雑記帳 (Notebook)


低音では 10倍音で合わせる? (その12) v0.3

変更履歴:
v0.3 ['13/08/27] [F.Filter]の24:12と`うなり'のグラフを修正しました。
v0.2 ['11/01/07] ウェビュワー(Java Waviewer)以下を追加しました。
v0.1 ['11/01/03]

例えば オクターブで C(4)のインハーモニシティ値が 0.27・C(16)は 0.13とします。 その場合の倍音の周波数とセント値(c.equal)・補正値(c.pure)です。

P :C(4)[Hz]:c.equal:c.pure:C(16)[Hz]:c.equal:c.pure
---------------------------------------------------
 1:  32.71   0.27  0.27:  65.41   0.13  0.13
 2:  65.45   1.08  1.08: 130.85   0.52  0.52
 3:  98.25   4.39  2.43: 196.35   3.13  1.17
 4: 131.14   4.32  4.32: 261.94   2.08  2.08
 5: 164.15  -6.94  6.75: 327.65 -10.44  3.25
 6: 197.32  11.68  9.72: 393.50   6.64  4.68
 7: 230.68 -17.94 13.23: 459.53 -24.80  6.37
 8: 264.25  17.28 17.28: 525.77   8.32  8.32
 9: 298.07  25.78 21.87: 592.25  14.44 10.53
10: 332.17  13.31 27.00: 658.99  -0.69 13.00
--------------------------------------------

C(4)とC(16)のセント値(c.pure)を表示します。

graph. gif/c-cent.png

その周波数は整数倍ではないので 合わせる倍音によって`うなり'の状態は異なります。 基音は平均律のままで 倍音の`うなり'の数です。

 2:1  65.45 -  65.41 = 0.04
 4:2 131.14 - 130.85 = 0.29
 6:3 197.32 - 196.35 = 0.97
 8:4 264.25 - 261.94 = 2.31
10:5 332.17 - 327.65 = 4.52 
...

C(4)の周波数を変えて 10:5の倍音の`うなり'を合わせてみます。

 P:C(4)[Hz]: C(16)[Hz]
----------------------
 1:   32.26:   65.41
 2:   64.55:  130.85
 3:   96.91:  196.35
 4:  129.35:  261.94
 5:  161.92:  327.65
 6:  194.64:  393.50
 7:  227.54:  459.53
 8:  260.65:  525.77
 9:  294.01:  592.25
10:  327.65:  658.99
--------------------
 2:1   64.55 -  65.41 = -0.86
 4:2  129.35 - 130.85 = -1.50
 6:3  194.64 - 196.35 = -1.71
 8:4  260.65 - 261.94 = -1.29
10:5  327.65 - 327.65 = 0
...

それぞれの倍音が 0になる時の`うなり'の数を示します。(−値も+としています。)

graph. gif/semi1.png

C(4)の周波数を 2:1〜4:2〜6:3〜8:4〜10:5〜と`うなり'を 0にして行くと 10:5ぐらいで 全体の`うなり'が 少めになり 周波数も 1000[Hz]以上では `うなり'は目立たないので 10:5ぐらいで合わせると良い と言う説です。

倍音が 0になる時のセント値と基音の周波数です。

 P-P : [cent] : C(4)[Hz]
------------------------
 2:1 :  -0.50   32.699
 4:2 :  -3.60   32.640
 6:3 :  -8.45   32.549
 8:4 : -15.15   32.423
10:5 : -23.70   32.264
12:6 : -34.20   32.068
14:7 : -46.55   31.841
16:8 : -60.80   31.580
18:9 : -76.95   31.286
20:10: -95.00   30.962
----------------------

10:5では C(16)の値から -23.70[cent]下げる事になります。

IFFT2のシミュレーションした A(1)-A(13)のオクターブの`うなり'を見てみます。(インハーモニシティ値は上記とは異なっています。)

graph. gif/ifft2-c1-0.png

10倍音の`うなり'を 0にした場合です。(この場合は -18.6から -83.6[cent]になります。)

graph. gif/ifft2-c1-10.png

しかし ピアノの音には「響板の振動特性」があります。

例えば A(25) 110[Hz]のピアノ音の FFTスペクトルです。

graph. gif/a25-fft.png

そこで C(4)とC(16)の Wave信号をシミュレーションで合成して その FFTをみてみます。
2:1が 0の時

graph. gif/semi3-p1.png

4:2が 0の時

graph. gif/semi3-p2.png

6:3が 0の時です。

graph. gif/semi3-p3.png

...そうして 2:1から 20:10までを並べてみます。
3DFFT-a

graph. gif/semi3-a.png

3DFFT-b

graph. gif/semi3-b.png

0〜800は周波数[Hz]で 1〜10が 2:1〜20:10の FFTの並びです。
3DFFT-aの 330[Hz]近くで 5の中央で山形のピークの部分が 10:5の`うなり'が 0になる所です。

その時 3DFFT-b側で見る 2:1・4:2・6:3では`うなり'のピークが過ぎてしまっています。

試しに FFT毎のピークの平均値を出してみます。

graph. gif/semi4.png

C(4)とC(16)の 2:1のオクターブ・C(4)とG(11)の 3:2の 5度・C(4)とF(9)の4:3の 4度また
C(4)とC(28)の 4:1の2オクターブと言う様々な音程で C(4)の2倍音・3倍音・4倍音が 見れるのですから そうした音程で合わせるほうが 10:?より良いのではと思われます。

さらに 5倍音では 5:4 長3度・5:3 長6度・5:2 10度・5:1 オクターブ10度と多いですし
6倍音(6:5 短3度・6:1 オクターブ12度)と明言する人もいます。

尤も シミュレーションの様にハッキリ聞き分けられなくて 実際では迷う分けですが...

例えば Cis(5)-Cis(17)のオクターブです。

wave file(29KB) graph. gif/de.larrocha-wave.png graph. gif/de.larrocha-fft.png

それをウェビュワー(Java Waviewer)で見てみます。
その 3DFFTです。

graph. gif/fft3d.png

それから範囲を選択して [F.Filter]ボタンで波形を再現します。

graph. gif/fft3d-36-gis.png

まず 2:1の波形です。

graph. gif/de-1.png

4:2です。

graph. gif/de-2.png

6:3です。

graph. gif/de-3.png

8:4です。

graph. gif/de-4.png

10:5です。

graph. gif/de-5.png

12:6です。

graph. gif/de-6.png

14:7です。

graph. gif/de-7.png

16:8です。

graph. gif/de-8.png

18:9です。

graph. gif/de-9.png

20:10です。

graph. gif/de-10.png

22:11です。

graph. gif/de-11.png

24:12です。(v0.3)

graph. gif/de-12.png

おおよその`うなり'を数えてみます。

 P:P `うなり'数(回/[sec])
----------
 2:1  1.5
 4:2  1.22
 6:3  0.7
 8:4  0.37
10:5  (? 0)
12:6  0.41
14:7  0.68
16:8  (? 8倍音は打弦点なので現れません)
18:9  3.3
20:10 5.8
22:11 10.0
24:12 14.3
----------

そのグラフです。(v0.3)

graph. gif/disp-dela.png

4:2・6:3・8:4などで`うなり'を整えた結果として 10:5辺りが少くなったと思いますが 如何でしょうか?

(v0.3)別での測定例です。

graph. gif/disp-horo.png

参照 〉巻線の調律シミュレーション (Tuning Simulation of Wound Wire)

参照 〉エンベロープのシミュレーション(Simulation of Envelope)