W.D.battlefield |
悟浄の手には使い慣れた、普段から愛用しているオードトワレ。 以前は女性達から貰ったモノを種類も香りも全く気にせず使っていたのだが、コレをたまたま気紛れに立ち寄った店で見つけてからは、気に入って使う様になっていた。 「俺、コレ使ってるって言ったことあったっけ?」 悟浄は驚いた顔のまま八戒に向き直る。 「無いですけど、掃除した時に何度か瓶は目にしてますから。でも買いに行った時ちょっと困ってしまって」 八戒は思い出しながら、小さく笑みを零した。 「何笑ってんだよ?」 八戒は『困った』と言っているのに、何故か楽しそうに笑っている。 訳が分からず悟浄は小さく首を傾げた。 「いえね?先週、買い物の途中で探しに行ったんです。悟浄が使っているのは直ぐに見つかったんですけど…違うんですよ」 「違うって?何がだよ??」 「テスターが置いてあったので、匂いを確認してみたんですけど、違うんですよねぇ…僕の知っている貴方の匂いと」 八戒は悟浄を引き寄せると、その首筋に顔を伏せる。 鼻腔をくすぐる少し刺激的な甘い匂い。 「ほら、違う。貴方の体臭が混じり合って特別な匂いになってるんですよねぇ。それに気が付いてちょっと戸惑ってしまいました」 肩口で八戒がクスクスと笑いを零すと、悟浄はくすぐったそうに身体を捩った。 八戒は逃げようとする悟浄の腰を引き寄せて、強く抱き締める。 「僕は…この匂いの方が好きです。貴方の匂いの方が…」 鼻先で匂いを確かめる様に首筋を辿り、耳朶に息を吹き込みながら甘く囁いた。 腕の中で悟浄の身体が小さく跳ね上がる。 八戒が少し舌先を出して耳朶の線を辿る様に舐め上げると、悟浄の身体がビクビクと小刻みに震えだした。 「ん…はっか…いぃ…」 先程放り出された身体に再び熱が蘇って、悟浄は八戒へと縋り付く。 耳元で戯れる八戒の愛撫に焦れた悟浄は、強引に八戒の頭を引き離した。 「…悟浄?」 悠然と八戒は悟浄を見つめて鮮やかに微笑む。 紅の双眸を欲情で濡らして、悟浄はその清廉な表情を睨み付けた。 両手で八戒の頭を強く引き寄せると、噛みつく様に口付ける。 強引に歯列を舌で割り開き、乱暴な仕草で八戒の口腔を舐め回した。 いつもと違い全く余裕のない悟浄の所作に、八戒は目を細めて楽しげに微笑む。 焦らす様に悟浄の舌先から逃げていると、ムキになって追いかけ執拗に絡みついてくる。 「んっ…ふ…ぁ…あっ」 何度もはぐらかしていると、悟浄は八戒の髪に差し入れた手を乱暴な程掻き乱して焦燥を露わにした。 『さすがにちょっと焦らしすぎたかな?』 八戒はコッソリ微笑むと悟浄の肩を掴み、体重を掛けてソファへと押し倒す。 「八戒…っ」 期待で瞳を揺らしながら、悟浄はウットリと八戒を見上げた。 八戒は優しい仕草で悟浄の髪を掻き上げると、濡れて誘う様に開かれている唇を甘噛みする。 そんな些細な刺激にも感じるのか、悟浄の身体が小さく震えた。 悟浄の髪を梳いていた手で頭を押さえつけると、八戒は深く唇を合わせた。 「ふっ…んん…っ…ぁ」 大きく満たされる欲求に悟浄は甘い息を漏らす。 それでも全然足りなくて。 もっともっと強い刺激を欲して、悟浄の腕が八戒の身体を引き寄せた。 自ら身体を八戒に擦り付け、脚を腰に絡ませて八戒の雄の欲望を挑発する。 互いの唾液と舌を絡ませ合って、飲み込んで。 強く吸い合う唇の感覚も次第に無くなって。 解け合ってしまった様な感覚。 セックスと直結した口付け。 いつまでも混じり合っていたい欲求に目が眩む。 ふいにどちらともなく唇が外れると、甘い溜息をついた。 未だ快感に頭の芯が痺れたまま、引き合う様に何度も触れるだけの口付けを繰り返す。 その間に悟浄は着ているシャツのボタンに指をかけて、自分から一つ一つ外していった。 全て外し終えて八戒の目の前に褐色の肌を晒すと、艶然と微笑んで欲情を煽る。 燃える様な緋色の瞳から。 欲情を隠しもせずに濡れて誘う瞳に射抜かれて、視線が逸らせない。 その身体が欲しくて欲しくて、どうしようもなく。 身体中の血液が沸騰して、淫らな欲望に目の前が紅く染まった。 八戒がそのまま悟浄の身体に沈もうとすると、 「八戒…さっきの…」 その肩を掴んで掠れた声で小さく呟く。 「え…?」 「さっきやったろ?トワレ…」 「コレ、ですか?」 脈絡のない悟浄の態度に、八戒は怪しげに眉を顰める。 珍しくあからさまな八戒の表情に、悟浄は楽しげに瞳を眇めて微笑んだ。 訳が分からないまま2つのトワレを取って、悟浄へと手渡す。 「まぁ、本当の使い方じゃねーんだけどさ」 自分愛用のトワレを掴むと、八戒の首筋へと一吹きした。 「え?悟浄?何で…」 突然のことに呆気にとられ、八戒は硬直してしまう。 八戒にのし掛かれたままの体勢で少し首を持ち上げると、悟浄は鼻先を首筋へ近づけた。 「んー、やっぱ八戒のイメージじゃねーよな?お前にはちょっと甘過ぎ?」 悟浄は首を傾げながら匂いの印象を批評すると、今度は自分が贈った方のトワレを取って、自分の首筋へと一吹きする。 手首をその部分に当てると、そのまま鼻先へと持ってきた。 「で、俺にしては爽やかすぎってな。グリーン系って俺のイメージじゃねーよなぁ」 一人で納得して、悟浄は楽しそうにクスクスと笑いを零す。 放って置かれたまま意味が分からず、八戒は困った様に悟浄を見つめた。 「悟浄?」 八戒が呼ぶと、悟浄は口端に笑みを刻んで。 「八戒ってさ…すっげー匂いに敏感っつーか、気にするじゃん?」 「そう…ですか?」 悟浄の含みに気づいて、八戒は言葉を濁して苦笑した。 普段悟浄が賭場や酒場へ出かけると、必ず違う匂いを纏わせて帰ってくる。 夜に相応しい、男を誘惑する甘い官能的な残り香。 悟浄の服から、髪から…身体から。 鼻を掠めるその匂いが、八戒には胸を焼くほど不快でならなかった。 そのことを口に出して悟浄に言ったことは一度もない。 「帰ってくるとさ、必ず八戒って一瞬視線を逸らすんだよな。そん時って表情が瞬間無くなるつーか、目が怒ってるの。最初何でか気づかなかったんだけど…」 小さく笑うと悟浄は八戒を引き寄せ、甘える様に目の前の細い首に頬を擦り付けた。 そこから八戒の温度で暖められた自分の匂いをクンッと嗅いで、安堵の溜息を小さく漏らす。 「…八戒から俺の匂いがする」 「悟浄…」 「何かさ…俺だけのモンってカンジ?」 悟浄が無邪気な顔で笑った。 八戒の瞳が驚きで見開かれる。 その様子に悟浄は少し口端を歪めた。 「お前って結構自分に自信がないっつーか、自棄的っての?スキだって言っても…俺はお前だけに束縛されてるのに、まだ信じられねーの?」 「ご…じょう…っ」 声が、身体が震えてしまう。 自分の中のありとあらゆる感情がぐるぐると渦巻いて、ぐちゃぐちゃになって。 脳味噌が沸騰して真っ白になった。 ぱた。 八戒は悟浄の肩口に突っ伏す。 腕を伸ばして、自分より少し高めの体温を持つ身体を、強く、強く抱き締めた。 あまりの歓喜で眩暈がして、顔が上げられない。 「何?感動しちゃった?」 八戒の頭を抱えて優しく撫でながら、悟浄が小さく笑う。 「ええ…何だか言葉の力ってすごいなぁって、今更ながらに思い知りました。『言霊』っていうんですかねぇ、こういうの」 顔を上げた八戒は、幸せそうに今までで最高に綺麗な顔で微笑んだ。 「…悟浄には最高のプレゼントを貰っちゃいましたね」 八戒の言葉に、悟浄は満足そうに笑い返す。 「えぇ〜?八戒ってそんな謙虚だったっけ〜?」 「………は?」 「…言葉だけで満足?」 紅い双眸が意味深に眇められる。 八戒の手を取って自分の首筋に擦り付けると、その手を八戒の鼻先へと近づけた。 「八戒もさ、覚えろよ?コレがこれからお前の匂いだからな…あ、ちょっと違うか」 何か悪戯を仕掛けるような顔で、悟浄は八戒の顔を楽しそうに見つめる。 「俺とお前の匂いが混ざりあったのが、俺たちだけの…匂い」 悟浄は八戒の手を掴んだまま、自分の肌蹴た胸元へと導いた。 八戒の指先が乳首を掠めると、悟浄は甘い息を零す。 「…ちゃんとお前の匂い、俺につけろよ?この身体に染み付くまで…さ」 「悟浄…」 「自分のモンにはちゃーんとマーキングしねぇとな?」 くくっと喉で笑いながら、悟浄は指を八戒のシャツへと掛けた。 上機嫌でプチプチとボタンを上から外していく。 全て外し終わると、今度は自分のジーンズのボタンに指を掛けて外すと、八戒に見せつける様にファスナーをゆっくりと下ろした。 ゴクリ、と八戒の喉が大きく鳴る。 かなり余裕の無くなっているその表情を満足げに眺めると、片脚を上げて八戒の肩へとドスッと下ろした。 「は〜っかい!脱がしてvvv」 首を傾げてお強請りすると、八戒はもの凄い勢いで悟浄のジーンズを掴む。 乱暴な仕草で強引に下着ごとジーンズを引き下ろして、ポイッとフロアへ投げ捨てた。 普段の几帳面な八戒からは考えられない行動だ。 それほど理性が限界まで追いつめられてるらしい。 臨界点までカウントダウン状態。 悟浄はこの状態が面白くって仕方ない。 いつもは悟浄が逃げると勝手に理性放棄して嬉しそうに襲いかかってくるクセに、逆にこちらから強気で大胆に誘うと限界ギリギリまで我慢するなんて。 何だか狼狽えている八戒が可愛く見える。 こうしている今も、翡翠の瞳を欲情でギラつかせているにも係わらず、じっと硬直して動かなかった。 しかもソファの上なのに何故かきちんと正座までしている。 『なーんかお預け喰らってる犬みてぇ』 コッソリ内心で大笑いしつつ、悟浄は剥き出しになった脚をゆっくりと八戒の目前で開いて見せた。 八戒の瞳が動揺でソワソワと揺れる。 「八戒…何にもしねーの?」 煽るつもりで悟浄は艶やかに微笑んだ。 限界まで張りつめていた八戒の理性が、勢い良く焼き切れる。 悟浄の足首を掴み上げると、もの凄い勢いで引き寄せた。 「うわわっ!?」 アームに寄っかかっていた背がズルッと下がり、頭を思いっきりぶつけて視界が回る。 「ってぇ…」 後頭部に手を当てて唸っていると、ふと頭上に影が差した。 「悟浄…煽ったのは貴方ですからね?今更止められませんから…覚悟して下さい」 瞳を上げると、獲物を見据えて舌舐めずりをする雄が居る。 悟浄の鼓動がドクンと大きく跳ね上がった。 「あ…」 気が付くともの凄い格好をさせられている。 脚を左右に大きく開かされて、八戒の視線に恥ずかしい最奥まで全て晒して。 今更ながら羞恥で悟浄は全身を紅潮させた。 その恥ずかしさと同じぐらい、いやそれ以上にゾクゾクとした快感が背筋を震わせる。 「悟浄の望み通り…貴方の身体全てに、僕の存在を証を刻みつけてあげますよ。僕の匂い以外しない様に…ね?」 八戒は悟浄から貰ったトワレを取ると、自分の掌へと吹きかけた。 その手で悟浄の内股をするりと撫で上げる。 「………っ」 突然の感触に、悟浄は咄嗟に息を詰めた。 八戒は匂いが染みつくまで念入りに、ピクピクと引きつる内股を何度も撫でさする。 焦れったい程緩い愛撫に、悟浄は段々と理性が追いつめられていった。 じんわりと甘い苦痛に脳が侵蝕される。 「あ…八戒…っ…やっ」 「…僕が触れるの、嫌なんですか?」 「違っ…そ…じゃなくって…」 悟浄は緩慢な動きで首を左右に振る。 「もっと…ちゃんと…いっぱい触ってっ」 焦らされた熱は散らすことができずに、全てが股間へと集中した。 悟浄の肉芯は直接的な愛撫を強請って、先端を濡らしながら緩く勃ち上がっている。 「こう、ですか?」 八戒はぎゅっと力を入れて悟浄自身を握り締めた。 「ああぁっ!」 待ち望んだ感触に、悟浄は甘い嬌声を上げる。 しかし、八戒は握っただけで何もしない。 「あ…は…っかいぃ?」 快楽に双眸を濡らして、不思議そうに悟浄が八戒を見つめた。 「悟浄のコレを、僕にどうして欲しい?」 「ん…?」 少し悟浄が考え込む。 普段なら真っ赤な顔をして怒鳴りつけているところだが、それもいつもなら正気が残っているからだ。 でも今夜は。 初めから正気なんかなかった。 八戒が欲しくて、どうしようもなくて。 自分から挑発して誘ったから。 欲情を隠そうともせず、淫猥な表情で濡れた舌を覗かせて唇を舐める。 そんな仕草を見ただけで、八戒の雄にドクドクと血が逆流して、痛い程に張りつめてきた。 「俺の…いっぱい舐めて。グチャグチャに濡らして…八戒のクチん中に出してぇよ」 悟浄はじっと八戒を見上げながら、卑猥な言葉で八戒の雄の部分を引きずり出す。 「っ…悟浄!」 唸りながら声を吐き出すと、八戒は一気に根本まで肉芯を咥え込んだ。 「ひあ…あっ!」 ビクンと悟浄は大きく体を跳ね上げる。 八戒は唇で上下に扱きながら、口腔で吸い上げて喉で敏感な先端を飲み込む様に締め付けた。 ジュブジュブと猥雑な水音をわざと立てて、聴覚からも悟浄を犯す。 「ふぅ…っ…んっ…イイッ…すっげぇイイ…はぁっ」 呼吸を荒げながら、悟浄は恥ずかし気もなく喘ぎ続けた。 指で張りつめた袋を擦りながら刺激し、敏感な括れ部分を舌先で執拗に舐め回す。 「あっ…八戒っ…いつものっ…シテッ!」 悟浄は乱れる呼吸に苦しげに眉を顰めながら、八戒に更なる愛撫を強請った。 チラッと視線を上げると、八戒は一度肉芯から唇を外す。 硬く張り詰めた先端はパックリと口を開いて、止まることなくトロトロと先走りの蜜を流し続けていた。 八戒は先端を指で抓んで左右に力を掛けると、ヒクついて蜜を溢れさせる小さな穴を舌先でグリグリとこじ開ける様に抉る。 「ああ…っ…ひぃっ…っ!」 大きく身体を震わせて、悟浄は甘い嬌声を上げた。 「い…っ…もっ…だめ…だっ」 紅い双眸を涙で歪めながら、悟浄が限界を訴える。 「いいですよ、全部飲んであげますから」 再度先端を口に含むと焦らすこともなく、八戒は思いっきり悟浄の雄を吸い上げた。 「いっ…うああぁっ!!」 ビクンと身体を痙攣させて、悟浄は八戒の口腔へと勢い良く吐精する。 「んっ…」 八戒は顔を上げると、悟浄を見下ろしながら見せつける様に喉を鳴らして飲み下した。 舌を出して唇に付いた飛沫を、微笑みながらペロリと舐め上げる。 その淫猥な表情に、悟浄はまた欲情してしまった。 八戒がゆっくりと悟浄の上へと屈んで来る。 「…まだ全然足りないでしょう?」 スッと八戒の指先が隠れた最奥へと延ばされた。 指で濡れた襞を撫で上げる。 「もっともっと…貴方の中まで僕の匂いを染み込ませて上げますからね」 悟浄は腕を掲げて、八戒の首へと回す。 「…当然だろ?」 挑む様に八戒の瞳を射抜いて笑った。 |