…てっ…ひぃ…あっ」
ムキになって頭を振って拒絶するが、八戒にはまるで伝わらない。
それどころか。
「そんな…泣いてまで我慢しなくても、出していいんですよ?」

ソッチの我慢じゃねーよっ!

思いっきり否定したいが、喉から漏れる声は媚びるような嬌声ばかり。
こうなったら態度で示すしかないとばかりに、悟浄は執拗に先端から溢れる先奔りを舐めている八戒を鋭く睨み付けた。
しかし八戒は何を勘違いしたのか、ニッコリ悟浄へ微笑みかける。
意味深に双眸を眇めると、悟浄に視線を合わせたままパンパンに腫れている先端に噛みついた。
「ひっ…いぃっ!?」
背筋を駆け抜ける快感に、悟浄はビクビク身体を震わせる。
何度も先端ばかりに噛みついて、粘液を溢れさせる小さなクチにも強く歯を立てた。
「あ…っ…あぁっ!」
めり込ませるように歯先を押しつけられ、悟浄は大きく頭を振る。
散々悦いように八戒から性器を弄られ、屹立した肉芯は自身の体液で濡れそぼり反り返って脈動した。
ここまで煽られたら、もうどうしようもない。
悟浄は達かないことには治まらない身体の熱を持て余し、抵抗するのを諦めた。

まぁ、あと1回ぐらいなら。

開き直ると、持ち前のポジティブさで従順に快感を追い始める。
「んっ…は…っかい…も…い…からっ」
「…我慢できなくなりました?」
「お前も…っだろ!」
「…ええ。全然余裕なんかないですよ」
愉悦に蕩けた視線で悟浄が笑えば、八戒は欲情を湛えた双眸を眇めた。
悟浄は誘うように腰へ脚をかけて強く引き寄せる。
肌に触れる八戒の熱い肉芯に、身を捩って押し付けた。
「…早くちょーだい?」
小首を傾げて可愛く強請ると、八戒の表情が僅かに強張る。

あれ?ちょっとふざけすぎたか?

次第に小さく震えだした身体を見上げ、悟浄が動かない八戒の様子を上目遣いに窺った。
「…っ…な…って」
「あ?聞こえねー?何言ってんの??」
何事かを呟いている八戒の声が聞こえず、悟浄は少し身体を起き上がらせようとする。

が。

「悟浄おおおおぉぉぉっっ!!!」
「ぐああああぁぁっっ!?なっ…何だぁっ!?」

物凄い勢いで八戒が倒れ込んできて、息が詰まる程抱き締められた。
「もーっ!悟浄ってば可愛い過ぎですっ!すぐ上げますっ!いま上げますっ!」
…どうやら八戒はキレたらしい。
胸に付く程膝裏を抱えられ、息苦しさに悟浄がジタバタ藻掻く。
「分かったからっ…ぐるじぃ〜っ!息っ…息ができね…俺を折ったまましがみ付くな…あっ!?」

ヌルリと。
太くて熱いカタマリが、身体を押し開いて入ってきた。
「んっ!!」
八戒の雄が一息に奥まで侵入する。
余裕なく息を乱している八戒を見上げて、悟浄は何だか笑いが込み上げてきた。
これほど求められて愛されるのは結構良い気分だ。

「…はぁ〜っかい?」
「は…あ…?何っ…ですか…っ」
「…俺んナカって、そんなに悦い?」

愉しそうに喉で笑いを堪えながらナカにいる八戒を締め付けると、興奮で上擦った声を漏らす。
「ちょっ…不意打ちはナシですよぉ…っ」
苦笑いして倒れ込んでくる八戒を、悟浄はしっかり抱き留めた。
緩やかに注挿を始めた八戒の耳朶に顔を寄せ、舐りながら睦言を囁く。
「明日さ…八戒とデートしようって思ってて…っ」
「いいです…ねぇ」
「二人で…手ぇ繋いだりしてさ」
「…嬉しいです」
「だからっ…も…今日は…コレで…終わりだぞ?」
「その分明日シテもいい?」
「うっ…」
悟浄が真っ赤な顔で言葉を詰まらせると、八戒はニッコリ微笑んで大きく突き上げた。
「いっ…イイッ!」
思いっきり甘い嬌声を悟浄は上げて身悶えてしまう。
徐々に激しくなる注挿に、悟浄は意識を飛ばし始めた。
「イイんですよね?嬉しいですっ!じゃぁ明日も甘い1日になりそうですねvvv」

へ?

「バッ…そっちのイイじゃなくっ…ひゃぁっ!?」
最奥をグイグイ抉られ、悟浄の否定は喘ぎ声に蕩けてしまう。
有無を言わせない強引な八戒に、悟浄は敢え無く撃沈してしまった。



Back     Next